1987年から3年間「ビジネス・ボイス」に連載された対談を1992年にPHPから単行本として出版し、それを2002年に文庫化した本。
少し古い本だが、壇ふみとの交換エッセーを読んでファンになった著者の本であり、それが新聞で紹介されていたので借りて読んだ。
対談相手は開高健、城山三郎、渡辺淳一、辻井喬、山田太一、宮本輝、椎名誠、村上龍、景山民夫、遠藤周作、野坂昭如、そして最後に実父の阿川弘之。
先輩作家の愛らしいお嬢さんを相手にしての対談ということで、対談相手は失礼の無いように気を付け、半分以上の対談相手は聞き手に何かためになるようなアドバイスをしようとしていたように感じた。気を使っているという感じである。それでも渡辺淳一が性愛について語り始めると、読んでいて読み手である私までもが居心地悪く感じられるように思えた。仕事上仕方ないとは言え、聞き手にとってきつい対談だったのではないだろうか。
対談相手の話の中で良かったと思うのは景山民夫と野坂昭如。
景山民夫による全共闘世代の振り返りと意味づけ、それと「喧嘩」の仕方についての意見が、おそらく標準的で新味のあるものではなかったのに面白く読めたのは、他の対談者が社会的に比較的内向きな話に終始していたので、彼のように前向きな元気を見せているのが目立ったためだろう。
野坂昭如はその生い立ちの話が印象的。他者が文章で簡単に紹介するとすれば一ページくらいで書ける内容かもしれないが、本人が語っているのだから当然現実味があり、凄かった。二人の娘への偏愛ぶりは、黒眼鏡のニヒルな焼け跡派という第一印象と大きく異なっており、意外で面白かった。