迷宮物語の中の一つ『工事中止命令』
監督・脚本・キャラデザを大友克洋が担当
ジャングルの奥地で全自動で進む工事に中止命令を伝えに行く事となった主人公。人も入り込めない熱帯雨林は、雨季になると濁流のごとく水に埋もれ、高層ビルの中腹まで水びたしになる。そこでは”機械的″に動く上の自然との歪みがあり、その歪みの隙間すら人間は入り込めない状態になっている世界であった。
この作品は眉村卓のSF小説を元に1987年に作られた。一番心に残ったシーンは、我慢できなくなった主人公が機械を壊しに向かう、去った後のテレビ電話では彼の上司の〝作業再開命令″が。誰もが身勝手だと思うはずで、それ以前にこの工事自体身勝手の塊でらる事がクライマックスで這い寄られるようにじわじわの感じた。
このスケールはアニメでしかできないし、アニメーションの存在意義の一つである”空想と現実のシンクロ”が大いに発揮された作品である。私が生まれる前の作品なので、20年前にこのような”警告”または”空想”ができたということは、今の私たちはどこまで進めているか疑問を抱かずにはいられない。まだ灰色のジャングルに迷い続けているのかもしれない。