同作品は昨年に続き2年連続の鑑賞となります。
ジーザスという作品自体初見、かつキャッツの様にストーリー性が薄い物を除き、歌のみで紡いでいく作品をそれまで観た事がなく、こう言った類の作品を観る準備が不十分だった前回の鑑賞とは違い、今回はジーザスもエルサレム、ジャポネスク併せて4度目の鑑賞、台詞が殆ど無いミュージカルも、【レ・ミゼラブル】【ミス・サイゴン】【壁抜け男】【アスペクツ オブ ラブ】と鑑賞を重ね、こういった作品に対する免疫が高まった状態での鑑賞だったのもあり、作品に対する感じ方が前回とは全然違ったのが印象深かった気がします。
こちら、キャストボード。
名前があるキャストの中でも、ジーザス、ユダ、マリア、カヤパ、ヘロデ、ピラトなど主要部分は昨年鑑賞時と変更は無し。
主要キャストに関してはもう豪華の一言、特に外部から作品契約で出演してる下村さんを、夢醒め、青い鳥、ジーザスと三作連続(ジーザスもエルサとジャポネを別作品と考えると四作連続)で観れるというのも贅沢なお話。
前回鑑賞時(ジャポネスク)からの変更は以下の通り。
アンナス:阿川建一郎さん→吉賀陶馬ワイスさん
司祭1:平山信二さん→佐藤圭一さん
司祭2:清水雅智さん→清水大星さん
ペテロ:飯田達郎さん→神永東吾さん
今やキャッツやオペラ座と言った大型ミュージカルで大忙しの飯田弟を初めて観たのも、確か昨年のペテ郎だった気がします。
アンサンブルも…中村伝さん(ニボシさんとか)、玉真義雄さん(牧師とか駅長とか)、佐久間仁さん(ヒューゴとかGI青年とか)、佐藤夏木さん(パトリシアとかスペンサー夫人とか)、真優香さん(サラビとかソンダン魂のヴォーカルとか)、観月さらさん(恋人ジェニーとか)など、いつどの作品で観たのかパッと思い出せる人が沢山いるのに、ソウルガール以外みんな同じ土色なので全く見分けが付きませんでした…(笑)
プログラムも購入。
こちら、昨年版のプログラム。
ジーザスのプログラムの表紙はシンプルです。
んだば雑感。
◇今回の席は9列、実質7列センター、やや下手寄り。
◇ジーザスほど急傾斜な八百屋舞台にお目に掛かる機会もなかなかないので、その舞台に圧力を感じました。
◇ジーザスが主役の舞台だけど、ユダの心境に立って観ると色々と見えてきて面白いな、という感じ。
◇例えばオープニングでジーザスにわらわらと群がる群衆を遠くから見てるユダには、それは異様な物に見えて仕方なかったんだろうなぁって感じがするし。
◇あの民衆の『何でもあなたが正しい、あなたについていきます』というある種、宗教的な(まぁ、キリスト本人がどう考えてるかは別として、結果的にキリスト教っていう宗教の教祖なんだから、それはそうかもしれないけど)その様子を観てユダが感じてる違和感って、うまく文章には出来ないけど何となくわかる気がする。似た様な違和感を現代人も日常的に感じてるんじゃないかと。
◇ただ、指導者としてではなく普通の人間として接しているマリアとの関係にまで口を挟むユダも、ちょっとどうかなぁと感じるけど。口づけを許す様な相手ではない!って、プライベートな部分はほっといてやれよ、みたいな。
◇誰の目線で物語を追うかで全然違った作品になるんじゃないかな、という気がします。
ジーザスはジーザスで勝手に神だと崇められて迷惑してるだろうし(笑)、ユダはユダで群衆がジーザスを神に祭り立てる原因はジーザスにあると思い込んでるし、マリアはマリアでジーザスを一途に愛してるだけだし、群衆は群衆で藁にもすがる思いでジーザスにすがりついてるだけだし、カヤパがジーザスの人気急上昇振りを見て政治的危機を覚え反政治勢力の追放に乗り出すのは至極当然だし。
◇色々な思惑が、作用すべきではないベクトルで作用して混沌としてしまってる、そんな風に感じる風景と言うか。
◇そう感じるのが作品的に正しいか間違ってるかは別として、ここまで思考が回る様になっただけで自分的には大した成長です(笑)
さてそれはさておき、役者や曲に関して少しばかり…。
◇以前観た時は、エルサレム版はロックミュージカルと言いつつ、あまりロックな感じがしないなぁなんて書いたけど、そうでもない気がする(どっちやねん)
◇以前は、色々な曲を交互に繰り返し演奏する構成に、頭の中がごちゃごちゃになってしまったんだけど、今回は曲のメロディが頭の中にしっかりあった為か、ここでこの曲に戻ってここでまたこっちの曲に飛ぶのか、というのを1曲ずつ頭の中で理解しながら観れた気がします。
◇今回主要キャストに関しては、マリアを除き全てシングルキャストですが、何故かマリアだけ昨年からの引き続きになる高木美果さんと、CDキャストの野村玲子さんのダブルキャストになっており、こちらが話題に。
◇これが野村さんじゃなければ、○○マリア登場ー!高木さんも○○さんも両方観たい!○○さん気になる!…となるんだろうけど、そこは特に近年、経年による歌声の劣化が著しいと囁かれる野村さん。もう、その登場を懸念する意見で一辺倒…。
◇これが、ロングラン公演で後進が育っていない野村さんの持ち役とかなら、野村さんが無理をおして出演…ってのも理解出来るんだけども、エルサとジャポを足して1ヶ月前後の短期公演で、昨年高木さん一本で完走した役に何故今更野村さんなのか、となると、本人がストプレばかりでは嫌だと駄々こねて無理矢理出てきたか、浅利代表のご贔屓かのどっちかじゃないかと見ざるを得ないのも仕方ないワケで…。
◇ただ(劇団的に野村さんを出演させなければいけない急な事情が特になかった事を前提とすると)今年2月に公演があった、秋夢子さんとダブルキャストだったエビータの件(後半、野村さんの喉が持たなかったのか、千秋楽を除く野村さんのスケジュールが全部夢子さんに差し替えられた件)で懲りたのか、今回は飽くまでも高木さんメイン(であって欲しい)
◇高木さんの歌声は美しいね~。特に次から次から曲が続く構成の為、拍手がしずらいこの作品で最初に拍手が起こったのが高木マリアが歌う『私はイエスがわからない』でした。オレもあの曲は大好きで、昨年観た時に聞いたものが耳に残ってて、もう一度聴きたい!と思っていたので、もう一度高木さんで聴けて満足。
◇特に最後の♪あ~の~ひ~と~は~失くせない~怖くない~愛してる~~の部分のメロディが大好き。愛してる~って部分はもちろん聞かせどころだし好きなんだけど、失くせない~怖くない~の部分が、何故か感情を揺さぶられて好きなんです。
◇美しいとは別に、凄い!と改めて感じたのが、金本和起さん演じるカヤパの低音!まるで楽器で演奏されたかの様なバリトンの低い音、人間の声帯であんなに低い音が出るのかと思う様な音でした。金本さんと言うと個人的には、笑顔でティーカップに入れたスプーンをくるくるかき回してるイメージ(by 壁抜け男)が一番強い役者さんなのに…(笑)
◇曲順はかなり前後するけど、歌声で迫力あるなーって感じたのは本城裕二さん演じるシモンの『狂信者シモン』、特に後半部分の♪とこしえの栄光と~力を得たのです~と繰り返す部分は力強いし、あんなに高いキーで動き回りながら歌えるのが凄い。
◇『狂信者シモン』と言えば、昨年ジャポネスク・バージョンのオフステージイベントで歌われた日韓ジョイントバージョンを思い出します。芝さんが日本語で、本城さんが韓国語で歌ってジョイントさせるという貴重なライブでしたねー。
◇迫力と言うより、とにかく圧倒されてしまうのが芝清道さん演じるジーザスの『ゲッセマネの園』のロングトーン…♪見てくれ私の死に様ーーーーーーと、息継ぎ無しで20秒近く声を張り上げるシーンは本当に圧倒されます。あれだけ長い時間、あれだけ大きな声でブレさせずに張り上げられるなんて、どれだけ凄い肺活量なんだと。
◇これまで生で観劇した作品でこれほど長いロングトーンはソロ、合唱含め他に観た事がありません。次いでソロで長かったのは飯田洋輔さん演じるビーストの『愛せぬならば』かな…これは最近観た飯田さん、佐野さん、中井さんの中では飯田さんが一番長かった。
◇♪わ~た~し~は~り~か~い~が~出来ない~。結局物語の冒頭から己が自殺するまで、ユダはジーザスを心底理解する事は出来なかったのかと。ユダは現在で言う政党の派閥みたいなものですかね?同じ考えを持って行動を共にしてきたはずなのに、その中でちょっとした意見や考え方の食い違いから反発を起こして出来た○○党××派、みたいな。
◇カヤパ達にそそのかされて?ジーザスを破滅に追い込むシーンから、葛藤に苦しめられてついには自殺するまでの金森ユダの、あの声が裏返りかける程の絶叫は身震いします。
◇ちなみに、前回鑑賞時に、ユダが苦しみのた打ち回りながら叫ぶ『マイゴット!!』が『まいっか!!』と非常に投げやりな台詞に聞こえていたのは、今だから言えるこぼれ話(違)
◇またまたシーンが前後するけど、村さん演じるピラト総督の鞭打ちのカウントは相変わらず素敵です。この時の声に惚れて村さんが好きな俳優になったと言っても過言ではありません。実際にジーザス以前に村さんを観た『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐の印象は残念ながらほとんど残ってません。昨年ピラトを観てから自分の中での村さん株が急上昇し、以降アスパラガス/グロールタイガー(キャッツ)、ジョージ(アスペクツ)など注目しました。来年、東京再演となるSOMでも、もう一度村さんのトラップ大佐が観れればなと思います。
◇そして、相変わらず特異なキャラの下村さん演じるヘロデ王。もう、出番はたった一場だけなのに、空気を全部持って行きます。今回は♪君はクライスト~と歌いながら足を振り上げた時に中に履いてた金色のパンツに照明が当たり、股間が金色に輝く瞬間が見え、ツボりました(笑)
◇でも、今回は昨年観た時みたく空気を凍てつかせて笑いを取る事をしなかったのが残念。昨年は失笑気味な笑いが起きたんだけどなぁ。
◇最後のジーザスが磔にされるシーンは、その空気に鳥肌が立ちますね。歌声ではなく空気に鳥肌が立つ作品って少ないと思います。
◇この…渇き…とジーザスが呟いている時に聞こえてくるギターの歪んだ音と、ローマの人々が苦悶に表情を歪めながら去っていく姿とで、過酷に照り付ける太陽を描いてるんだろうなと、照明を使えば簡単に表現出来そうだけど、敢えて安直な方法を使わずに表現してるんだなと。
◇この渇き…と呟いてる時(生きてる時)はかすかに動いてるジーザスのお腹が、父なる神よ!私の魂を御手にゆだねます!と叫び命尽きた後、ピタっと止まるのが凄い。ジーザスが死んでから完全に暗転するまで結構な時間があると思うけど、もちろん上半身裸なので衣装で隠す事も出来ないし、その間どうやって呼吸してるのか本当に不思議です。
※昨年、オフステでその件について質問された時、鏡を見て何度も「お腹を動かさない呼吸の仕方」を研究したと答えてましたが…研究して何とかなるもんなんですね…。
そんなワケで、1年半振りに鑑賞したジーザス・クライスト=スーパースター(エルサレム・バージョン)、ジャポネスク・バージョンに比べると自分の中でだいぶ評価が低かったエルサレム・バージョンですが、今回の鑑賞は前回よりだいぶ楽しむ事が出来ました。
エルサレムより回数を観ているジャポネスク・バージョンを12月に観るのが楽しみです。
さて次回の四季鑑賞は来月7日、通算7度目にしてmy楽になるキャッツです。
楽週だからキャストでがっかりさせられる事はないだろうけど、ベストキャストで見せてくれる事に期待したいと思います。
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