私がモノノフ(ももいろクローバーZのファンの総称)であることはそれなりに知られている。好きなものに理由はないと思うが、ももクロはそれまでのアイドルとは一線を画したアイドルだったことが1番大きな理由だ。
【擬似恋愛からの脱却】
ももクロがアイドルとして画期的だったのは、疑似恋愛からの脱却にあったと思う。女性は男性アイドルの、男性は女性アイドルのファンになるのが一般的ではある。それは当該アイドルの性的な魅力に取り憑かれることを前提としたビジネスモデルであった。ももクロにもその要素はゼロではないものの、それ以上に全力のパフォーマンスに対する応援の方が大きいのが特徴だ。どちらかといえばスポーツ選手を応援しにきている感覚がモノノフ全体にある。そのせいか女性ファンも多いし、何よりファンの年齢層が幅広い。デビュー17年を迎えた近年は二世代ファンもザラである。
【出会いの衝撃】
息子が小学校の運動会の遊戯で、当時ポケモンのエンディングテーマだった「みてみてこっちっち」を演ることになり、何気なくYouTubeで下調べをしてみた。その時の印象はあーまた変な名前のああどるがでてきたなーぐらいの印象だった。ただまぁ子供の遊戯に係ることでもあり、背景を押さえておくか…そこで「はじめてのももクロ」を観てしまった。約20分後、号泣というのは少し大袈裟だが、涙が出て出ていた。彼女たちそのものというよりは、そのサクセスストーリとその周囲の人間模様に感動したと言っていいだろう。
【ももクロが世に出るまで】
ももクロをプロデュースしたのは、スターダストの名物マネージャーである川上アキラだ。
彼は、沢尻エリカのマネージャだった。ところが、彼女の破天荒な行動(俗に言う「別に事件」)で事務所から管理責任を問われ謹慎処分となる。その謹慎期間中に、スターダストにはなかったアイドル部門を立ち上げ、最初に作り出したアイドルが「ももいろクローバーZ」である。
謹慎中の社員の企画、当然予算はほとんどないに等しい。そこで川上は子役で契約終了寸前の人物に目をつける。アイドル育成のノウハウはないため、とりあえず踊れれば良いのではと考えて特技にダンスと書いている人たちをリストアップした。次に自分たちでグループの名前を付けさせ「ももいろクローバー」を結成。この頃はメンバーの入れ替えが激しく最大9名になった。とにかく金はかけられない。無名の作曲家が作った無名の曲にメンバーに作詞をさせて歌わせてみた。この曲が後の「あの空に向かって」である。持ち歌がないので他の歌手の曲もカバーして歌わせた。(「Believe」など)それらをこれまた無料で使えた代々木公園の路上で定期的なライブを実施して披露した。観客は多くて10数名、少ない時は2人だった。歌うメンバーの方が観客より多い状態が続いた。
デパートの屋上、ショッピングモールの催場など安く使えるところはどこでも使った。そして全国ツアーと称して事務所の親会社ヤマダ電機の店舗を回る活動を実施。移動は事務所のワゴンで「ETCどこでも千円制度」を利用した徹底的なコストカットだった。川上はメンバーに食費について1人500円を徹底させた。たとえ自腹でも予算オーバーすることは許さず、容赦なく返品させた。この地道な活動が身を結び、少しずつ知名度が上がってくる。初めてちゃんと作詞作曲もその道の人が作ったデビュー曲「ももいろパンチ」が発売されてオリコン11位を獲得する。川上は愛国者だ。以後ももクロの曲には所々で和のテイストや国旗🇯🇵などが登場する。(「PUSH」など)ライブの頭で国家演奏もあったくらいだ。
【智略】
川上は考えた。「所詮は寄せ集めのメンバーだ。話題作りが必要だ。」川上は大のプロレスファンだ。ももクロを売り出すのもプロレスの興行のやり方やパフォーマンスを参考にした。川上にとって既存のアイドルの売り出し方などどうでも良かった。プロレスのようにタイマンと称して様々なジャンルのアーティストとコラボさせて話題と、当然ながらそれに値するパフォーマンスを実現させていった。
また、ライブを大会と称し、プロレスのように入場曲(Overture)が流れ選手紹介のようにメンバー紹介も行われる手法は見事にハマり、ももクロのライブの代名詞となっている。
ももクロは曲よりもライプパフォーマンスだ。CDはそれほど売れないが、ライブDVDはめちゃくちゃ売れる不思議な現象がある。私は1人の親友をこのももクロの沼にはめたのだが、彼に言ったのは「曲が聴きたいならCD買って部屋で聞いてろや、ライブは曲を聴くんじゃない、参加しに行くんだ。」そのくらい、ももクロのライブはモノノフとももクロが一体になったお祭りだ。規模もでかい。そのライブにちょいちょい挟まるのが茶番と呼ばれる寸劇である。馬鹿馬鹿しい割に豪華にやるから映える。
こうやって初期のももクロは知名度を上げ、ライブ動員人数を増やしていった。

