映画【風立ちぬ】 | たかびの自己満観劇ブログ
ユナイテッドシネマ豊洲にて、色々と話題になってるジブリ作品『風立ちぬ』を観ました。

実在する零式艦上戦闘機の設計主任、堀越二郎氏の半生をフィクションを織り交ぜつつ描いた作品ですね。

観た人の感想は、面白い位に真っ二つになってる上、日本禁煙学会と喫煙文化研究会がこの作品が原因で喧嘩を始める有様。

作品は堀越氏の幼少時代から始まり、三菱重工に設計技術者として入社し、ドイツへ渡り技術を学び海外に大幅に遅れている日本の航空技術を何とか追いつかせんと研究し続ける姿を軸に、関東大震災で出会い、後に夫人になる結核持ちの少女(ポスターなんかに描かれてる、パラソルにイーゼルの子)との交流や、夢の中の出来事として海外の航空技術者との交流と言ったアニメ的な展開を織り交ぜた作品です。

作品の時代設定は大正末期から昭和初期、ただしゼロ戦は最後に登場する程度で所謂第二次世界大戦の模様は描かれていません。

結論から言うと、個人的にはこの作品。




好きです。

つまらん!とも思わないし、駄作だとも思わないし。

まあ、確かに子供にはわからないかも知れないね。トトロが好きな年齢層の子供に見せて『子供が飽きてグズり出した!』と言うのも無理はないな、と。

当時の時代背景が事細かに描かれているのも観ていて面白いし。

堀越氏の下宿で枕元にある行灯が、うちのばあちゃんの家にあるのと全く同じ物でした(笑)

鮨詰めの三等車とゆったりの二等車が隣同士に連結されてる電車、大正末期から昭和初期に活躍した“円タク”など、この時代背景に興味ある人には本当に面白い背景の描写。

その中にあって一部不自然なアニメ的キャラ(堀越氏の上司の人とか)が混じってたり。

清楚な階級違いの病気持ちのお嬢様との運命的な再会からの純愛…この設定はフィクションらしいですけどね。

※この結核持ちの少女は、小説版風立ちぬの作者の奥様がモデルらしく、実在の堀越氏の奥様は健康に天命を全うされたらしいです。

でも、この少女の存在は美しいですね。

つつましい結婚の儀式のシーンと、住まいを出て一人病院に戻るシーン、ほろりと来ました。

この忙しない時代に生きてると、こう言った昭和初期から30年代くらいまでののどかな風景を描いた作品を観ると、いいなぁって感じますね。

あと、ニュースを賑わせている【喫煙シーン多過ぎ】問題に関しては、ジブリ=ラピュタとかトトロとか魔女とか、その類のイメージが強いと、確かに喫煙シーンはやけに目に留まりますね。

まぁ、否定派からしたら肯定派より過敏になるのは致し方ないので、この論争も仕方ないのかも。


この作品を観てつまらないと言ってる人って、例えばミュージカルのイメージが先行してる劇団四季が近代文学のストレートプレイを演じてるのを観て、つまらないと言ってるのと同じ様な感覚なのかなぁ…つまりは、つまらない→単純に面白さを理解出来てないだけ、みたいな。

あ、違うかね。