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「日本はなぜ経済成長したのか(前半)」三橋貴明 AJER2024.6.4

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。

 

財務官僚の頭の中をのぞいてみた〜財務省が緊縮に拘る理由が明らかに…彼らの謎を暴いたアカデミー賞受賞作の映画とは?[三橋TV第876回]三橋貴明・saya


https://youtu.be/S2BTAhHQm_8

 

 本日は、与野党の積極財政派が集結! 消費税減税シンポジウム開催日です。

 自民党総裁選挙、総選挙が近い。議員の皆様の「本音」を伺ってみたいと思っています。


 資本主義とは、「誰か」が負債(債務、借入)を増やし、投資をすることで「預金」を創出し、生産を増やし、成長していくモデルです。投資とは厳密には「おカネを投じる」ではなく「資本を投じる(工場建設、インフラ整備、機械導入など)ですが、現実にはおカネが無ければ投資できません。


 ものすごく本質的な話をすると、弥生時代、我々の先祖は共同体に労働を提供し、水田稲作のインフラを整えました。これも、投資です。
 

 実のところ、工場建設にせよ、インフラ整備にせよ、機械導入にせよ、誰かが働き、財を生産しなければならないため、弥生時代と変わりません。当時とは異なり、現代は「おカネ」が労働の提供を誘発しているという話です。


 我々の経済は、弥生時代から基本スタイルが変わっていないのです。すなわち、投資をして成長する。弥生時代の開墾、水路建設、灌漑設備の整備、水田のための溝堀、畝づくりを「投資ではない」と主張する人は、投資(資本を投じる)の意味を理解していないことになります。
 

 そして、投資に依存した経済のリスクは、今も昔も変わらない。「何か(例えば、大水害、戦争、等)」が理由で、投じた資本が破壊されてしまうかも知れない。その場合、大損です。


 工場を建設しました。さて、我が社の商品の生産を始めよう、と思ったら、いきなり災害で破壊されてしまった。まさに、大損。投資にはリスクがつきものです。
 

 特に、デフレーション(需要不足)の時代、民間はリスクを恐れ、投資なんかしません。何しろ、市場、客、仕事、が「増えていない」わけですから、そんな時期に投資するはずがない。理由は、儲からないためです。結果、民間の負債は増えない。


 これを放置すると、銀行預金が減り(※銀行預金は銀行への融資返済で消滅する)、経済はひたすらデフレ化していく。だからこそ、政府というものがあるのです。

【日本のネットの資金需要(右軸)と非金融法人企業・一般政府の資金過不足(左軸)】


http://mtdata.jp/data_91.html#SNA


 データとは嘘をつかないもので、97・98年のデフレ化以降、日本の民間企業(非金融法人企業)の資金過不足はプラス化した。資金過剰が延々と続くことになりました。


 すなわち、「負債を増やさず、資産を増やす(もしくは負債を減らす)」ことを続けてきたわけです。


 この状況で、政府が十分な「負債の増加」すなわち財政赤字の拡大を怠ると、日本経済は大げさでも何でもなく「崩壊」します。実際の日本政府の財政赤字は、「崩壊」は防いだものの、日本経済をデフレから脱却させるには不十分でした。何しろ、ネットの資金需要(民間企業の資金不足+政府の資金不足)が対GDP比で5%に満たず(※2021年のみ例外)、小泉政権期や安倍政権期には、何とプラス化した!(その分、銀行預金が消滅した)


 というわけで、民間が資金不足を増やそうとしない以上(合理的です)、政府が財政赤字を拡大しなければならない。それを妨げているのが、PB黒字化目標というわけです。

 

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特別コンテンツ「三橋貴明×宇山卓栄:日本人はどこから来たのか(前編)」がリリースになりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

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日本再生を阻む「プライマリーバランス黒字化」 財務官僚は毎年異様に執着 現代の資本主義は政府が借金すればこそ成長できる
【お金は知っている】
 歴代の政権が6月に打ち出す「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」は各省庁の官僚作文の寄せ集めだ。それでも後半の財務官僚担当分には、日本経済の命運を左右するくだりがある。中期的経済財政の枠組みを述べる章の中のたった1行である。
 それは「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化」である。財務官僚は毎年、この1行分に関し、異様なほど執着し、首相と自民党に綿密に根回しし、事前工作を施してきた。黒字化を盛り込んだ骨太を閣議了承させる。主計局官僚が閣議決定をタテにとって各省庁からの予算要求を査定する。
 PBとは、社会福祉、防衛、公共投資、教育などの政策経費は税収の範囲内にとどめる家計簿式の発想だが、財務官僚は「健全財政」だと不勉強なメディアを洗脳する。
 現代の資本主義は発達した金融市場に支えられているが、その金融市場は国債を中心とする債務証券が主役である。つまり政府が借金すればこそ、カネの流れが活発になり、経済が成長できる。現に、米大手投資ファンドのカーライルの首脳は日経新聞6月18日付朝刊で、米景気が堅調な理由について聞かれ、「連邦政府の構造的な財政赤字」だと答えている。(後略)』

 田村秀男先生が「現代の資本主義は政府が借金すればこそ成長できる」とは、感慨深いものがあります。その通り。


 政府が財政赤字を出せば、その分、民間企業に銀行預金が創出され、財やサービスの購入に回っていく。無論、政府の財政赤字が、直接的に財やサービスの購入(公共事業、公務員雇用など)に回るケースもある。そうでない場合(年金、給付金等)であっても、銀行預金が増えた民間が財やサービスを購入すれば、経済は成長する。


 あ、ここで言う経済の成長とは「GDPが増える」であり、他に定義は(元々)ありませんからね。
 

 現実の日本は、財務省のPB黒字化目標(及び国債60年償還ルール)のせいで、予算を増やせない。信じられないかも知れませんが、この物価上昇局面において、令和六年度予算は令和五年度予算よりも縮小されてしまいました。

【令和五年度一般会計歳出(左)と令和六年度一般会計歳出(右)の比較】


http://mtdata.jp/data_91.html#5&6

 令和六年度一般会計歳出は、令和五年度よりも小さい。かつ、GDPにならない債務償還費と利払が増えているというか、財務省が増やした。


 食料安定供給関係費、エネルギー対策費は、物価が上昇している(3%程度)にも関わらず、減らした。


 公共事業の増加は0.3%に過ぎないため、やはり物価上昇に追いつけず、実質の減少。


 超、緊縮財政ですよ。
 

 とはいえ、2025年度PB黒字化を閣議決定している以上、これは当然です。PB目標がある以上、
「どこかを増やすならば、どこかを削れ」
 という予算にならざるを得ない。物価の上昇? 何それ? だから何? というわけ。


 いい加減に、この腐った構造をぶち壊そう。PB目標、そして次に来る財政収支の目標こそが、日本を亡ぼす。というか、現実に亡びつつある。

 

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