夏は五臓のうち、心に負担がかかる季節で、
動悸、不眠、多夢など心の不調が起こりやすいといわれています。
梅雨を経てこれからやってくる本格的な夏を健やかに過ごせるように、
心の機能を補う食べ物を取り入れてみてはいかがでしょう。
心の機能を円滑にする養心、強心の働きのある食材は
蓮の実、ひじき、豚心臓、鶏卵など、
動悸、睡眠障害などを解消する安神の働きのある食材は
玄米、百合根、アーモンド、あさり、いわし、帆立、
ジャスミン、大棗などが挙げられます。
五行学説に基づいて世の中のあらゆるものを
木、火、土、金、水の5つに分類すると、
五菜といって五臓を充実させる野菜には、
心に対してらっきょう(薤)が配されています。
らっきょうが出回る時期は短いですが、
塩漬けあるいは塩で下漬けした後、
醸造酢と砂糖や蜂蜜などで甘酢漬にすれば、
夏になる頃、美味しく食べられます。
今年はジップロックを利用して、
海の精と梅玄米酢でらっきょうを漬けました。
らっきょうの食用する地下鱗茎をそのまま、または湯通しして乾燥したものは
薤白(がいはく)とよばれる生薬で、
胸痺の要薬といわれ、
胸の痛み、背中の痛み、喘息や咳、下痢の改善に使われます。
薤白を配合した括樓薤白白酒湯(かろがいはくはくしゅとう)、
括樓薤白半夏湯(かろがいはくはんげとう)、
枳実薤白桂枝湯(きじつがいはくけいしとう)は
中国最古の臨床医学専門書「金匱要略(きんきようりゃく)」に
収載されている胸痛の漢方薬です。