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『現代貨幣理論入門ー税金の真実ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.9.24
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三橋TV第146回【消費増税対策で日経新聞を解約しよう!】
ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が、9月23日に、
「MMTのような新たな(財政に関する)アイデアを検討するべきだ」
と、発言したのですが、
「Draghi Says ECB Should Examine New Ideas Like MMT」
日本ではブルームバーグ紙含め、一切、報じられていません。
「MMTのような新たな(財政に関する)アイデアを検討するべきだ」
と、発言したのですが、
「Draghi Says ECB Should Examine New Ideas Like MMT」
日本ではブルームバーグ紙含め、一切、報じられていません。
唯一、西田昌司参議院議員が取り上げています。
中央銀行の総裁が、「財政政策」について大胆な発言をするというのは、確かに日本とは違います。(※西田先生の動画の話)
MMTは、別に「新しいアイデア」というわけではありません。貨幣はメソポタミアの時代から、「債務と債権の記録」であるデータでした。
もっとも、変動相場制の管理通貨制度における「貨幣の理論」であるという点は、「現代」的、つまりは新たなアイデアなのかも知れません。
もっとも、変動相場制の管理通貨制度における「貨幣の理論」であるという点は、「現代」的、つまりは新たなアイデアなのかも知れません。
ランダル・レイ教授の「MMT現代貨幣理論入門」では、為替レートの固定為替相場制やユーロと「MMT」の関係についても解説されています。
例えば、かつて世界は金本位制という固定相場制を採用していました。金本位制の国々は、自国の為替レートを特定金属(金)を経由し、互いに固定化しなければなりません。
貿易赤字が拡大し、為替レートに下落圧力がかかると、各国政府は外貨準備の枯渇を避けたいならば、
1.外貨準備を借り入れる
2.為替レートを引き下げる
という対処法がありますが、1も2も「更なる為替下落圧力」を引き起こす可能性があり、結局は、
3.緊縮財政
により、国内景気を悪化させ、失業者を増やし、輸入を減らし、貿易赤字を縮小する必要がありました。
大恐慌期の日本はまさに上記を実施し(濱口雄幸内閣)、国民は貧困に叩き込まれました。
つまりは、固定相場制の国は、為替レートに政策が制限されてしまうのです。これは、言うまでもありませんが、共通通貨ユーロも同じです。
レイ教授は、変動相場制の独自通貨国の政府には、金融政策と財政政策の組み合わせ(要するに貨幣発行と政府支出)において「裁量的」であると表現しています。
恐らく、ここが問題の本質で、
「裁量的であり、素晴らしい。国民の主権に基づき、貨幣発行や政府支出拡大をしよう」
と、考える人(例えば、わたくし)と、
「裁量的だから、問題なんだ。民主制なぞに金融・財政政策を任せると、インフレ率が際限なく上昇する(ハイパーインフレ論)」
と、考える人との、価値観の争いが根底にあるわけです。
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※10月1日から、長浜浩明先生の特別コンテンツ「日本人はどこから来たのか?」が視聴可能となりました。
※10月1日から、長浜浩明先生の特別コンテンツ「日本人はどこから来たのか?」が視聴可能となりました。
そして、この価値観の闘いは、すでに数百年も続いています。
かつての金本位制は、まさしく「裁量的な金融・財政政策」を嫌悪する勢力にとっては「理想の実現」だったのでしょう。(そして、ケインズが「金本位制は未開社会の遺物である!」と叫んだ)
現代における「金本位制」は、もちろん共通通貨ユーロです。
欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁と理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は3日、日本のようにインフレ期待が低いまま定着しないようECBは対処する必要があると主張した。
ECBは成長率とインフレ率の押し上げを目指し先月の理事会で一連の緩和策を決定した。ただ資産買い入れ再開などは理事会内で意見が分かれた。
デギンドス氏は「インフレ期待が低下し、物価が下落し、名目金利のゼロ制約に突き当たるという負のサイクルにはまり、抜け出すことが困難になることがあり得ることを日本の経験から学んだ」と述べた。(後略) 』
ECBは成長率とインフレ率の押し上げを目指し先月の理事会で一連の緩和策を決定した。ただ資産買い入れ再開などは理事会内で意見が分かれた。
デギンドス氏は「インフレ期待が低下し、物価が下落し、名目金利のゼロ制約に突き当たるという負のサイクルにはまり、抜け出すことが困難になることがあり得ることを日本の経験から学んだ」と述べた。(後略) 』
日本の場合、金融・財政政策に縛りは無い(変動相場制の独自通貨国であるため)にも関わらず、緊縮財政を維持し、超長期デフレーションを続けていますが(つまりは「愚か」という話)、ユーロの場合はそもそも政策の裁量権が小さいため、ECBには対処のしようがないでしょう。
ECBがどれだけ「資産(金融資産)」を買い入れたところで、需要は1ユーロも増えません。
ECBがどれだけ「資産(金融資産)」を買い入れたところで、需要は1ユーロも増えません。
というわけで、冒頭のドラギ総裁の発言に至るのでしょうが、ユーロというシステム自体が「裁量的な金融・財政政策」を拒む仕組みになっている以上、ユーロ圏の「日本化」は避けられないように思えます。
皮肉な話ですが、我が国は「日本化」から脱することが可能です。単に、金融・財政政策を強化し、「貨幣(国債)を発行し、政府が支出する」だけで。
そのためには、とにもかくにも財務省から財政主権を取り戻さなければならず、各種のプロパガンダを展開する必要があります。
「ECBのドラギ総裁ですら、MMTの有効性を認めざるを得なくなった」
というのは、権威プロパガンダとして有効に思えましたので、本日、取り上げました。
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