弥生時代の歴史 藤尾慎一郎著 講談社現代新書 | takacciの「見た・観た・聴いた・読んだ」

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音楽に関すること、観たこと、読んだことへの感想などを書いていきます。(文中敬称略) 2019年4月より別サイトで掲載していた写真の記事も同居させましたが、20年7月に元に戻しました。

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炭素14年代測定法の精度が上がった結果、従来弥生時代の始まりは紀元前5世紀と考えられていたものが500年さかのぼって前10世紀であるとする研究結果が発表された。2003年のことだった。この本では前書きでこの出来事と炭素14年代測定法の原理・並びにその測定法の精度向上がどのようになされたかを説明しており、本文は(新しい区分での)弥生時代の前から説明し始めて古墳時代の始まりまでカバーしている。前書きにも書いてあった通り、この本は新しい区分に基づく弥生時代の通史だった。

 

古代史の論争を意識し慎重な書きぶりであり、私のような「ちょっと興味があって読んでみたくなった」者には手堅すぎる本だった。弥生時代の各時期を代表する遺跡の名前が次々出てくるが、私はグーグルマップで検索して場所を特定しながら読まなければならなかった。(それでも各遺跡の名前はすぐ思い出せなくなった。)

 

それでも当然のことながら、今まで思っていたのとは違う弥生時代の姿が提示されていて、勉強になった。上手くまとめて提示することは出来ないので、以下箇条書きに書き出してみる。

 

・ひと昔前まで時代の指標はその時代の土器の形式で決められていたが、弥生式土器と土師器の使い分けがうまく処理できなくなったので、今では水田耕作をしていたかどうかで弥生時代か否かを区別している。

 

・東北北部ではかなり早い時代に水田耕作が始まったと認められるのだが、300年ほどするとそれを止めてしまった。

 

・時代の変遷に伴い出土する遺物は変わっていくのだが、それを検討すると、北九州における鉄製品の出土に先端性が見られるのに、近畿域においてはそうなっておらず、古墳時代の中心となる道筋は「まつりごと」が重要だったようだ。

 

・水田耕作、金属器の伝搬普及、墳墓の変遷など、弥生・古墳時代を考察するに当たっては、朝鮮半島や古代中国の歴史情勢や遺跡の検討が当然のように求められる。

 

他にも多々勉強になる点があったが、全部は覚えられなかったのでこの辺で。