今回発表されたUMPC(Ultra Mobile Personal Conputer が「Origami」だったのか、というのが私の第一の感想だった。以前からマイクロソフトがベールに包んでいたプロジェクトであった分、期待感が先行していたのは私だけであろうか?

 Windows XP Tablet PC Edition 2005 を搭載しており、ネットワークとの連携や使いやすさは確保している様子だが、タッチパネルの性能や、セキュリティなどまだまだ分からないことが多い現状である。

 Intel CPU搭載のUMPCは2006年第2四半期にSamsungとASUSTeKから、VIA CPU搭載UMPCも同時期にTabletKioskとPBJ(元PaceBlade Japan)から発売される予定。価格も599~999ドルとPDAよりも若干高めの設定という印象だ。

小型タブレットPCは以前にもソニーなどから発売されたことがあったが、いずれも不調に終わっている。ネットワークの連携がマニア層以外には難しいという点や、自宅のデータを持ち出してまで利用するコンテンツが不足していたことなどが、普及が進まなかった原因と考えられよう。しかしながら現在はi-podの広がりからも分かるように観る、聞くためのjコンテンツが豊富に存在している。今回のUMPCはPDAのように自宅のPCに加えた2台目のモバイルPCという位置づけとなることが予想されるため、今まであったPCとの連携のし易さ(接続すれば特に設定する必要が無いような仕組みを設けておくことなど)、ホットスポットや無線LANなどをりようした外出先での利用環境の整備が必要であろう。

 マイクロソフトが検索サービスに乗り出した。Windows vistaの展開を控え、Web2.0に向けたコンテンツの結びつきを強めていくための一手であると考えられる。Web2.0において、マイクロソフトは、googleなどが先行する状況の中で多少出遅れていた感がある。今回の検索サービスの投入により、googleやyahooに近づき、追い越すことができるであろうか?
 私が考える答えは「No」である。マイクロソフト自体のwindowsというOSの強みはあるものの、この検索サービスをユーザーが使うための理由が今現在は見当たらないからだ。一般の検索なら、実績のあるgoogleを使えば済む。他方で、Windowsを利用しているユーザーでファイルを共有したいもの同士が、この検索サービスなどを用いてP2Pのファイル交換などをすることが考えられる。しかしながら、このようなサービスも現に出てきており、今回の検索サービスを利用する意味が見当たらないのである。

 米固定通信大手AT&Tがベルサウスを買収するらしい。ベルサウスはSBC合弁で5,000万以上の加入者を保有する米国最大の携帯電話会社Cingular Wirelessを保有している。買収金額は650億ドル程度と見られ、7兆5,000億円にも上る大型M&A案件となる。

 一方で日本国内では、ソフトバンクのボーダフォン日本法人買収交渉もあり、日米の通信業界再編が同時進行している状況である。


【私見】

 一部報道では国際的な大型M&Aを市場の寡占化を目指した動きと述べるものも出てきているが、、ケータイ事業を他の分野(鉄鋼、電機メーカー)などと同一視するのはお門違いではないか。なぜなら、通信業界ほどナショナルスタンダードで管理されているものは無いと思われるからだ。周波数にしも設備にしても各国の規制によって制限されている。考えてみれば、ドコモほどの加入者を抱えている企業が海外に出て行かなかったこと、海外の大手通信企業がなかなか参入してこないものもそんな理由があるからかもしれない。現在ドコモのi-mode自体は海外での利用者を増やしているが、ドコモが直接通信サービスを手がけてはいない。そのため通信キャリアを語る場合には各国の状況を踏まえながら語らなければ意味がないであろう。

 

 通信業界再編について私が懸念するのは、通信キャリアが少なくなることで多様なサービスが少なくなってしまうことだ。キャリアそれぞれの独自サービス(アイデア)を使いたい人が不自由なく利用できるという環境が必要ではないか?ソフトバンクのボーダフォン買収が実現されるなら、新しいサービスの登場に期待したい。



 ソフトバンクがボーダフォンの買収に乗り出した。先日、ソフトバンクは子会社BBモバイルを介してケータイ事業への新規参入を認められたが、今回はケータイキャリア大手のボーダフォン日本法人を買収することで顧客囲い込みを図っていくものと考えられる。買収金額は1兆円以上と報道されているが、もし今回の話が成立したらケータイキャリアの業界マトリクスはどのようになるのであろうか?

 今年の11月頃施行が予想されるMNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)を踏まえて考えてみた場合、グループ全体でおよそ1,000万件以上保有している固定通信顧客に固定通信とケータイの安価なセットプランを提要していくことで、他社からの顧客獲得を図り、業界内で最も低レベルな解約率を目指すものと考えられる。

 また、設備に関しても、ボーダフォンの基地局を利用できるというメリットがある。新規参入で問題になると考えられるのは基地局の場所の確保ではないかと私は考えているが、その点である程度のロケーションを確保できることは新規参入の他社(イー・モバイル、IPモバイル)と比較しプラスに働いてくるものと思われる。 

 業界内での位置づけに関しては、単純にボーダフォンの顧客1,500万件と、同社既存顧客1,000万件を合計すれば、2,500万件となり、auの2,480万件に並ぶキャリアの登場も絵空事ではなくなってこよう。