サケ科の銀化&降海する条件 | Nature's Inviolable Area

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鬱蒼としたインターネットのジャングルにある秘境Nature's inviolable area。

この秘境にたどり着いた貴方は何を知り、何を発見するのか。
唯一そこには takaと言う1人の人間がいるだけであった。


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まず、この記事を読み始める前に、現在の地球環境について貴方なりのイメージを持ってください。

 

一種の生物をちょっと理解するだけで、今の地球がどうなっているのかきっと理解できるでしょう。大きな視野でこの記事を見て頂きたい。

 

 

 

 

 

  スモルトとは

 

 

ヤマメを飼育した事がある人や、知っている人は多いだろう。

しかし、ヤマメを飼育できてもスモルトさせた人はごく僅かだ。

 

スモルト化(銀化)とは幼いヤマメが持っているパーマークという模様が体から抜けてくると共に、銀色の体色になった事を言う。

スモルトした個体は、所謂、海へ降る準備ができた個体という事。

 

 

スモルト化の条件

詳しく言えば、体色の変化は主に、ヒポキサンチンやグアニンの色素量の増加で影響し、スモルト化した個体は、鰓(エラ)のATPアーゼ活性が上がり、血中のナトリウム濃度を調整できるようになるので海水対応力ができる。

要は、スモルト化した個体は淡水から、いきなり海水に入れても死ぬことはまず無い

 

自然界でスモルト化する条件は様々だが、

 

① 肥満度の低下

② 孵化した場所が深かった。

③性別及び成長具合

 

この3つを覚えておけば大丈夫です。

 

① 

肥満度の低下とは、ヤマメを例に河川において残留型と降海型に分けられるが、これは諸説あるものの、産まれてすぐに捕食能力が高い個体は残留型になり、弱い個体は餌を求め海を目指す。

産まれてすぐに弱い個体は数年後、豊富な餌とスモルト化による成長ホルモンの効果により2倍〜4倍の体長になって4年後川に戻ってくる。

 

 

 

孵化した場所が深かったとは、まずイメージしてください。貴方が大きな湖に飛び込み、そのまま真上を見上げてみてください。

 

 

きっとこうなるはずです。

そう、稚魚は海と勘違いし、スモルト化するのです。

また、湖のヤマメがなぜサクラマスになるのかというと、まさにこれが理由になります。湖を海と勘違いしてしまうのです。

また、水産試験場や、養殖場の生簀が青いのは、孵化させた鮭の稚魚をあえて海と勘違いさせ、スモルト化させ、降海しやすい個体を育てている。

 

透明度が高く、水量の多い河川はサクラマスの遡上数は自ずと増える事になるので、サクラマスが有名な地域は、どの川も冷涼で綺麗な日本を代表する川だと思いませんか。

 

 

 

試験場や研究の結果、寒い地方であればあるほどメスのスモルト化及びサクラマス率が高くなる。北海道では殆どのメスがスモルト化する。

また、多くの論文や研究者の間で、スモルト化する大きな要因は、スモルト決定期に一定の体重を満たしているかが重要だと考えている。スモルト決定期とは産まれて最初の初秋だとされていて、その時期に一定の重量を満たしているとスモルト化し、決定期以降、一定の体重を満たしてもスモルト化しない。

そして、初秋に一定重量を満たした個体が、その後成長が遅くなってもスモルト化する。

 

 

 

 

 

  降海する個体

 

 

スモルト化については理解できたと思います。

しかし、降海しない個体もスモルト化することが当然あります。それはなぜでしょう。

 

漁協やサケ・マス孵化場が放流してる昨今、北海道以外の地方では鮭の遡上数は年々減少しています。

スモルト化=降海する が成立していない事になるのです。

 

 

降海するきっかけは、自然現象の重なりです。

 

・雪解け水による河川の増水

・月の満ち引きによる刺激

・新月による刺激

・汽水域での海水適応能力確保の時間

・一定数以上の群れ

・水温

・日照時間

 

これら全てが影響しているのです。専門的な話になるが、地球上の生物は真核生物と言われ、真核生物は日照時間や、月の満ち引きなどの動きを捉えて生活している。それを遺伝子カレンダーといいます。

遺伝子の中に刷り込まれている条件が違ったら生物は簡単に今まで当たり前にしていた事をできなくなってしまうのです。

 

 

 

 

私が心配している事

 

サケの遡上数が下がってるのも、今までの環境と変わった事が原因で、おそらく全ての生き物が今、私たちの知らない間に異変を起こしている

 

私は専門がサケ科なので、彼らから見える異常しかお伝えできませんが、

遡上したサケの少なさもそう、人間が作った人工的魚道や、街を通過する橋、護岸工事、これらができた事により、明らかにサケたちの体の傷の量が増えていて、産卵場所で有名なポイントに到達する前に体力を使い果たし死んでる個体が増えています。

 

護岸工事は、川の勢いを強くし、休む場所を無くしてしまいます。護岸工事はこの中で最も生物の環境を壊す行為です。

 

殆どの人は、育ててる生き物についてしか、調べる事をやらない

 

しかし、その生き物が住む環境を調べる事はしません。一番重要な事なのに。

 

絶滅危惧種は、

種の保護はされますが、その種の生息環境を保護する役割を一切持っていません

 

環境省は絶滅危惧種をまとめたレッドデータブックなるものを作ってます。

こんなもの、種を絶滅させる要因(希少価値が上がり捕獲される)の一つになりかねないし、種を守ることは、その環境を守り保全する事なのを理解していません。

 

以前、私は環〇省で働いていました。

 

環〇省レッドデータブックの意義とはなんなのか、上司と上記を理由に揉めました。

私の言ってることが通らず、馬鹿らしくなってしまいやめてしまったのです。

 

実際、個人では生き物一匹すら救えない。

だから環境省へ入ったのに、そこでも救える事はできませんでした。

 最近想うのです。 私たちは、死んでいく生き物たちを俯瞰することしかできないのではないかと。