最近劇場版ヱヴァQを見返した。

スタッフロールの中、宇多田ヒカルの「桜流し」が流れる。ふと忘れていた記憶が蘇ってきた。


私が幾つの頃だっただろうか。祖父とヱヴァQを見に行った。祖父は元々SF等が好きだったので、普通に承諾して私の付き添いをしてくれた。当時の私は生粋のエヴァ好きだったので、正直見れるなら誰でもよかった。でも特に大好きな祖父とならもっと良かった。

ずっと没頭して見ていた。映像と音の迫力に魅了された。ただただ現実を忘れた。映画自体が素晴らしかったのは間違いないが、楽しかったのは祖父と一緒だったからだろう。興奮冷めやらぬまま祖父と帰った。そのように記憶している。


最期に会ったのが亡くなる1、2ヶ月前だった思う。一人で呼吸ができなくなり、人工呼吸器が喉を貫いていた。喋ることもままならず、私は耐えられなかった。吐くように涙を流した。そして大体2年前、祖父は亡くなった。私が唯一楽しく話をする事が出来た人だった。生きる支えで、科学を目指す者として尊敬する人だった。


桜流しにこのような歌詞がある。

『もう二度と会えないなんて信じられない

 まだ何も伝えてない

 まだ何も伝えてない』

これを聞いた時、涙が溢れた。これ程に私の心を表してる曲は無い、と。未だに受け入れられてない節がある。折り合いを付けようと何度もしたが、結局何ともならなかった。私も…いつかシンジくんのように、全てに決着をつけることが出来るのだろうか。