不登校傾向のある児童生徒に対して、特定の児童生徒だけをずっとつけて同じクラスにするのは、いろいろな問題があることを前回の記事で話してきた。

 しかし、何の配慮もなしに学級編成をすれば、学校に来にくい子は、そのまま登校できなくなってしまう。

 それではどのようにすればよいか。




 それは学級編成するときにはもう手遅れで、新学期が始まったときから準備する必要がある。


 新学期が始まって、特定の子に依存してしまう子がいたら、その子の人間関係を広げてあげなければならない。

 具体的には、教師や仲の良い子を介して、仲良くなれそうな子と一緒に活動させたり、会話させたりすることを継続して行う。

 クラスには優しい子もたくさんいるので、多くの子でその子を支える体制をつくる。


 これは配慮を要する子にとっても心の拠り所が増えるという大きなメリットがあるし、周りの子にとっても、いろいろな友達と仲よくなれるというメリットがある。


 そして、できるのであれば、修学旅行や自然の家など、大きな行事のときに、引き継ぎでセットにして付けられていた子と、違う班にしてみる。

 その子に依存しなくても頑張れると経験を詰んでいく。そうすると、新学期は、その子と違うクラスでも別の仲の良い子と一緒であれば頑張って登校できるかもしれない。


 保護者の方は

「◯◯ちゃんと一緒のクラスなら頑張れると思う」

などと、ついお願いしがちであるが、特定の子に依存すると、その関係が悪化すると、もう学校に来ることは難しくなってしまう。また、その子の負担になってしまうということも忘れてはならない。


 だから、

「今年一年で気の許せる友達をたくさん作ってほしい」

ということを伝えておく方がよい。担任の先生も意識して働きかけてくれるかもしれない。


 

 別の話になるが、前の学年で大きなトラブルがあった児童生徒については、別のクラスに分けられることが多い。

 しかし担任がそのことを忘れていると、偶然同じクラスになることもある。(ひどい話である。)


 なので、クラスを分けてほしいというお願いは、学期末にしておくといいだろう。

 学級数が3クラス以上あれば、容易に分けられるのだから。


 新学期、ふたを開けてからでは、どう頑張っても覆らない。もう後の祭りである。同じクラスになったのであれば、そこでうまくやっていくしかない。



 学級には30人程度の児童生徒がいる。その中には気の合う友達もいれば、気に入らない友達も、話したことのない友達もいる。そんな中で友達との関わりを学んでいくのも勉強である。


 たとえ自分の思うようなクラスでなかったとしても、悲観せず、その中で楽しんでいくことが大切である。

 

 同じクラスになったということは、本当に偶然であり、同じクラスになったから仲良くなった、生涯付き合う友達となった、ということもある。


 そんな偶然の出会いを大切にしてほしい。