一昨年はウィキッド、去年はジーザス(笠松マリアデビュー公演)と、夏休み初日お一人様鑑賞をやって、今年はファミリーミュージカルの【王子とこじき】です。自身の四季鑑賞は通算136公演目になりました。

王子とこじき、と言えば、3年ほど前に起こった一連の上演中止騒動の一端を担った作品ですね。
↑2012年頃、既に上演作品として発表済みだった【ひかりごけ】【王子とこじき】【ブラックコメディ】【壁抜け男(大阪)】と、立て続けに4作品も上演中止になり、騒ぎになりましたね。
あれから3年を経てやっと上演されたワケですね。
制作陣も興味深い今作、原作はウォルト・ディズニー、延いてはディズニーの世界に多大な影響を与えたと言われているマーク・トウェイン。
そして台本・作詞は、かつて劇団四季演出部に在籍していた石坂浩二さん。

キャストボード。

ハマり役だったルミエールはもう後進に譲ったのでしょうか?百々さんや、プンバァ以来久し振りに拝見した福島さん、個人的希望としては(笑)隣のドイツ帝国でハイル・ヒットラー!って叫んでて欲しい白倉さんなど、ファミミュで見るのは珍しい顔触れも。
座席は最前ドセンターより1席上手寄り。
右隣は幼稚園児くらいのお嬢ちゃんでしたが、左隣(ドセン)を確保してたのはお一人様の若い女性でした。
四季に通ってる大人って、夏休みの昼間のファミミュでもお構いなしと言うか、自分の為に容赦なく良席狙いに行きますね…笑(自分含み)
あらすじ
同じ年の同じ日に生まれた、顔がそっくりな二人。
ひとりは、ロンドンのオンボロ横丁に住む、こじきの子のトム。
もうひとりは、たくさんの家来に囲まれてお城で暮らす王子エドワード。
ある日偶然出会った二人は、着ている服を取りかえっこして入かわってみました。すると、どうでしょう。
こじきの服を着たエドワード王子はお城を追い出されてしまいオンボロ横丁へ。王子の服を着たトムは、家来たちに「ボクは本物の王子じゃない」と言っても信じてもらえず、頭がおかしくなったと思われてしまいます。
困った二人に、さらに困ったことが起こります。エドワードの父である国王が亡くなってしまったのです。
さあ大変!王子はすぐにお城に戻って国王を継がなければならないのに、こじきの服を着たエドワードが本物の王子だなんて、誰も信じてくれません。
このままじゃ、こじきのトムが国王になっちゃう!
入れかわった二人は、もとの自分にもどれるのでしょうか!?
~四季公式より~
さて、作品の構成としては、もう文句なしにファミミュの王道構成。
主要キャラが前説に出てきて、ステレオタイプな『悪い大人』(笑わせ役兼任)が出てきて、作品のテーマ曲の紹介と練習コーナーがあって、クライマックスのバトルでテーマ曲を客席に合唱させる振りがあって、舞台上でじゃ『敵のテーマ曲』と『作品のテーマ曲』が戦ってて(もしくはテーマ曲が書かれた歌詞カードが舞台上に降りてくる)、カテコらしいカテコが無くて、代わりに主演役者が『ロビーでお待ちしてます!』と言ってお見送り、と。
四季のファミミュって十中八九この構成ですが、王子とこじきも、まんまこの流れ。
ただ、他のファミミュに比べると、やや展開に無理があるかなって感じがしました。
他のファミミュって、道理が通らないシーンって魔法とかの力を借りてどうにかしちゃってると言うか、そういうもんなんです的な感じで納得させられちゃう部分があるんだけど、そういうあからさまなフィクション要素を使わずに、道理が通らない部分を説明せずに、そのままにしちゃってる感がね、少しあるわけです。
王子様とこじきのトムの出会いとかね。
さて、王子エドワードとこじきトム、並ぶと本当に良く似てます。
守山エドワードと前田トム(どんぐりまなこ組)と、小松エドワードと木内トム(釣り目組)でセットにしてるんだろうな(笑)
エドワードとトムが衣装を変えるシーンを影絵で表現するという面白い美術から、二人が入れ替わってエドワードはトム、トムはエドワードとしてお互いの世界に踏み入れるわけだけど、お互いに悪気がないから深く考えてないんだよね。
ちゃんとした計画なら、周りの人間と会話が噛み合わなくならない様に口裏を合せる程度のことはしそうなものなのに、割とおとぼけなトムはともかくとして、年の割りに凄くしっかりしてるエドワードがそこに気付かないってのがまた面白い。
物語がそういう話だから仕方ないにしても、お城に仕える従事達が『王様でしょ、だって王様の格好してるじゃん』とか言ってて、良くそこの国は滅びないものだ、と小一時間(笑)
↑仮にもイギリスだからね、その王国って(笑)
テーマ曲は短いながらにインパクトはあるメロディラインで、覚えやすく、また覚えてられる曲ですが、いかんせん話の内容がイマイチな印象を受けました。
ファミミュってどちらかというと、子供より大人が感動してしまう要素が含まれてる作品が多いけど、この作品では大人の心に訴えかけてくるものが無かったなあ。
うん、まぁ、そうなるよね、そうなるのはわかってるんだけど、でもそこでそんな事をされちゃ…(号泣)の、そこでそんな事をされちゃ…が無いんですよ。
うん、まぁ、そうなるよね、で終わっちゃうんだなぁ。もったいない。もうちょっと大人の心に響く要素がほしいです。
全体で見ると、ややトムにミスが目立ったかな。
一幕では乞食仲間を起こして回るのに使う小道具を早々に落としちゃうし、二幕のオープニングでは、テーマ曲の練習中に、被ってた王子の帽子を落としちゃうし。
まあ、小道具は踊りながら自分で回収してたし、帽子もバックで踊ってた安宅さんが回収してて、某マンマの某リサのウィッグ(笑)みたいに、いつまでも舞台上に落ちてるような事はなかったけど。
終演後のお見送りは、子供たちでにぎわってたので、誰とも握手せずに、トム(前田更紗さん)に会釈をして出てきました。
さて、次の四季鑑賞は二年半ぶりのサウンド・オブ・ミュージックです。
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