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「国債の二つの役割、政府の貨幣発行と日銀の貨幣発行(前半)」三橋貴明 AJER2024.7.30
令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。
特別ゲスト川田龍平議員登場!失われる日本のタネを守るローカルフード法とは何か?[三橋TV第893回]川田龍平(立憲民主党参議院議員)・三橋貴明・菅沢こゆき
日本銀行が政策金利を0.25%、引き上げました。前回(3月)のマイナス金利政策解除とは異なり、今回は正真正銘の「利上げ」です。
さすがに、2009年から続く1.475%という短期プライムレートは上昇するでしょう。住宅ローンの変動金利が上がり、企業の借入コストも上がる。日本経済にとっては「悪い影響」しかない。
しかも、7月29日に内閣府が、
「経済成長率が高まることにより、来年度のプライマリーバランスは黒字化する!」
という妄想シミュレーションを公表した途端に、この始末。
明らかに、政府内で不整合が起きています。というか、ここで利上げをしてしまうと、景気失速がさらに悪化し、大規模補正予算を組まざるを得ないでしょう(組む必要がありますが)。となれば、来年のPB黒字化目標は、その時点で「おしまい」です。
まあ、来年、30兆円、40兆円規模の緊縮財政を強行し、日本経済を恐慌に叩き込みたいなら別ですけど。
『三菱UFJ銀行が17年半ぶりに短期プライムレートを引き上げへ 普通預金金利は0.1%に
日本銀行は31日まで行われた金融政策決定会合で、政策金利を「0.25%程度」に引き上げました。
今回の利上げを受けて、つい先ほど、三菱UFJ銀行は変動型住宅ローン金利の基準にもなる短期プライムレートを、9月から引き上げると発表しました。(後略)』
やはり。他の銀行も追随することでしょう。今回の利上げは、前回のマイナス金利解除とは異なり、実体経済に影響を与える利上げ、になりました。
日銀の利上げにより内需は回復せず、経済成長率も抑制される。下手をすると、24年度はマイナス成長になりかねません。
このタイミングで、自民党総裁選挙。
もちろん、総裁選挙が終わったとしても、アメリカ大統領選挙、FRBの利下げ(これも報じられていました)、衆院選、参院選と、政治的に不透明な状況が続きます。日銀としては、政治が混迷に陥る「前」の段階で利上げをしておきたかった。つまりは「駆け込み利上げ」だった可能性が高い。
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特別コンテンツ「三橋貴明×宇山卓栄:日本人はどこから来たのか(前編)」がリリースになりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
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もちろん、利上げを求める、あるいは喜ぶ省庁があります。財務省です。
財務省としては、来年度のPB黒字化目標などどうでも良く、「そのあと」を視野に入れている。
つまりは、国債利払費をも含む財政収支の黒字化目標です。財務省は、正気の沙汰ではないのですが、本気で国債発行「残高」を減額しなければならないと信じているのです。(あるいは、信じているフリをしている)
というわけで、財務省にとって政策金利引き上げや国債買取額縮小は大、大、大歓迎。政治家や国民に「金利」を意識させることで、念願の「財政収支黒字化目標」の導入に一歩、近づけます。
それにしても、わたくしが政局を予想すると大抵外しますが、動画でも語っている通り、岸田総理の総裁選再選の芽は、これでほぼ摘まれてしまったでしょう。
結局のところ、
「経済成長によるPB黒字化(建前上は)」
と、
「金利引き上げによる景気引き締め」
は、方向が逆なのです。
それにも関わらず、岸田内閣は日銀のコントロールに失敗した。結果、命運が尽きた、という話なのですよ。
本エントリーを読み「なるほど!」と、思って下さった方は、