海の日本史 江戸湾 石村智・谷口榮・蒲生眞紗雄著 洋泉社 | takacciの「見た・観た・聴いた・読んだ」

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音楽に関すること、観たこと、読んだことへの感想などを書いていきます。(文中敬称略) 2019年4月より別サイトで掲載していた写真の記事も同居させましたが、20年7月に元に戻しました。

本ブログの無断転載はお断り致します。

先ずは江東区の住民として、付近を流れる川に付いて、その成り立ちを概観できたことが、この本を読んで大変ありがたかった点だ。江戸時代に行われた利根川東遷と荒川西遷という大土木事業のことがざあっとではあるが紹介されており、現在の川筋を理解するのに大いに役立つ。これに更に中川の成り立ちや、明治以降の荒川放水路開削の説明が付いていればなお嬉しかっただろうけれども、この本の守備範囲は江戸時代末期のお台場建設のところまでとなっている。

 

逆に古いほうは、昭島市の多摩川河川敷で発見された160万年前のクジラの化石の話から始まっている。その辺りが当時海だったことの証明とのこと。ナウマンゾウの化石の話も面白い。詳しくは本を参照して頂きたいが、ナウマンゾウとは日本列島固有のゾウだったそうで、遅くとも65万年から42万年前に出現し、1万5千年前頃絶滅した種類だとのこと。

紙面の関係でごく簡単に触れられているのだろうけれど、さすがに最新の情報が描く太古の江戸湾周辺の地形、海岸線の変遷は面白い。

 

青戸、奥戸、亀戸、今戸、花川戸、江戸、松戸、と水辺に多く見られる地名の中の「戸」は「津」が転じたものとのこと。恥ずかしながら知らなかった。

 

他にも江戸城築城前後の開発が進むさまなど盛り沢山の歴史が書かれていて、読み応えがあった。

 

ただしやたら校正漏れのような文章が見受けられたのは残念。私が読んだのは初版だから、今後の版では改善されることを願う。