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『国民経済は繋がっている①』三橋貴明 AJER2017.1.31(3)

https://youtu.be/KARKeRtEL4Q

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 95年から97年にかけ、日本のGDPは一国で世界の17%を占めていました

 97年の橋本政権の緊縮財政により、日本経済はデフレ化。GDPが全く伸びなくなりました。
 反対側で、世界のGDPは成長を続け、日本のGDP世界シェアはすでに6%を切りました。反対側で中国の経済成長は続き、GDPは日本の二倍以上になっています


【図 日本と中国のGDPが世界に占める割合】

出典:IMF


 このまま日本経済が成長せず、中国が成長を続けた場合、どうなるでしょうか。中国のGDPが日本の10倍、軍事支出が20倍という時代が二十年ほどで訪れます。


 日本の20倍の軍事費を使う共産党独裁国家に、日本はどのように立ち向かえばいいのでしょう。


 立ち向かえない、というのが答えです。


 というわけで、日本国を将来の日本国民に「日本国」として残すためにも、我が国は経済成長「しなければならない」のです。そして、経済成長のためには、デフレ脱却が不可欠です。


 という「現実」がある一方で、世界最大の外貨準備を保有する「はず」の国が、通貨防衛に必死になっているという「現実」もあるわけです。


『コラム:中国の外貨準備高、越えた危険な一線
http://jp.reuters.com/article/column-china-fx-reserve-idJPKBN15N0JY
 1月末の中国外貨準備高が約6年ぶりに3兆ドルを割り込んだ。政府が資本流出を取り締まる中、減少ペースは鈍化した。しかし、象徴的な数字や目標、指数水準などに固執する国にしてみれば、憂慮すべき譲れない一線を越えたと言える。
 中国の外貨が減少し続けているのは、次なる一線を守ろうとする試みが一つの要因。つまり、1ドル=7元を超える元安にしないということだ。中国人民銀行は1月にオフショアで介入を繰り返し、今やそれが理にかなうかどうかにかかわらず、その節目を守らざるを得ない状況にある。米財務省が4月の為替報告書で中国を為替操作国に認定する可能性があるのがその背景だ。(後略)』


 現在の中国は、人民元高ではなく、人民元安に苦しんでいます。しかも、「外貨準備高3兆ドル」「為替レート1ドル7人民元」といった「基準」を守ろうとするわけですが、為替レート下落局面では、外貨準備と為替レートはトレードオフとなり、「基準」を維持することは不可能です。

 それはともかく、現在の中国の「人民元安」が終わらない最大の理由は、「外貨準備」の中身を公表していないためです。


 中国の外貨準備は3兆ドルあることに「なっている」わけですが、「中国人民銀行」という中央銀行の外貨のみならず、中国の四大銀行(中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行)という国営銀行分も含まれています。国営銀行分は、各行の業務に使うため、人民銀行が勝手に取り崩すことはできません(いざとなれば、やるでしょうが)。

 さらに、外貨準備は普通は米国債で運用されます。何しろ、米国債こそが最も流動性が高い「ドル資産」なのです。


 ところが、中国の外貨準備の中身は「よくわからない」のでございます。何しろ、人民銀行が公表しないので。


 金融市場では、中国の外貨準備は「中国の国営企業に融資されている」「アフリカの鉱山に投資されている」など、様々な「憶測」が流れていますが、はっきりしたところは分かりません


 というわけで、3兆ドルの外貨準備が「張り子の虎」の可能性があるのです。もちろん、そうでない可能性もありますが、ならば中国人民銀行が外貨準備の中身を公表すればいいわけです。


 それにも関わらず、人民銀行が外貨準備を公表しないため、「憶測」が「憶測」を呼び、不安が終わらず、人民元から外貨へと両替をしようとする中国人民や外国人投資家が後を絶たないわけでござまいます。


 中国共産党は、様々な資本規制を積み重ね、外貨への両替を止めようとしています。とはいえ、結局は人民銀行が為替レートを維持するために外貨準備を取り崩し、通貨防衛を続けているわけです。

 整理しますと、


● 中国は(一応)経済成長をしており、このままでは日本が国家存亡の危機に追い込まれるほどにGDPに差がつく
● 同時に、中国は「世界一の外貨準備」を保有しているはずにも関わらず、通貨防衛を強いられている


 という、二つの「現実」があるわけです。

 我が国は、中国との経済規模の差を縮めるために経済成長を実現すると同時に、中国の「通貨危機」という、少し前には想像もつかなかった危機に備えなければならないのです。


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