頑張った「ジュピター」 | takacciの「見た・観た・聴いた・読んだ」

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音楽に関すること、観たこと、読んだことへの感想などを書いていきます。(文中敬称略) 2019年4月より別サイトで掲載していた写真の記事も同居させましたが、20年7月に元に戻しました。

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1月28日(日)は三鷹市芸術文化センターでAbendstern Chamber Orchestraの第12回定期演奏会を聴いた。プログラムによると明星学園アンサンブル部の卒業生を中心にして結成され、その後メンバーに広がりが出て来ている楽団とのこと。Abendsternはドイツ語で明星という意味だとプログラムは説明してるけど、「宵の明星」乃至は「夕星」のことでしょう!

 

演目はルロイ・アンダーソンのアイルランド組曲とヴィヴァルディの弦楽のための協奏曲、休憩を挟んでサンサーンスのフランス軍隊行進曲とモーツアルトの「ジュピター」。

 

ジュピターの印象がとても強かったので、もはやアイルランド組曲とフランス軍隊行進曲がどうだったかよく思い出せない。なかなか楽し気な演奏だっただろうか。ここのところアマチュアと言っても玄人はだしの演奏を立て続けに聴いてきたので、久しぶりに私が思うようなアマチュアらしい音を出す楽団を聴いた、と思った。

 

ヴィヴァルディの演奏の前に前口上?があって、それはエレキギター伴奏、フルート独奏による春の海の演奏付きだった。エレキギターを使うあたりに若い人の感覚が窺われたし、結構面白い演奏になっていた。そちらに気を取られて口上がどういう話だったか頭に入らなかったけれど、、、

そして驚いたことに、エレキギターは弦楽のための協奏曲のチェンバロの代わりにも使われた。でもこちらではあまり効果を上げていなかったように聞こえた。さすがに無理なものは無理。弦楽も1stヴァイオリン以外のパートは表立つべき箇所でも「伴奏者」であり続け、全体的に精彩を欠いていたようだ。

 

さて楽しみにしていたジュピターである。一つだけ厳しいパートがあって全体の合奏が苦しげだった。メヌエット楽章の終盤では縦の線が揃わなくなり、空中分解しそうになってハッとしたけれど、何とかなった。しかし、終楽章ではそういう危機は生じなかった。ひたむきにジュピターに取り組む団員の熱意と対位法的終楽章の困難さががっぷり四つに組んで競い合い、最後に楽団がやり遂げて大団円となる。まるでクラシック音楽を舞台にした青春映画、青春ドラマが目の前で繰り広げられているようであり、実に胸に迫ってくる演奏だった。プログラムによると、ジュピターを「死ぬまでに1度は演奏したい」という団員も居ての演奏でもあったのだから、なおさら迫力を感じたのだろう。

 

正直なところジュピターってこんなに演奏するのが大変な曲だとは思っていなかったのだけれども、こういうひたむきな演奏を聴いたら、上手な人が軽々と演奏するよりもずうっとふさわしい曲に思えてきた。こういう「高み」にチャレンジができるのはアマチュアの特権と言えるかもしれないし、入場無料で練習の成果を問うのも良い形だと思った。