浅利演出事務所公演【夢から醒めた夢】を鑑賞してきました。
劇団四季時代から大好きな作品で、浅利演出事務所での上演が発表されて即観劇を決定するも、チケット取りに手こずり、座席は6列センターの惨敗。
こちらキャストボード。
赤川次郎氏の児童書籍から生まれ初演から30年目のミュージカルで、作品の上演権が劇団四季から浅利演出事務所に移って、今回ほとんどの衣装が初演時の『20世紀版』に戻った事は開幕前から報じられてましたが、振り付けなど演出面も大幅に変更に。
まず、劇団四季での公演では上演前から劇場を賑わせ、作品の世界へ誘ってくれた【ロビーパフォーマンス】の廃止。
これは浅利さんの意向なのか、或いは自由劇場と言う狭い劇場での上演だという事で、ロビーパフォーマンスを行えるスペースが確保出来なかった為なのかはわかりません。
また、終演後の【お見送り】もありません。
ロビーパフォーマンスやお見送りだけではなく、作品自体も様々な手を加えられ、だいぶシンプルになりました。
客席(如何にも怪しい布を被せた場所)から登場していた夢の配達人は、普通に舞台上からの登場に変更になり、遊園地のシーンなどで派手な振付は影を潜め、またホイールなど大掛かりな小道具も派手なセットも無くなりました。
振付の面で一番驚いたのは、【二人の世界】と言えば、作品を知ってる人なら大抵の人は思い浮かぶであろう、♪花ひ~らく~…の時にピコとマコが揃って脚を高く上げる振り付けが無くなってた事。
あんなに知られていて、且つ見映えもする振付を大胆にカットしてしまうなんてある意味で凄いと思いました。
逆に、♪二人の心触れあえば~…の部分で、ピコとマコが手を合わせるなど、メッセージ性を含んだ振付が加わったかなぁと。
全体にシンプルになった舞台を見て思った事がひとつ。
浅利さんが四季の演出家だった頃に、俳優の演技について良く言っていた【削ぎ落とす作業】を作品自体に施した感じなのかも知れません。
あれもこれもやりたがるけど、それを全て削ぎ落してこそ本当に良い演技が生まれる、と言っていたのを思い出して、作品についても同じ事を言えるのかなって思いました。
本当に良い作品は余計な飾り付けなど無くても伝わるものだ、と言う事でしょうか。
他、変わったなぁと感じたのが、霊界空港のシーン。
これは【ここは霊界空港】の曲がまるっきり変わってました(歌詞は同じ)
伴って振付も大幅に変更になっていますが、デビルが他の役人たちと仲良く振付に参加してるのが衝撃的でした(笑)
ピコの衣装が赤いショーパンにショッキングピンクと赤のトップスという、お世辞にも小学生がする格好とは思えない衣装の【21世紀版】(しかも身長170cmオーバーの岡村美南さん…^-^;)しか見た事ない身としては、一見【ちびまる子ちゃん】と間違えそうな配色の【20世紀版】の衣装で同作品を観れた事は感動に値するのですが、キャスト達の衣装が全然違うのに台詞はみんな同じ事を喋ってるので、ちょっとした違和感が…(笑)
何というか、夢醒めを見てるのに夢醒めじゃないみたいな変な錯覚…(^-^;)
マコの衣装に関しては、20世紀版21世紀版ひっくるめ可もなく不可もなく、と言った所で色使いや形から、お人形さん的な20世紀版と爽やかなお姉さん的な21世紀版って感じなんだけども、実は元四季の荒川久美江さんのブログで衝撃の写真を見ました(笑)
荒川さんは子供ミュージカルだった頃の【夢さめ】(夢醒めではない)のマコ役のオリジナルキャストだったそうで、こちらの記事に【夢さめ】時代の写真が載ってたのです。
この写真を見る限り、マコも昔はピコに劣らず不思議な衣装だった様子(笑)
マコ母役の野村さんの喉の調子が相変わらず芳しくなく、大好きなデュエットナンバー【素晴らしい一日】の出来があまりに悪かったのが残念ですが、やっぱり内容は素晴らしく…【マコの物語】【ぼくのいきさつ】は感情を揺す振られ、【あなたのために】でうるうるっと来て名曲【愛をありがとう】でしっかり涙腺崩壊。
改めて、この作品は名作だと思いました。
浅利演出事務所は再演の頻度が比較的高いので、再演時にはまた観に行こうと思います。
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