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『高度成長期に学ぶ①』三橋貴明 AJER2015.3.10

https://youtu.be/cAze-cExL_s

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一般参加可能な講演会

3月28日(土) 12時より『シンポジウム「台湾映画『KANO』にみる、忘れられた台湾史と今の日本人に求められるもの」』 文京区シビックセンターにて。

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 明日は6時から文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
http://www.joqr.co.jp/tera/


 さて、先日、3月14日にテレビ愛知「激論コロシアム」に出演したのですが、テーマは【注目ニュースの大疑問 これでいいのか?原発再稼働で大論争!】でした。
 同番組の冒頭に、以下の問題が取り上げられました。


汚染水外洋流出9カ月“隠蔽”した東電「原因判明してから公表しようと」の危機的情報公開意識
http://www.sankei.com/premium/news/150316/prm1503160003-n1.html
 東京電力福島第1原発の汚染水問題が再び“炎上”した。汚染水が排水路を通じて外洋(港湾外)に流出しているにもかかわらず、9カ月近く公表しなかった東電の体質に批判が集中。ろくに対応策を講じなかった国への不信も増幅している。東電は急場しのぎで外洋への流出防止策を打ち出したが、抜本的な解決とは言い難い。いつになったら安心できるのか、漁業者や周辺住民の怒りは収まらない。』


 2月24日、東京電力が福島第一原発2号機の原子炉建屋の屋上に高濃度の汚染水が貯まっており、雨どいを伝って一部が外洋に流出したと発表しました。


 誤解がないように書いておきたいのですが、流出した水は「雨水」であり、格納容器から汚染水が漏れ出たわけではありません。東電は港湾外の放射線についてもモニタリングしていますが、「雨が降ると、数値が上がる」という状況だったそうです。


 流出した汚染水は海洋で拡散してしまい、経産省や規制委員会も「環境への影響はない」としています。それがなぜ、これほど大騒ぎになってしまうかといえば、東京電力が港湾外に汚染水が流出している情報を「隠蔽した」という話になってしまっているためです。

 とはいえ、実際には東京電力は情報を「大々的に発表」しなかっただけで、政府には普通に情報が上がっていました。また、東工大の澤田先生によると、大手マスコミの関係者も普通に知っていたそうです。


 毎日新聞などは、東電が上記現象について「国にも報告していなかった。」と、断定的に書いていましたが(2月24日「福島第1:汚染水、外洋へ流出 東電10カ月公表せず」)、実際にはエネ庁も経産省も原子力規制委員会も知っていました。


 宮沢経産大臣は、
「港湾外の濃度が非常に低い濃度であることを監視していたが、少しうかつだった気がする」
 と、2月末の閣議で発言しています。
 さらに、14年2月時点で、一度、東電側から「排水溝の濃度が高い」という話を聞いたものの、その後、追加的に報告がなかった、と釈明しました。


 規制委も、やはり14年2月に濃度が高いことを把握し、15年の3月末までに対応を取るよう東電に指示していたものの、特にこの件を追いかけていなかったようです(規制委員会が再稼働の審査で手いっぱいというのは事実です)。


 規制委員会の田中委員長は、
責任は東電にある。箸の上げ下ろしまでわれわれが技術指導する立場ではない
 と、語りました。


 また、原子炉等規制法には、放射性物質を含む雨水の処理については書かれていません

 ポイントを整理します。


・雨水が放射性物質を含み、港湾外に流出していたが、環境的に影響が出るレベルではない。
・東京電力は2月24日に、「原因が判明した(雨水である)」ことを確認し、発表したが、それ以前にエネ庁、経産省、規制委員会に情報が上がっていた。
・放射性物質を含む雨水の処理は、当初の想定外であったため、法律にも書かれていない
 
 結局のところ、上記のような事態において、「誰が責任を持ち、情報をディスクローズするのか?」が不明確なままである点が問題なのだと思います。


 東京電力が早期に情報公開すれば、「隠蔽」などとレッテル貼りはされなかったかも知れませんが、「原因不明」なまま発表した場合、やはり大いに批判を受けてしまったでしょう。というわけで、東電はエネ庁や規制委員会に報告し、自社は原因究明作業を進めていったのでしょうが、エネ庁も規制委員会も「情報を今すぐ公開するべき」という判断はしませんでした(できませんでした)。


 何を言いたいかのかといえば、現在の福島第一原発や原子力発電行政を巡っては、基本的に「東電が叩かれる」という空気が国民の間に蔓延しており、もしくは「蔓延しているのではないかという空気が蔓延」し、問題をややこしくしているのではないかと懸念しているのでございます。


 特に、毎日新聞の2月24日の記事のように、「国にも報告していなかった。」と断定的に書かれ、「隠蔽工作をしている」と印象付けられる報道(というか、プロパガンダですが)をされることが分かり切っている環境において、積極的にディスクローズしていくことで、国民の信頼を回復するという手法は取りにくいのです。結果的に、それがますます国民の信頼を損ねるという悪循環に陥っているように思えます。


 しかも、困ったことにエネ庁も規制委員会も、「新たな事態」に対しては明らかに後手後手に回っています。

 上記の事態が続き、エネルギー安全保障が混乱すると、結果的に誰が損をするかといえば、もちろん日本国民です。


 エネ庁や規制委員会が主導しようとしない以上、東電が自ら情報公開体制を強化するしかありません。実際、東京電力は3月6日に情報公開分科会を設け、周辺環境に直接影響を及ぼす水やほこりの全ての放射線データを原則公開する方針に転換しました。


 同時に、わたくし達日本国民も、マスコミの「煽り情報」に踊らされることなく、東電などの電力会社が「落ち着いて情報公開できる」環境を構築していく必要があると考え、本日はあえて本話題を取り上げました。


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