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チャンネルAJER  更新しました。
『言語と民主主義①』三橋貴明 AJER2018.4.24
https://youtu.be/7l3zThwiv-k    
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 NHKが珍しく、日本の対外純資産について普通に報道していました。


『日本の対外純資産は328兆円余 27年連続世界一
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180525/k10011451821000.html
 日本の企業や個人が海外に持っている資産から外国企業が持つ日本の資産などを差し引いた対外純資産は328兆円余りで、前の年より2%減りましたが27年連続で世界一になりました。
 対外純資産は、日本の政府や企業、個人が海外に持っている会社や工場、証券などの資産額から外国企業が日本に持っている資産などを差し引いたものです。
 財務省によりますと、日本が海外に持っている資産額は去年12月末の時点で1012兆4310億円で、前の年より2.7%増えました。
 一方、海外の企業などが日本に持っている資産などの額は、日本企業の株価が上昇したり債券への投資を増やしたりしたため683兆9840億円で、前の年より5.2%増加しました。
 この結果、対外純資産は328兆4470億円となり、前の年より2.3%減って3年連続で減少しました。
 ただ、日本の対外純資産は、27年連続で世界一になっています。
 財務省によりますと、2位はドイツの261兆円余り、3位は中国がおよそ205兆円で続き、アメリカは逆に、世界最大のおよそ886兆円の対外純債務を抱えています。』


 本ブログの読者様には、さすがに理解されているでしょうが、経済力とは「おカネの量」では決まりません。


 もちろん、個人や企業にとって、おカネは重要です。経営の三要素は「モノ、ヒト、カネ」ですが、それはそれで正しいのです。


 とはいえ、国家の経済力の場合は、おカネは重要でなくなります。経済の三要素は「モノ、ヒト、技術」の三つです。何しろ、資本主義とは「設備投資」「公共投資」「人材投資」「技術投資」の四つの投資で、生産性を高めることで成長するモデルです。


 設備投資は民間のモノへの投資、公共投資は政府のモノへの投資。人材投資はヒトへの投資。技術投資はもちろん技術への投資。


 モノ、ヒト、技術が十分に蓄積され、国民の需要を満たすに有り余る生産能力を持つ国を「経済力がある」と表現します。あるいは先進国です。


 逆に、国民の需要を満たすには蓄積が不十分な国、つまりは資本、人材、技術が足りない国が発展途上国です。


   


 現在の日本はデフレ化で、各種の投資がおろそかになっています。特に「人材」投資の遅れが致命的で、現役の生産者の持つ技術が、このままでは若年層に継承されません


 例えば、土木・建設の技能が継承されずに、現役世代が引退してしまうと、我が国はやがて、
「自分の国の企業では大きな橋を架けられない、高層ビルを建てられない」
 国に落ちぶれることになります。すなわち、発展途上国化です


 このまま若年層への技能継承がストップしたままだと、三十年後くらいに、我が国は高層ビルを建てる際に「中国企業様」にお願いすることになるでしょう。


 さて、対外純資産は経常収支黒字の蓄積です。そして、なぜ日本が経常収支の黒字が大きいのかといえば、実はデフレで「国内需要」が縮小してしまったのが主因です。国内の生産能力を、外国の需要に振り向けることで、経常収支の黒字が積み上がり、貿易黒字が大きくなり、対外純資産が積みあがったのです。


 もちろん、現在は所得収支の黒字が主流ですが、これも同じ話で、デフレで国内の投資が伸び悩み、対外投資が激増。外国の資産からの「あがり」が増えたのでございます。


 というわけで、実は「世界一のお金持ち国家、日本」には、デフレが相当に影響を与えているのです。


 もっとも、日本が世界一のお金持ち国家であることは紛れもない事実です。同時に、「お金持ち」と経済力が、必ずしもイコールにならないことも、これまた事実です。


 だいたい、おカネの量で経済力が決まるならば、
「世界一の経済力を誇る国が日本で、世界で最も経済力がない国がアメリカ」
 になってしまいます。そんなはずがないでしょ。



 とはいえ、「対外純資産世界一」という現実は、財政破綻論者のレトリックを潰すときに役立ちます。特に、
「日本は世界一の借金大国」
 などと、抽象的に煽ってくる連中に対しては、
「バカか? 日本は世界一のお金持ち国家で、そのお金持ち国家の中で政府が借りているのが「政府の負債(国の借金でも、日本の借金でもない)」だ。統計数字も読めんのか(笑)」
 と、潰すことができます。


 あるいは、
「確かに日本は経常収支が黒字で、しばらくは破綻しないだろうけど、そのうち経常収支赤字になって破綻する!」
 と、最近の財務省が使ってくるレトリックに対しては、
「じゃあ、アメリカはどうなんだ(笑)」
 で、おしまいです。


 基本的に財政破綻論者のレトリックは、指標の意味やデータを認識している者にとっては、常に(笑)なのでございますが、知識がない国民は普通に騙されます。日本国を亡国から救うためには、様々な指標、仕組み、データを根元から理解し、自らの言論の「武器」と化し、財政破綻論のレトリックに立ち向かうしかないのですよ、というお話。


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