日本文学史古代・中世篇五 ドナルド・キーン著 土屋政雄訳 中公文庫 | takacciの「見た・観た・聴いた・読んだ」

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音楽に関すること、観たこと、読んだことへの感想などを書いていきます。(文中敬称略) 2019年4月より別サイトで掲載していた写真の記事も同居させましたが、20年7月に元に戻しました。

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古代・中世篇の一から四同様楽しく読み通すことができた。

内容は目次を引用すれば一目瞭然かと思う。

・鎌倉時代の王朝物語

・鎌倉時代の日記文学

・徒然草

・中世軍記物語

・連歌


目次を見て、徒然草が面白そう、あとは淡々と読めばいいか、と思った。なにしろ武士の政権の世となり貴族文化は衰えたのだろうから、これまで読んできた部分より、ドナルド・キーンの説明もつまらなくなるのだろうと考えたからである。しかしどの章も面白かった。


物語の章では解説・コメントを交えながらあらすじが語られる。題名だけしか知らなかった物語の中身を覗くことができて楽しかった。軍記物語では義経記(ぎけいきと読むそうだ)での義経の逃避行が特に面白かった。歌舞伎で描かれる逃避行とは随分違うように書かれているようだ。別の物語では足利尊氏、新田義貞、楠木正成などの大スターも続々登場し、強気が人生に良くも悪くも強く影響した後醍醐天皇ともども、命を懸けた激動の時代が偲ばれた。

曽我物語は多く引用される高名なる物語であるのだろうが、キーンの説明を読んでもなぜこれまでそんなにもてはやされてきたのか分からなかった。


連歌に関しては日本史の教科書で数行の言及があるだけだったし、それ以上のことは何も分からずに居たのだが、キーンの説明で例を読んでいくと思いの外奥の深さと良さが伝わってきた。当時の詠み手自身が「連歌の良さは実際に和歌・連歌を作る人にしか理解できないものである」と書き残しているようだから、懇切丁寧な注解がないと読めそうもないのだが。


当時の文学の説明をしていても戦乱・激動の時代背景が浮かび上がってくる。歴史本とは違う観点から「歴史」を勉強できた一冊だった。