三橋貴明診断士事務所を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから http://takaaki-mitsuhashi.com/
SPA2月17日号にインタビュー記事が掲載されています。「今週の無軌道 ロバート・ムガベ」(P5です。)

 Voice3月号に、筆者(紙媒体)初のシミュラフィクション「1ドル70円台の日本経済」が掲載されています。
 http://www.amazon.co.jp/dp/B001QCGI1Q/
 また、本シミュラフィクションをお読み頂いた方は、是非とも以下のPHPのメールアドレスまで、感想を送って下さいますようお願いいたします。
PHP研究所Voice編集部 voice@php.co.jp

 日本の08年第4四半期のGDP成長率が発表されました。予想通り名目値で前四半期1.7%、年率換算6.6%のマイナス、実質値で前四半期3.3%、年率換算12.7%のマイナスに終わりました。
 GDP成長率をブレイクダウンした内容が、大変示唆的で有益なので、今日はちょっと真面目に解説してみたいと思います。(いつも不真面目というわけではないです)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe084/main1.pdf

日本の実質GDP成長率 前四半期-3.3% 年率換算-12.7%
【内需部門】 数値は対前期比
 ■民間部門
 民間最終消費支出(個人消費) -0.4%
 民間住宅投資 +5.7%
 民間企業設備投資 -5.3%
 ■公的部門
 政府最終消費支出 +1.2%
 政府公的資本形成(公共投資) -0.6%
【外需部門】
 輸出 -13.9%
 輸入 2.9%(※控除)
と、予想通り輸出部門と製造業の設備投資激減により、大きなマイナス成長になっています。輸出バブルが綺麗さっぱり(多分)消滅したわけですね。
 しかし、これも先日の予想通り個人消費のマイナスは小さく抑えられ、住宅投資はプラスになっています。今の政府の対策を見る限り、今後は個人消費部門」「住宅投資部門」「公的部門」の支出を拡大させることで、GDPの建て直しが行われることになるでしょう。日本だけではなく、主要国のほとんどが同じ対策(内需拡大)を採ることになるわけですが。
 設備投資は、内需拡大分は復活するでしょうが、外需部門向けはしばらくはダメでしょうね。何しろ世界最大の市場(アメリカ)から年間1兆ドルの需要が消えるといわれているような有様ですから。
 輸出製造業の中でも、原発や鉄道などのインフラ関連(日立、東芝など)企業の復活は早いかも知れませんが(各国政府が公共投資を拡大するため)、耐久消費財の企業にとっては厳しい時期が続くでしょう。
 日本の外需を見てみると、実質値の輸入が減っておらず(多分、円高の影響)、日本は中韓のように「輸出は減るけど、それ以上に輸入が減って純輸出が成長しちゃう」という「縮小成長」には陥っていないことが分かります。

 参考までに、韓国の08年第4四半期のGDPを見てみましょうか。
http://eng.bok.or.kr/down.search?file_path=/attach/eng/634/2009/01/1232579401138.pdf&file_name=084q (advance).pdf
韓国の実質GDP成長率 前四半期-5.6% 年率換算-20.59%
【内需部門】 数値は対前期比
 ■民間部門
 民間最終消費支出(個人消費) -4.8%
 民間住宅投資 -4.0%
 民間企業設備投資 -16.1%
 ■公的部門
 政府最終消費支出 2.4%
【外需部門】
 輸出 -9.2%
 輸入 -12.8%(※控除)

 と、輸出の対前期比減少率は日本ほどではないにも関わらず、あらゆる内需が輸出減の直撃を受けていることが分かります。外需(純輸出)に至っては、輸入の減少率が大きすぎ、却ってプラス成長になっている有様です。(これが縮小成長です)
 つまり、韓国は日本と比較すると相対的に「輸出」と「内需」のリンクが強いわけです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_15.html#Gaiju07
 輸出対GDP比率が15%台の日本に対し、韓国は40%弱。この差が、「輸出減⇒内需への影響」においてあまりにも露骨に出てしまっているわけです。日本の輸出対GDP比率が韓国並だったら、輸出「-13.9%」の影響は、GDP成長率-3.3%程度ではすまなかったでしょう。
 ちなみに、日本の輸出減少率が韓国よりも高くなった(厳密には、早く高くなった)のは、日本の輸出が資本財中心だからでしょう。
 韓国や中国などの資本財輸入国は、手元に資本財の在庫がある程度あります。そのため、資本財の輸入が減ってもしばらくは生産が可能です。結果、輸出の減少率を輸入のそれが上回る、「縮小成長」などという奇妙な現象が見られるのだと思います。
 もちろん、今後は中韓の主力である耐久消費財の輸出も減るでしょうし、実際に減り始めています。輸出の減少率が高まる順番で言うと、①日本、②韓国、③中国になっていますが、これは輸出に占める資本財の割合の大きい順そのものです。
 韓国はすでに(1月は)輸出の減少率が輸入の減少率を上回りました。今後は、中国もそうなるでしょう。
 そのとき、輸出対GDP比率が高く、「輸出減⇒内需」のリンクが強い中韓両国がどうなるか。韓国は事実上の破綻状態になる(だからこそ、先日「オシマイ」と書いたわけですが)ことは確信していますが、果たして中国はどうなるでしょうか。

 まあ、日本はとりあえず外国のことはあまり気にせずに、需要が健全な内需にお金を突っ込んで、GDPを回復させるだけなのですが。
 
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