『インビジュアル・暗殺の旋律を弾く女』は2018年公開のイギリス・米国の合作の映画。
巨大組織に狙われる盲目のピアニストの女性をめぐって繰り広げられる事件と謎を、ナタリー・ドーマー主演で描いたサスペンススリラー。
ヨーロッパの黒社会を仕切る大物ラディチの娘であるベロニクが、自宅のアパートから落下して死亡する。警察は自殺と見ているが、その現場に居合わせたヒットマンのマークは、真相を知っていた。階下にいたピアニストの女性ソフィア(ナタリー・ドーマー)に事故を目撃されたと思い込んだマークは、彼女を抹殺しようと監視を始めるが、ソフィアは目が不自由だった。
その上、彼女は何故かロシアマフィアや英国情報局からも狙われていることがわかる・・・。
主人公ソフィア役のドーマーが主演のほか、脚本と製作を担当。ドーマーのパートナーでもあるアンソニー・バーンが監督を務め、ドーマーとともに脚本と製作も手がけている。ソフィアを守ることになるヒットマンのマーク役は「トランスポーター イグニション」「デッドプール」などに出演しているエド・スクレイン。
ヨーロッパの裏社会に君臨する男の娘が、落下事故で命を落とす。現場にいたヒットマンのマーク(エド・スクライン)は、近くにピアニストのソフィア(ナタリー・ドーマー)もいたことを知る。彼女が盲目だと気付かず、事故の瞬間を目撃されたと勘違いし抹殺をもくろむマーク。監視を続ける中、ソフィアが別の犯罪組織からも命を狙われていて、ロシアンマフィアや英国情報局にもマークされていることがわかると・・・。
配色、構図、撮りのシャープさ、アングルのアイデアの豊富さ、計算されたカメラの動き、編集の見事さ、照明の活かし方の完璧さ・・・と、徹底的に魅了してくれた作品でした。
映画としての観ごたえは、結構あると思いましたね。
主演のナタリー・ドーマーって「ハンガー・ゲーム」でもやたら存在感あったのですが、この作品はまったくのハマリ役でしたね。
70年代のフレンチ・ノワールを思わせるみたいなテイストの映像で、いかにもアラン・ドロンとか出てきそうな雰囲気でしたね。
内容はよく観る、アフター・ボスニア(セルビア)ものの感じなのですが「戦争の悲劇を脚色して利用している」だけで、悲しみが伝わるわけではないですね。
徹底して卓越した撮りの上質さと、昔のノワール物の「暗くて美しい感じ」を堪能したい・したくなる映画。
中盤のバイオレンスの描き方も、よくできていて、冴えていましたね。
音響もいいし、監視カメラ映像の混ぜ込みや、雨のガラス窓に張り付いた水滴の見せ方、ナタリー・ドーマーの横顔の演出、深紅のカーテンと黄金色との対比など素晴らしいと感じました。それに彼女が弾くピアノのシーンの曲もすごく素敵でした。
断然オススメします(*^_^*)