昔々あるところに

ねえねえうさぎと

もちろんばあさんと

にこにこじいさんがおりました



ねえねえうさぎ聞きました

「ねえたからものってどんなもの?」

「それはもちろん、大事にしまっておくものがたからものじゃよ」

もちろんばあさん言いました


「何を大事にしまっておくの?」

ねえねえうさぎ聞きました

「それはもちろん宝石とお金じゃよ」

もちろんばあさん言いました

「それはどこにしまえばいいの?」

ねえねえうさぎ聞きました

「もちろん金庫にしまっておけばいいんじゃよ
そうすれば誰にも取られないし無くなることもないんじゃよ」

もちろんばあさん言いました

だけど

にこにこじいさん言いました

「千年後にはただの石と紙かもしれんのう」



ねえねえうさぎ聞きました

「ねえたからものってどんなもの?」

にこにこじいさん言いました

「わしの家族が宝じゃよ」

「家族も金庫にしまえるの?」

ねえねえうさぎ聞きました

「仮に金庫にしまえたとして

いずれは必ず別れるものじゃ」

にこにこじいさん言いました

「そしたらたからものじゃないじゃない」

ねえねえうさぎ

頭をフリフリ言いました


にこにこじいさん

にこにこしながら言いました

「だけどそれは、しまわれるのじゃ」

にこにこじいさん

うさぎの胸に手を当てて

「聞いてごらん ほらここに、あるじゃろう?」







私は、大切なものの死を身近に見て

ずっと考えていました。

大切なもの、たからものって

って何だろう。


もしも神様が私達を作ったのなら

神様はきっと

大切なたからものは

誰にも見えないように

作ったのかもしれないと思います。


本当に大切なたからものは

目に見えないけど

誰の心のなかにも

あるものなのかもしれないです。