現代の公務員制度の第一の構成原理は資格任用制度であり、政治任用の制限であります。

このことを基本に職階制や職能主義が採られており現在に至っています。

西尾 勝(1993)行政学によりますと任用制度についても閉鎖型任用制と開放型任用制の大きく2つに種別されると定義がなされています。

 まず開放型の任用制については、アメリカ型の職階制を基礎とした制度であり、個々の職務に欠員が生じた場合に任用(採用)がおこなわれ、特徴として、新規採用のみならず、転職による中途採用も盛んに行われています。

 採用に際して要求される資格や能力は職位の職務・職責をこなす即戦力という位置付けでの採用でありますから、その資格・能力要件は各階級ごとに明細に定められており、これに対応した採用選考が行われています。

 このことにより、職員の専門分化が促進されていきます。

これも一つの特徴だといえます。

 他方、閉鎖型任用制については、ヨーロッパ諸国および日本などの国において採用されており、この制度の特徴としては、終身雇用制を基礎とし、その年度の職種ごとの欠員数を採用枠とし、主としてその年度の学校卒業見込み者に対して実施されるのであります。

したがって、中途採用という考え方は少なく、昇任や昇格についても一定の基準に基づいて行われます。

 これは、最初に職員ありきで考えているので、新規採用時に要求される資格や能力は、学歴偏重型になりがちであります。

 個々の職位の職務・職責に適応し、事務処理能力は執務の中で訓練され習得できるのでありますが、潜在能力の開発に特化したような戦略的な研修制度が必要でありますが、現状ではなかなか厳しい状態にあるかと思われます。

 この閉鎖型任用制では、組織単位ごとの終身雇用制と年功序列を基本にしていることから、ジェネラリスト型の職員が多く、専門的な職員の存在が皆無に近いのであります。

 どちらの制度が正しいとは結論づけられませんが、日本型労働慣行からすれば、終身雇用を基本とした制度になり、安心して勤められることにより、生活設計もできるであろう。

 しかしながら、専門性の欠如により、将来の地方分権時代に対応できるか否かは疑問が残ります。

 ここら辺を考慮したベストミックスなシステムを構築していくのが喫緊の課題だといえると思います。