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『財務省が日本を滅ぼす(その2)①』三橋貴明 AJER2017.11.21
https://youtu.be/UXDrKkdq3yk
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 来年2月に彩図社から刊行予定の「種子戦争(仮)」では、コロンブスのアメリカ大陸到着、ヴァスコ・ダ・ガマのカリカット到達以降の「第零次グローバリズム」から物語が始まります


 1543年(1542年説もあり)のポルトガル船の種子島漂着は、「鉄砲伝来」と歴史の教科書に書かれていますが、正しくは「日本が初めてグローバリズムに組み込まれた」という意味で、歴史的なイベントなのです。

 ほとんどの日本人は知りませんが、ポルトガル人は九州のキリシタン大名などと組み、日本人を奴隷として「売買」していました。まさに「ヒトの移動の自由」でございますね。


 何しろ、当時の日本は戦国時代で、統一政府という「国家主権」がなかったため、ポルトガル人はやりたい放題でした。


 日本人奴隷を「仕入れた」ポルトガル人奴隷商人たちは、マカオやマニラ、インドのゴアなど、支配下にあるアジア地域に「商品」を運び、売却しました。


 当時の我が国は、未だ天下は統一されておらず、国家としての「主権」は存在せず、全国的な奴隷交易の禁止はできませんでした。特に、主権の統一が遅れ、同時に南西に位置していたため、ヨーロッパ商人が訪れやすかった九州において、奴隷交易は盛んになります。


 日本人が奴隷として「売買」される状況を停めたのは、実は豊臣秀吉です

 秀吉の日本統一により、我が国は「奴隷交易を禁じる」という主権に基づいた規制を行うことが可能になったのです。


 グローバリズムとは、政府の「規制」を毛嫌いします。とはいえ、政府の規制には「国民を奴隷として売買させない」という主権の行使も含まれているのです。 


 あるいは、国内の「市場」において、奴隷交易を禁止するという規制も、政府にしかできません。逆に言えば、政府の機能が著しく低下し、「小さな政府」が実現したグローバリストお好みの世界では、人間の「奴隷を売買して儲けたい」という欲求が暴走する可能性があるわけです。


 そんなことはない! と、人間の理性を信じる人は、現在のリビアの状況をいかに説明するのでしょうか
 

        


リビア 移民を奴隷売買か 国連、調査求める 米報道
https://mainichi.jp/articles/20171124/dde/007/030/031000c
 アフリカから欧州を目指す移民・難民の経由地となっているリビアで、アフリカ系移民が奴隷として競売にかけられているとみられる映像が米CNNの今月の報道で明らかになり、波紋を広げている。国連のグテレス事務総長は「人道に対する犯罪だ」と非難し、徹底調査を求めた。AFP通信によると、フランス政府はこの問題で国連安全保障理事会の緊急会合の開催を求める意向を示した。
 国連が支持するリビア統一政府(GNA)は23日、疑惑を調査し関与した者を処罰する方針を表明した。
 映像は8月に携帯電話で撮影されたとみられる。CNNは場所を「リビア国内」としか明かしていないが、夜間に屋外でアフリカ系移民2人が400リビア・ディナール(約3万2000円)から競りに出される様子が映っている。競売人が「700、800」と声を上げ、2人は最終的に1200リビア・ディナール(約9万6000円)で「落札」された。体格がいいため農場労働者として売られたという。リビアではこうした人身売買が日常的に行われている模様だ。(後略)』


 リビアで「売られている」アフリカ人たちは、サハラ以南から浚われてきたというわけではないでしょう。欧州を目指し、移民としてサハラを渡ったところで、リビアの奴隷商人の下に落ちてしまった人が多いのだと思います。

 実際にリビアで売られたコートジボワール人ムサ・サノゴ氏は、
アラブ人(リビア人の奴隷主のこと)にとって、肌の黒い男たちは動物以外の何物でもない。動物に対する扱いの方がましだった」
 と、奴隷時代を振り返っています。また、カメルーン人マキシム・ヌドン氏は、
あそこでは黒人が売買されていて、奴隷を買い求める人々が集まっている。抵抗すれば撃たれる。死んだ人たちもいる」
 と、語っています。


 リビアの国民統一政府は、
「今回の移民の結果に関する責任をリビアに負わせるのは不公平だ。誰もが一致した見解として、この現象への対応は国家としての能力を超えている」
「現実的な解決策は、人々を突き動かして故国を離れさせている真の原因に対応し、そうした人たちのための最終的な解決策を確立することにある」
 と、声明を出しました。


 それに対し、フランスのマクロン大統領は、奴隷オークションが「人道に対する罪」であるとして、リビアの司法システムが機能しない場合は、国際的な制裁を求める方針であると表明しました。


 リビア側からしてみれば、そもそも欧州(特にドイツ)が「政治難民受け入れに上限はない(メルケル首相)」などと、移民を大々的に受け入れる姿勢を見せ、人口爆発と貧困化に苦しむサハラ以南のアフリカ人たちが、「ヨーロッパ」を目指して北上。


 通り道で、かつカダフィ体制が崩壊し、法秩序が消滅した「自由なリビア」で密航業者が勃興。さらには、奴隷交易という「ビジネス」が活発になったわけで、
自分たちにばかり責任を押し付けるな!」
 と、言いたくなる気持ちは理解できます。そもそも、NATO軍など欧米が軍事介入し、カダフィの排除に動かなければ、こんな事態にはなっていないわけです。


 改めて、リビアの状況は「国家」の役割について考えさせられます。「自由」とは、確かに言葉の響きは美しいですが、「人間を売買する自由」が現代の価値観から認められるはずもありません。


 そう考えたとき、「自由! 自由!」と、ひたすら政府の役割を小さくすることばかりを求めるグローバリズムは、人類の進化というよりは、どちらかと言えば「退化」ではないかとすら思えるのです。、

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