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『日本の少子化をくい止めるにはーその2ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.10.22

 

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12月21日(土)シンポジウム「令和の政策ピボットは実現可能なのか?」が開催されます。
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三橋TV第160回【安藤裕議員に特別会計、建設業、自民党内のMMT理解、政権交代について聞いてみた】

https://youtu.be/n5PMaRndREY

 

 時局2019年12月号に連載「三橋貴明の経世論 第38回 経済のスタビライザー」が掲載されました。
 
 本日はチャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
 
 さて、明日からイギリスに発ちます。時差は9時間。こちらの方が進んでいる。ということは、日本時間で午前中にブログをアップするには、イギリスでは夜までに書き上げる必要があるということになります。

 それはともかく、まさかわたくしの訪英時においてもブレグジットが完了していないとは思ってもいませんでした。

 イギリスは、2016年6月23日の国民投票で、ブレグジットを「決めた」わけですが、実はあの国民投票は議会から国民への「諮問」であり、法的拘束力があるわけではありません

 諮問とは、つまりは、
「議会が国民にお伺いを立てる」
 という意味になります。

 というわけで、国民へのお伺いで「離脱」が選択されたとしても、議会が議論を重ねた上で「残留」を決定することも可能ということになります。

 もっとも、ジョンソン首相は元々が離脱派であり、「国民の選択」を尊重する姿勢を打ち出しています。(ちなみに、イギリスは国民主権国家を標榜しているわけではありません。女王に主権があるという「建前」になっています)

 国民投票に法的拘束力がない。だからと言って、国民の選択を無視することもできない。

 加えて、ブレグジットの場合は「相手(他国)」がある。元々、EUでは、リスボン条約第50条により、
「離脱を欧州理事会に通告し、離脱交渉を開始し、二年以内に離脱する」
 と定められていますが、具体的な離脱のスキームは未定です。というよりも、国ごとに状況が違うので、定めようがないのでしょう。

 イギリスの場合、特に問題になるのが「北アイルランド国境」です。連合王国は1960年代から北アイルランド紛争で苦しめられ、何千人もの人々が命を落とし、1998年のベルファスト合意でようやく終結

 その後は、連合王国とアイルランド共和国間でモノ、ヒト、カネの国境を超えた移動が自由化され、北アイルランド問題も時間の流れに溶け込もうとしているタイミングで、ブレグジット。

 さらに、ジョンソン首相率いる保守党は、北アイルランドを本拠とするDUP(民主統一党)の閣外協力を得て、ようやく政権を維持している状況です。

 DUPは、北アイルランドがEUに残る形のブレグジットには、絶対に反対します。無論、ジョンソン首相ら離脱派にしても、
「国境がアイルランド海に移動する」
 形のブレグジットなど受け入れられるはずがありません。

 ブレグジットは(法的拘束力はないものの)国民投票で決めた。とはいで「どういう形で離脱するのか」は決まっていない。しかも、EU側は「楽に抜けさせねえ」と嫌がらせをしてくる。

 一度、EUのような国際協定に加盟してしまうと、抜けるのは至難の業です。

「バスに乗り遅れる。一度乗ってみて、ダメなら降りればいい」
 などと言ってのける連中が、いかに「世界」を知らないのかが分かります。まあ、彼らは日本の主権を売り渡すことには基本的に賛成する確信犯なのでしょうけど。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
※11月5日から上島嘉郎先生と三橋貴明の対談「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」がご視聴頂けます。
 
『EU離脱「再々延期」で混迷イギリスは総選挙へ
<またも延期のEU離脱、12月12日に行われることになった総選挙の争点と各党の動向は?>
 3月29日、4月12日、そして10月31日――ブレグジット(イギリスのEU離脱)が実現しないまま、またも期限が過ぎ去った。EUは10月28日、離脱の3カ月延長を求めるイギリスの要請に同意。これで次の期限は1月31日ということになる。
 フランスのマクロン大統領はもっと短い延長を主張したが、イギリスには現在の膠着状態を打開する総選挙を実施するための時間が必要だという点でEU各国の意見は一致した。
 これまでと同様、今回の延期も「フレクステンション(柔軟な延期)」であり、議会が新しい離脱合意を承認すれば、イギリスは1月31日より前に離脱できる。だが、それは希望的観測のようだ。
 そもそも1月31日に間違いなく離脱できるのか。イギリスのジョンソン首相はEUに対し、「1月31日以降のさらなる延期は不可能」だという点を明確にするよう希望した。だがEUのトゥスク大統領は、今回の延期が「最後のものになるかもしれない」と言っただけだった。
 ジョンソンは9月初旬から総選挙を呼び掛けてきた。そのためには下院の3分の2の賛成が必要だったが、野党・労働党は10月31日の「合意なき離脱」の可能性が消滅するまで、選挙の実施を拒否し続けた。
EUが期限延長を認めると、労働党のジェレミー・コービン党首もようやく総選挙の実施に応じる姿勢を示した。その後に小さなゴタゴタはあったが、最終的に投票日はクリスマス直前の12月12日に決まった。(後略)』
 
 そもそも、EUは「民主制」あるいは「民主主義」に反するシステムです。

 もちろん、欧州議会選挙はありますが、実権は「選ばれた政治家」である欧州委員が握っています。欧州議会は、欧州委員長を「任命」するだけで、「指名」はできません。(指名は欧州理事会)
 
 EUの実態は、寡頭制あるいは貴族制なのです。
 何しろ、EU国民など存在しません。結果、民主主義・民主制など成立しない。

 現在、執筆している本(「自民党の消滅(仮)」のテーマですが、民主制とは「国民国家」でなければ健全な形で成り立ちません。民主制で重要なのは、
「負けた側が納得し、連帯を維持できるか」
 なのです。

 つまりは、グローバリズムはもちろん、ブレグジットのような二者択一の国民投票も、人びとを完全に分断し、民主制の基盤であるナショナリズム(国民意識)を壊し、国家を混迷に突っ込ませることになるわけです。

 そのままの現象がイギリスで見られるわけですが、少なくとも彼の国が「グローバリズムの見直し」に置いてポールポジションについているのは間違いありません。

 周回遅れでグローバル化を進めている愚かなる国の国民としては、「グローバル化がもたらした災厄」をこの目で確認し、祖国が少しでもまともな方向に進むよう努めたいと思うのです。

 国民を不幸にし、民主制を破壊するグローバリズムからの脱却を!
 
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