DNAで語る日本人起源論 篠田謙一著 岩波現代全書 | takacciの「見た・観た・聴いた・読んだ」

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音楽に関すること、観たこと、読んだことへの感想などを書いていきます。(文中敬称略) 2019年4月より別サイトで掲載していた写真の記事も同居させましたが、20年7月に元に戻しました。

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DNA解析によりホモサピエンスはアフリカで誕生し世界中に拡散していった、という考え方が定説になっている。この本はそのアフリカ内でどのように拡散していったか、から書き始め、そのごく一部が中東に進出、そこからかなり複雑な経路を経てアジア、ヨーロッパに広まり、更にはオセアニアやベーリング海峡を越えて北アメリカ、南アメリカに広まっていったことを記述している。表題からそういった日本到達以前の話は簡単で日本人の起源に直接関わる説明が多いのかと思って読み始めたのだが、そうではなかった。そしてそのような内容で本にして頂いたことをありがたく思った。

 

農耕文化を伝えた人々が日本に広まる以前から日本に定住していた人々について、私はアフリカからの地理的距離の違いから、南から来た人々の方が主流だったのではないかと感じていたのだけれど、むしろ沿海州、樺太、北海道が地続きだった氷期にそちらから入ってきたと思われるDNAの方が色濃く残っている、と書かれていたように思う。(よく覚えていないので南からのDNAと大差がないと書かれていたかもしれないが ^o^; )

 

非常に古い時代から遥かに離れたヨーロッパとアジアでDNAの交流があったことも示唆されていて驚いた。

 

DNAデータを抽出できる古い人骨は少ないとはいえ、今後データは徐々に増えていくだろう。現代の私たちから抽出されるデータも数が揃えば昔を推定する貴重なデータとなる。今後この分野の精度がどんどん高まることは確実と思われる。一方ではそのような人骨は民族的聖地で聖骸と崇められていることもあるわけで、著者の言うようにきちんと保存できる施設で管理するのは難しいようにも感じた。DNAと聞くと近々は誤審に繋がった精度の良くない時代のDNA鑑定を想起してしまうけれども、この学問の分野ではそういうことの無いように、或いは十分な再検証が保証されるように願いたいものだ。