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『国の借金シンドロームの治療(後編)①』三橋貴明 AJER2015.2.24(3)

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 週刊新潮に、凄い記事が載りました


大阪都構想批判に苛立った「橋下維新」の「放送介入」動かぬ証拠(週刊新潮、平成27年3月12日号、42-43頁)
「グレートリセット」。かねて橋下徹大阪市長(45)は「大改革」を行うと宣言してきたが、言論の自由まで改革、いや改憲するつもりらしい。大阪都構想の是非を巡る住民投票が5月17日に予定されている最中、旗色が悪いと焦っているのか、「橋下維新」はついに「放送介入」に乗り出したのだ
 まずは都構想の現状を、
「朝日新聞と朝日放送が2月7、8日に行った大阪市民への世論調査では、都構想に賛成が35%だったのに対して、反対は44%に達しました」
 と、「橋下徹、改革者か壊し屋か」の著書がある在阪ジャーナリストの𠮷富有治氏が解説する。(中略)
 こうして世論に批判的な声があるなか、橋下氏が目下、最大の「ターゲット」としているのが、内閣官房参与を務める京大大学院教授の藤井聡氏(46)だ
 1月27日、藤井氏が都構想における「議論の問題点」を指摘すると、橋下氏は彼を「バカ」「こチンピラ」と罵倒。挙句、橋下維新はメディアに2通の文書を送り付けたのだ。
◆「藤井を使うな」
 一つ目の2月12日付の文書には、
<藤井氏が、各メディアに出演することは、放送法四条における放送の中立・公平性に反する>
 こう記されていて、続く同月16日付のものには、
<先日、皆様に藤井聡に関するお願いを送付させて頂き……>
 と、藤井氏を呼び捨てにした上で、

藤井氏が、維新の会、大阪都構想に中立なわけがなく、番組内で虚偽の中立宣言をした藤井氏を出演させる放送局の責任は重大
 とある。要はテレビ局に対して「藤井を使うな」と圧力を掛けているに等しく、これぞ言論封殺と言わざるを得まい。文書の差出人である同党の松野頼久幹事長は、
「維新の党は行政上の権限を持っておりませんので、圧力というご指摘には該当しない」
 こう弁明するのだが、上智大の碓井広義教授(メディア論)は呆れる。
「放送法四条が規定している『公平』とは、意見が対立するテーマの場合、両論を報道すべきという意味です。圧力を掛けて一方の論の自由は侵されてしまいます。大阪の放送メディアは今、市長の取材拒否等が怖くて自由な報道ができなくなっている。市長側にどれだけ不当な振る舞いがあっても、『いつものことだから』と、取り上げない。結果、言論封殺がさらに助長されています
 こうした橋下維新の「やり口」を許すのか否か――。住民投票では有権者の良識、すなわちプライド高き大阪の民の「威信」も問われることになりそうだ。』


 放送法第四条を見てみましょう。


『第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
 一  公安及び善良な風俗を害しないこと。
 二  政治的に公平であること
 三  報道は事実をまげないですること。
 四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。


 第二項「政治的に公平であること。」とは、特定の政治的意見について報じるな、という話ではありません。そんなことを言った日には、民主主義の基本である「言論の自由」が成立しなくなってしまいます。


 放送法が定めている政治的な公平とは、磯井教授のコメントにもある通り、
意見が対立するテーマの場合、両論を報道すべき
 という意味になります。


 つまりは、特定の政治的意見を論ずる人がいたとして、反対側の立場の人も同時に出演させるべし、という考え方なのです。逆に、維新の党が推進する大阪市解体構想(なぜか「大阪都構想」と呼ばれていますが)に賛成の論者だけを出演させ、大阪市解体構想について政治的意見を報じることは、これは明確に放送法違反になります


 現実には、特定の立場に立つ論者ばかりを並べ、一方的な政治的意見ばかりが語られる番組が多いです。とはいえ、少なくとも「建前」は、両論併記が原則になっているのです。


 維新の党の松野幹事長は、
「維新の党は行政上の権限を持っておりませんので、圧力というご指摘には該当しない」
 と、述べていますが、恐るべき詭弁というか、無責任ぶりです。公党は一般人ではないのです

 一般の日本国民がテレビ局に「藤井を出演させるな」と文書を送付したところで、何の効果もありません。とはいえ、公党ということであれば、話は別です。


 無論、維新の党は報道に関する行政の権限を持っていません。とはいえ、メディア側に「嫌がらせ」はできるのです。例えば、大阪橋下市長の取材拒否という「嫌がらせ」により、大阪のメディアが問題を取り上げなくなると、これは立派な言論封殺です。


 すなわち、維新の会が送付した文書は「事実上、効力を持ってしまう」のです。それにも関わらず、「行政上の権限を持っていないから、圧力ではない」などと言ってのけることを、まさしく「詭弁」というわけでございます。


 大阪維新の会側の「文書送付」や「嫌がらせ」により、大阪市解体構想の内容が大阪市民に充分に伝わらなかった場合、「民主主義が歪められる」形で、政令指定都市大阪市が解体されることになります。


 これは、もはや大阪市だけの問題ではありません。維新の党のやり口は、大阪都構想云々以前に「日本の民主主義」に対し、重大な問いを突き付けていることになります。


 メディアが機能不全に陥った状況で、「直接民主主義」的な政策が推進され、果たして日本国の民主主義が健全に維持されるか否か、でございます。


 維新の党の藤井聡教授に対する言論封殺に強く抗議すると同時に、大阪都構想について「放送法を守った」報道をして頂くよう、一日本国民として各テレビ局に強く要請いたします。

「維新の党の言論封殺に強く抗議する」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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