敗者の古代史 森浩一著 中経出版 | takacciの「見た・観た・聴いた・読んだ」

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音楽に関すること、観たこと、読んだことへの感想などを書いていきます。(文中敬称略) 2019年4月より別サイトで掲載していた写真の記事も同居させましたが、20年7月に元に戻しました。

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サブタイトルに「記紀を読み直し、地域の歴史を掘りおこす」とあり。

饒速日命(にぎはやひのみこと)と長すね彦の話から大友皇子までの古代史に敗者として登場する人物の物語を記紀(古事記・日本書紀)から取り上げ、そういう人物が勝者(歴代の天皇と言ってほぼ正しいと思う)と競合する力を持つに至った背景を紹介している。記紀は勝者の正統性を示すためのものであるから敗者は常に悪者として描かれているのだが、考古学者としての著者は敗者となった人々の力のバックグランドを探り、その力の源泉となった地域との繋がりを考え、その地域にどういう勢力が存在してどのくらいの力を持っていたのかを想像している。

私は古代史に関して初心者なので「雌雄を決する戦い」のありさまを活きいきと再現してもらうことを期待してしまうのだけど、この本は歴史小説ではないので戦いに関しては歴史資料に基づきあっさりと触れられるだけだ。それにしても天皇の跡目争いってのはまことに血で血を洗う権力闘争が多かったことが分かった。

19章に分けて描かれる闘争の登場人物は毎回印象的だった。しかし名前が長いし読み方が難しいので覚えられない。もう一度読み直すという手も頭に浮かばないでもないが、むしろここは忘れるにまかせておき、古代史関連の本をいろいろ読む中で何回も触れられるだろうからその繰り返しの中で頭に定着させようと思う。

文中に出てくる地名がどの辺りの話なのかが分かりずらくて何回もグーグルマップを参照した。できたら本書の中に歴史地図を取り入れてほしかった。しかし関連図書として何回も同じ著者の「図説日本の古代」という本が出てきたところを見ると、それを買ってくれということなのだろう。