私が乗っているCB125Fのシリンダーは、旧型モデルにあたるCBFシリーズのシリンダーと互換性があり、同様にCBFのボアアップシリンダーにも互換性があるようです。

 

※字義通りのボアアップとは、シリンダーをボーリング加工し内径を拡げ、拡大後のシリンダーに対応するオーバーサイズピストンを入れることを意味すると考えています。私が考えているのは、厳密にはシリンダーおよびピストンの交換というのが正しいです。

また、今後、ボアアップは字義通りの行為ではなく、シリンダーとピストンの交換を意味するものとして扱います。

参考までに、ストロークのみを増すことはストロークアップ、ボアとストロークの両方を増すことは、「スープアップ」(souped-up)というそうです。スープにまるっといろいろな具材が入っていることから、soupには「まるっと」「一緒くたに」といった核の意味があり、したがってsouped-upはボアとストロークを「一緒くたに」増大するという意味になっているのでしょうか。邪推でした。

 

 

150ccのシリンダーはすでに所持しています。しかし、欲は尽きることがなく、更に上の排気量、ボアアップシリンダーが存在するところでは180cc、200cc、223ccまでボアアップしたいとも思っています。

 

シリンダーヘッドは125cc純正が載り、圧縮比(:1)は9.20から11.20になります。

 

ここで問題となるのが、シリンダーを更に大きくした場合の圧縮比です。ノーマルCB125Fの圧縮比の算出過程をみてみます。

 

 

行程容積とはシリンダーとシリンダーヘッド内の空間のうち、ピストンが上下する範囲の容積です。これは諸元表でいうところの排気量にあたります。燃焼室容積は同じ空間のうち、ピストンが入ってこない範囲の容積、つまり余りです。

 

いま、諸元表から圧縮比(:1)=9.2、行程容積=124.7が判明しているので、燃焼室容積=Cとしてそれらを代入すると、9.2=(C+124.7)/C C≠0より両辺にCをかけて → 9.2C=C+124.7 → 8.2C=124.7 → C≒15.20 となります。

 

ノーマルシリンダーヘッドの燃焼室容積は15.20ccでした。

 

ボアアップによる排気量増大の場合、その名が示すとおりストロークは変化させず、ボア(シリンダー内径)の拡大によってのみ排気量を変化させます。したがって、シリンダーの高さによって多少の変化はあれど、シリンダーヘッドを換えず、シリンダーを換えた場合の燃焼室容積は一定と考えます。

 

候補としているシリンダーを使用した場合のそれぞれの圧縮比を計算してみます。

(燃焼室容積=15.20cc、ストローク=57.80mm)

 

CBF150用のクランクシャフトはピストンピン径が14mmですが、いまのところクランクシャフトは純正(ピストンピン径13mm)を使うつもり(組み換えが面倒くさい)なので、ピストンピンは13mmのもので検討します。

 

①行程容積=174.41cc ボア62.00mm

 

②行程容積=182.96cc ボア63.50mm

 

③行程容積=194.66cc ボア65.50mm

 

以上3点について、CB125F純正シリンダーヘッドと組み合わせた場合の圧縮比は以下のようになりました。

 
参考までにいくつかの車種の圧縮比と使用ガソリンを挙げてみます。
 
 
 
データが少ないですが、おおよそ圧縮比12台にレギュラー仕様とハイオク仕様の分水嶺があるように見られます。もちろん使用ガソリンを決める要因は圧縮比だけではなく、開発志向(どのようなバイクになるよう作られたか)などもあるでしょう。
 
以上から生じた懸念点が1つあります。中華汎用エンジンが13.00を超える圧縮比に耐えられるかということです。上記の表で圧縮比が13.00を超えているのは、サーキットでの使用も視野に入れたR6とR1のみです。これらのエンジンはそれなりの金額をかけて強度をもたせてあるはずで、またCB125Fのように汎用ではありません。
また、参考にしたこちらのブログによると、全排気量区分のなかでも最高の圧縮比(:1)は13.2であり、検討している200ccシリンダーを使用した場合の圧縮比(:1)13.81以上のエンジンは存在しないようです。このような高圧縮比を廉価の汎用エンジンに担わせるのは危険であると考えられます。
 
また、同ブログの250ccクラスの圧縮比ランキングを見てみると、最高圧縮比(:1)は12.50となっており、125ccクラスでは11.60となっていました。線形的に補間してみると、200ccでの最高圧縮比(:1)は12.14となりました。単純な計算でしかありませんが、この数値内に収めることを目標とします。

 

 

線形補間についてはこちら

 

 

目標とする圧縮比の範囲が決まったところで、今回の内容は終了とします。次回は圧縮比調整のために使用するシリンダーヘッドを検討します。

 

さいごに、以上のカスタムはすべて法律に則って行う予定です。