2 具体案

(1)大学の形態

 現代社会において、社会的に時短の流れが大きくなり、その結果として週休二日制のみならず、残業時間の抑制と言った形で現れつつある。その結果として、生じた余暇時間を有意義に使うため、スポーツクラブなどと並んで、語学学校やコンピュータースクール等の各種学校が盛況となっている。自分の生きがいや自己のステップ・アップのためのため学ぶ生涯学習は一種のブームとなっている。この傾向は、各種学校レベルに止まらず、より専門的な学習に対する需要用も大きい。大学院レベルにおいても筑波大学において夜間大学院が設置されるなどの実例もある。

 

 そのような社会的潮流の中で、所期の目的を達するため、本大学は、社会人を主な対象とするものであり夜間のみの履修で卒業が可能な形態が必要である。社会人を対象とした大学としては従来からの各大学の二部制がある。しかし、一部の滑り止め化していると言われて久しく本来の社会人が積極的に学ぶ場としての色彩は薄くなり、その評価は社会的には決して高いものとはなっていないのが現状ではなかろうか。そのため、従来の大学の二部制といった枠組みに捕らわれず、より現代的な在り方が必要である。

 

 具体的には、昼間部と夜間の混合的なもので、夜間を主体とするものの昼過ぎから授業が始まるものとする。この形態により、さまざまな学生が混在することにより、画一的な学生のみが存在するケースよりも、有形無形の効果があるものと考えられ、社会的にも従来と異なった評価が得られるものと思われる。これは、現在早稲田大学の社会科学部において採用されている形態である。早稲田大学においては、昭和40年代後半に従来の社会科学系学部の2部を統合する形で社会科学部を設置し、現在その社会的評価は高いものとなっている。

 

1991年9月