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2011年8月22日 藤井聡、中野剛志、三橋貴明の三名が京都に集まり、トークセッションを開催致します。
【2011年8月22日 ふたば書房・主催 飛鳥新社・共催 トークショー「未来を変える 希望の政治へ」 】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_34.html#Aug22
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NEW!チャンネルAJER更新しました.
『日本復興と成長に向けて第9回 政府の支出について 』三橋貴明 AJER2011.8.2(1)
『日本復興と成長に向けて第9回 政府の支出について 』三橋貴明 AJER2011.8.2(2)
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米国債が格下げされました。と言うか、S&Pが米国債を格下げしました。
チャンネル桜の経済討論などでも話していましたが、今回のアメリカ連邦政府の債務上限問題で「アメリカ、ついにデフォルトだ~っ!」などと騒いでいた日本のメディア(毎日新聞など)は、無知も極まりないわけですが、「政府の役所が閉じる」「ドル安になる」「米国債が格下げされる」の三つは可能性があるかなあ、と思っていました。とはいえ、本当にS&Pが格下げするとは、驚きです。
『予測は困難、米国債格下げの影響
http://www.afpbb.com/article/economy/2818612/7607244?utm_source=afpbb&utm_medium=topics&utm_campaign=txt_topics
米大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は5日、史上初めて、米国債の格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げた。米国の債務支払い能力の信頼性が下がったことを示すサインだ。
今週14兆6000億ドル(約1140兆円)に達した米国債の発行残高は、国内総生産(GDP)比で100%と、イタリアとほぼ同じ水準になった。そのイタリアの国債は債務不履行(デフォルト)の懸念から売られている。
米政府は現在も支出1ドルあたり40セントを借り続けている。その一方で米経済はほとんど成長しておらず、財政再建に必要な歳入を得ることもできない。
中国は1兆1000億ドル(約86兆円)、日本は9000億ドル(約71兆円)の米国債を保有しているなど、米ドルと米国債の存在感は非常に大きい。米政府のデフォルト懸念は世界金融システムに不安材料を与えるだろう。米経済と米ドルが世界で果たしている役割の大きさを考えると、米国債の格下げは世界経済全体に波及するはずだ。
しかし、米ドルと米国債は世界中で広く保有されていて、世界の金融と貿易を支えている。それを根拠に多くのアナリストが、格下げの影響は少なくとも短期的には限定的だと考えている。
■過去に同例なし
理論上は、国債が格下げされた国の政府は、ドイツのようにAAAの格付けを持つ国と比べて資金調達コストが上がる。このことは財政健全化を促す警告の役割を果たす。また、格下げされた国の通貨の価値は、経済が強い他国の通貨に対して下がる。
米国債格下げの影響を予想するのは難しい。日本は過去10年で2度、国債の格付けを引き下げられた。現在の日本国債の格付けは「AA-」で公的債務はGDP比で200%を超えるが、依然としてきわめて低い金利で資金を調達している。(後略)』
現実には、S&Pの格下げは「米国の債務支払い能力の信頼性が下がったことを示すサイン」などではなく、「格付けシステムの終焉」を示すサインに過ぎないでしょう。
AFPの記事にある通り、
「日本は過去10年で2度、国債の格付けを引き下げられた。現在の日本国債の格付けは「AA-」で公的債務はGDP比で200%を超えるが、依然としてきわめて低い金利で資金を調達している。」
という例外が存在している以上、現行の格付けシステムが機能しない分野があるのは明らかです。
何しろ、格下げされたアメリカ国債よりも、さらに二段階格付けが低い日本国債の金利が、世界最低で推移しているのです。すなわち、現行の格付け、特にソブリン債に関する格付けは、
「政府は『誰から』『通貨は何建て』でお金を借りているのか?」
「結果、現実の金利水準はどうなっているのか?」
を考慮せず、単に政府の負債を対GDP比などで債務のデフォルトの可能性を評しているわけで、現実離れも甚だしいわけです。
「政府が国内の金融機関から自国通貨建てでお金を借りている。結果、長期金利は世界最低」
の国と、
「政府が外国の金融機関から外貨建て、共通通貨建てでお金を借りている。長期金利は相対的に高い」
国は、明らかに債務問題の性質が違うわけですが、格付け機関は上記の差異を考慮しているようには思えません。
というわけで、02年には日本の「財務省様」が、上記の格付けシステムの異常性を追求するために、わざわざ意見書を格付け機関に叩きつけてくださったわけです。
財務省への物凄い嫌がらせになりますので、拡散! 拡散!
『外国格付け会社宛意見書要旨
http://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm
』
そういえば、先日(8/1)の政経セミナーで麻生元総理も上記意見書について話されていましたが、知っている人は知っているわけですね。政治家全員が、あるいは国民の大半が上記の意見書について知ったとき、果たして財務省は現在の異常な増税路線を継続することができるでしょうか。
いずれにしても、格付けシステムの異常性は、「財務省様」が仰るとおりなので、是非、ご一読ください。(それで、拡散してください)
アメリカ国債については、多少金利は上がるでしょうが、国内の過剰貯蓄がなだれ込み、却って金利が下がってしまう日本パターンになると予想しています。
本日後半は、中野剛志先生からのご投稿です。
----------自然エネルギーによる脱原発は無理(中野剛志 京都大学大学院工学研究科准教授)---(初出「日経ヴェリタス」8月7日号)
◆自然エネルギーによる脱原発は極めて困難だ。経済性を全く無視しない限り、原子力に代替しうる量を確保できない。先進国であるドイツの買い取り制をみても、成功したとは言い難い。脱原発を本気で目指すなら、増やすべきは火力発電だ。
菅直人首相は「脱原発依存」を訴え、再生可能エネルギー特別措置法案の成立に意欲を示した。この法案は、自然エネルギーによる電力を高値で買い取ることを電力会社に義務付ける制度で、ドイツなどで導入されている。
だが日本では、自然エネルギーによる脱原発は極めて困難だ。欧州は緯度が高く、強い偏西風が安定的に吹くうえ、平地も多いので、風力発電が普及した。しかし日本は風が弱く不安定で、台風や落雷のリスクも大きい。国土は山がちで、最近は騒音の問題も出ている。経済的な風力発電に適した立地場所は非常に少ない。
太陽光も、発電コストが1キロワット時当たり40円以上と高い。平野が少なく地価の高い日本では、経済的な大規模太陽光発電所の適地が少ないし、建物の屋上の利用だけでは限界がある。水力・地熱。バイオマス発電も日本は国上の制約などが厳しく、量的・経済的に限界があろう。
自然エネルギー先進国といわれるドイツですら、2008年の発電電力量のうち、石炭火力が約半分を占め、原子力は約23%と日本と同程度である一方、風力は約6%、太陽光は1%程度にとどまった。
自然エネルギーは制約が厳しいので、経済性を全く無視しない限り、原子力に代替し得る量を確保するのは困難だ。もちろん、経済性よりも安全性や環境性などの非経済的価値を優先すべきではあるが、それにしても風力や太陽光は費用対効果が悪すぎる。特に現在のような不況時の電力価格の上昇は、国民生活に深刻な打撃を与えるので無視できない。
電力の質も問題だ。原発は昼夜を問わず安定的に発電し続ける「ベースロード電源」として機能している。しかし、風力・太陽光発電は天候に左右されて出力が安定せず、稼働率は風力発電が15~ 25%、太陽光発電は10~ 15%にとどまる。つまり、出力が不安定な風力、太陽光発電は「ベースロ― ド電源」たる原発の代替にはならない。むしろ、出力が不安定な風力・光発電が普及すると、バックアップとしての火力発電の増設がかえって必要になる。蓄電池による出力の安定化は、コストをさらに跳ね上げる。
要するに、自然エネルギーの買い取り制度で風力・太陽光発電を増やしたところで、ほとんど脱原発にはならない。もし脱原発を本気で目指すなら、増やすべきは火力発電なのだ。
ドイツの買い取り制度にしても、成功したとは言い難い。ドイツは2000年からこの制度を本格導入し、特に太陽光の買い取り価格は電力の卸売価格の9倍弱と高く設定した。しかし、先述の通り、発電電力量に占める太陽光の割合は約1%しかない。
ライン・ウェストファーレン経済研究所によれば、太陽光の買い取り費用は、2010年までの累計で約7.2兆円にもなる。これに加えて電力の安定化のための間接費用などが、ベルリンエ科大学の試算によれば、2006年時点で約512億円、2020年時点では3795億円にまで膨らむという。費用対効果が悪すぎるのだ。このため、国際エネルギー機関(IEA)も2007年に太陽光の買い取り制度の政策変更を勧告している。
しかもドイツの太陽電池のシェアの5割は中国企業、海外企業全体で7割を占め、ドイツの雇用創出にほとんど貢献しなかった。結局、ドイツは昨年、太陽光発電電力の買い取り価格を12~ 13%引き下げた。
太陽電池については、近年、安価な労働力でコストを下げる中国メーカーが台頭し、2010年の世界の太陽電池生産量の約6割を中国。台湾が占める(日本は約1割)。
従って、自然エネルギーの買い取り制度の導入は海外メーカーをもうけさせ、国内の雇用を増やさないおそれもある。また電力料金の上昇による消費者の負担増も考慮する必要がある。国民の消費需要を奪って増える雇用では意味がないからだ。
次のような問題もある。家庭用太陽光発電は現在、1台約200万円で、これを購入するのは比較的富裕な人々に限られる。他方、電気は所得水準に限らず誰もが利用する。このため、買い取り費用が電気料金に上乗せされれば、低所得者層から徴収した電気料金の一部を太陽光発電を設置した富裕層に支払うという、逆進的な所得再配分が行われることになる。
自然エネルギーの買い取り制度は、そのイメージと裏腹に、脱原発にはほとんど貢献せず、国内雇用を生まない可能性もある。不況で苦しむ消費者の負担をさらに増やす逆進性すらある。被災地復興のための大規模な財政出動、電力供給の確保、原発事故の収束など緊急性の高い政策をなおざりにして、こうした制度の導入が優先されている政治の現状には慨嘆を禁じ得ない。
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中野先生、ありがとうございました。
エネルギー問題、及び冒頭の格付け問題については、現在、執筆中の「2012年(仮)」で大きく取り上げる予定になっています。
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