内径65.5mmとして販売されていたシリンダの内径(1枚目)と、それに付属していた、先日の記事にて縦傷の問題を指摘したピストンの外径(2枚目、研磨後なので元より小さくなっている)をご覧ください。どちらもmmで整数部は65です。また、シリンダ内径はピストンスカートに対応する部分、ピストン外径はもちろんスカート部(下から6mm)での計測です。

↑シリンダ内径 65.35mm

↑ピストン外径 65.40mm

精密部品の計測なのでノギスでは能力不足かもしれませんが、証明でない比較には十分でしょう。ピストン外径がシリンダー内径より大きいです。縦傷が入るのは当然です。首振り以前の問題でした。しかしピストン全高が他に比べて小さいことは事実だったので、先の検証は無意味ではなかったと思います。

 

こうなると、シリンダ内径を判明したピストン外径に対応させる必要がでてきます。

より適正と思われる全高のピストンが届いたので、その外径で計算します。

 

↑新ピストン外径 65.45mm

 

これもシリンダ内径より大きいです。

肝心の計算方法ですが、サービスマニュアルの寸法表を用います。実数値は掲載しませんが、CB125Fの腰上寸法表からシリンダ内径(「シ内」と表記)とピストン外径(「ピ外」と表記)を引用し、割合を算出します。たとえばシ内の限界値が100.00mmで、ピ外の限界値が98.00mmであった場合、シ内/ピ外は102.04%、ピ外/シ内は98.00%となります。いま、シ内の理想値を算出したいので、シ内/ピ外の値を算出すれば円滑です。

 

シ内理想値をa、シ内/ピ外を定数bとした場合、a/ピ外=b→a=b×ピ外 です。

 

サービスマニュアルには「正常範囲下限」「正常範囲上限」「部品使用限界」の3つの値がありました。シ内とピ外でそれぞれを対応させて計算すると、上記のような結果になりました。これらの値を新ピストンの外径にかければ、シ内の理想値が算出されます。

基準が3つあるので結果も3つ出ますが、そのなかでもシリンダを削らねばならない量が最も小さく保守的なものは65.47mmでした。シリンダ内径を65.47mmまで拡大します。

 

今回の内容はシリンダとピストンの接触というところから真っ先に疑うべきとは思いましたが、純正部品ではもちろんこんなことはないし、このタイミングで気づいたのも、ややもすれば早いほうなのかもしれません。シリンダガリガリ後の結果報告をお楽しみに!