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「値上げしろ、人を囲い込め、投資しろ(前半)」三橋貴明 AJER2024.4.2
令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。
政治団体赤字黒字幹事長・大奈登場!〜政府の赤字はみんなの黒字 [三橋TV第851回] 大奈(政治団体赤字黒字幹事長)・三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/4BMAchRhZN4
日経新聞に、第二次世界大戦後の日欧(仏独など)の農業政策と結果について「正しく」書かれている記事があり、仰天してしまったわけです。
これ、こんな正しいこと、誰が書いたのか、と、末尾を見ると、何とキヤノングローバル戦略研究所の研究主幹である山下一仁氏だったため、またもや仰天してしまいました。
『食料自給率、EUと日本なぜ明暗 十字路
日本と同様にフランスやドイツなど欧州連合(EU)諸国も第2次世界大戦後は農業生産の激減による飢餓に見舞われ、食料増産に努めた。食料自給率は、1961年の78%から38%へ半減した日本に対し、フランスでは99%から125%、ドイツでは67%から86%へ上昇している。(後略)』
山下氏が書かれたように、戦時中に食料の生産能力が大きく下がった日仏独は、その後、増産に取り組み、食料自給率は一気に回復することになります。
それどころか、日本を含めて穀物の過剰生産に陥った。
その後、なぜ日本の自給率だけが下がり、仏独は下がるどころかむしろ上昇したのか。山下氏が書かれた通り。
日本は農業政策として「減反」を採用し、補助金と引き換えに供給能力を削っていった。
それに対し、仏独はまずは補助金で供給能力を引き上げ、世界市場にダンピング輸出し、供給能力の保全を図った。
『(引用)EU農業は食料安全保障のための生産確保という使命を忘れなかった。』
逆に、日本政府は食料安全保障という概念すら忘れた。
その後、露骨な輸出補助金ができなくなったため、欧州諸国は農家への直接支払い(所得補償)に転じた。結果、補助金なしでもグローバル市場における価格競争力を確保し、かつ輸入していた配合飼料を代替することで、自給率はむしろ上昇した。
しつこいけど、山下氏が書かれた通り。
ならば、日本はどうすれば良いのか?
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「十字路」には書かれていませんが、いつもの山下氏はなぜかここから「農協叩き」「農水省叩き」に走る(今回は、そこまで書かれていません)。同時に、日本のコメの輸出を叫ぶ。
もちろん、日本がコメを輸出するほどに供給能力を引き上げれば、食料自給率引き上げに貢献することになる。別に反対しませんよ。
が、そもそもグローバルなコメ価格は異常に安い。
【日本とグローバルの米価格(ドル/トン)】
http://mtdata.jp/data_88.html#kome2
グローバルなコメ価格は、日本の三分の一なんですよ。これで、どうやって戦うの? どうやって輸出を増やすの? 具体的な方法を教えて欲しい、本気で。
もちろん、方法はある。アメリカ様式に、生産者価格(農家が再生産可能な価格)を政府が保障するか、あるいは欧州式に直接支払いで農家の所得を補償するか。
いずれにせよ、財政支出が必要なのです。つまりは、財務省問題なのですよ。
というか、山下氏が自分で書いている通り、欧州の食料自給率が高いのは、「政府がカネを出した」ためなのです。つまりは農政の結果です。
逆に、日本の食料自給率が低いのは、政府が農業政策を間違えたためなのですよ。
さらには、日本が農政を改め、食料(というか穀物)の増産に本格的に乗り出すと、アメリカ様の農政と衝突することになりますが、これをどう「突破」するの?
もちろん、突破しなければならないのですが、山下氏は元・農水官僚としてアメリカの政治力の凄まじさを身をもって体験したはず。
アメリカ式の生産者価格の保障で輸出を増やす場合、確実にジャイアンの利益を侵すことになる。それをやるくらいならば、まだしも欧州式の農家への直接支払い(所得補償)の方が、ハードルが低いのではないの。アメリカ様より、財務省様の壁の方が、まだ薄いように思う。
といった、リアルな議論をするべきなのですよ。
過去の経緯や問題を正しく認識しておきながら、結論が「農協が~!」「農水省が~!」は、いい加減にやめましょうね、山下氏。「が~」を言うならば、「財務省が~」「アメリカが~」でガチな議論すべきなのですよ。
「食料自給率を引き上げるガチな議論をしよう!」に、ご賛同下さる方は、