君が言う、ぼくが想う

君が言う
「あなたはやさしい」と
「人にやさしいとか、女性だけにやさしいとかそういう言い方はよくするけれど」
「もちろん、その意味もあるのだけど」
「それだけでない、もっともっと繊細で深いやさしさがあるの」
「そこがね、私には魅力的なのです」と

君が言う
「あなたが私の上にいてくれる、あの瞬間がいいの」と
「あなたを感じることができるの」
「もちろん、他でも感じることはできるのだけど」
「あなたが私の上にいてくれて、心がふれあうように心通わせてくれる」
「あなたが私の胸の間から顔をのぞかせているその時がいいの」
「そんな瞬間に、私は幸せを感じるの」と

ぼくが想う
「君がぼくをぎゅっと抱きしめてくれるのがいいの」
「その瞬間に幸せを感じるの」
「もちろん、他でも感じることはできるのだけど」
「その瞬間に、ぼくは君がぼくを愛してくれていると感じられる」と

君もぼくも、二人の静かな時間をとてもうれしく想っている
静かに互いを抱きしめている時、時間は止まっている
何も聴こえない、互いの密かな息づかいさえ聴こえてはこない

君が言う
「これが愛するということなのかととまどいながら」
「少しずつ、見えてきたような気がしている」
そして
「私の心を解放してくれて、ほんとうにありがとう」と

ぼくが想う
「愛するとは激しく相手を求めることでもあり、相手と静かな時間を共有することでもあるのかもしれない」
「あなたの心を解き放てたのは、ぼくがこじあけたのではない」
「ぼくと一緒に、君が自分で自分を解き放ってきたのだ」
「君の心を解き放つことに、ぼくのわずかな力が役立っていることがうれしいんだ」
「その喜びがぼくの生きる糧となっているんだ」
そして
心から君に贈りたいんだ
「ありがとう」の言葉を