海岸にて

朝から、海を見たいと
出かけてきたぼくだった
連休前の海岸は静かに波寄せるだけ
君を想うにはちょうどよい
そんな海辺に立ち君を想う

いつのまにか君とぼくだけの景色
素足にサンダルの君
麦わら帽子にサングラスの君
それでいて素敵に輝く君がいた
ぼくはそっと君に近づき手をからめてみる
君は、その手をやさしく包み込んでくれるんだ
春のぼくの夢物語のよう・・・

朝から海を見たいと
出かけてみたぼくだった
夏にはにぎわうはずのキャンプ場もひっそり静かな海岸は
君を想うにちょうどよい
そんな海岸の波打ち際に立って君を想った

いつの間にか君とぼくだけの世界
静かに寄せる波音は君の声のよう
聴こえるのは君の可愛い声だけ
「あなたと見る海はステキです」
そういって肩をそっと寄せてくれる君がいる
そっと手を取ってくれる君の
「二人で見たクリスマスの夜の海もステキだったけど、朝の海もあなたによく似合うね」
という声が聴こえてきた
春のぼくの夢世界の曲のよう・・・

朝から海を見たいと
出かけてみたぼくだった
よく晴れた日の海岸はひっそりと
そして、少しずつ満ちていく静かな海だった
満潮まではまだ時間があるのか人影もなく
君を想うにちょうどよい
そんな海岸の波打ち際に立って君を想った

君もぼくも
「ひとりで生きるしかないと思って生きてきた」
「人は、結局は頼れるのは自分しかない」
「死ぬ時は結局一人なんだから」
そう思って生きてきた
それが君とぼく
二人が出逢ったときから
ぼくは、いつも、となりに温かい、そして柔らかい手をもった君を感じられる
今、海辺にたたずむこの瞬間も感じている
今、ぼくは本当に幸せです
そして、その想いがぼくだけでなく
君もそうであるのがたまらなく感動なのです
「ありがとう」
その短いフレーズが、いっぱいいっぱい浮かんできた
まるで波打ち際の波のあぶくのように、次から次へと浮かんできた

朝から海を見たいと
出かけてみたぼく
よく晴れた日の海岸はひっそりと
そして、少しずつ満ちていく静かな海だった
そんな海を見ながら、君を想った
「逢いたいな」
静かに、そして恋しく君を想い、再会の日をまた想った