あまりにも急転直下だが、既定路線でもあった。

 

大学選手権優勝21回、日本一4回を誇る名門カレッジフットボールチームである、日本大学フェニックスが廃部すると大学当局が発表した。

関東の大学アメフトといえば日大というのは名実共に確かであり、関西学院大学との「赤と青の対決」は名勝負が続出していた。

 

しかし、近年では不祥事が多く、2018年にはその「赤と青の対決」で日大の選手が、そのプレーの終了を告げる笛が吹かれた直後に無防備な関学の選手へ死角から強いタックルを繰り出す行為などにより、日大フェニックスは社会問題となり、首脳陣の多くが解雇となり、その年のリーグ戦の出場資格を剥奪されてトップカンファレンスから降格した。

その後、他団体から新首脳陣を招聘し、それまでの悪しき流れをぶった切った日大フェニックスは復活を遂げた…かに思えた。

 

 

しかし、その首脳陣が離脱した矢先に判明した、寮内での大麻などの違法薬物の所持並びに使用。これにより複数人が逮捕され、裁判が行われているが、逮捕された選手によれば、10人以上が違法薬物使用をしていたと証言している。

薬物の濫用というのは人体に何が起こるかわからない故に危険な行為である。スポーツ選手なら尚更だ。本来の力以上の力を出してしまって相手を壊してしまう可能性すらある。格闘技選手の木村ミノルはドーピングしていたが、その期間の試合を見て欲しい。特にロクク・ダリ戦。あのKOシーンは正直引いた。

 

当初、単に寮内で植物片が見つかっていただけであり、初動さえ誤らなければ、まだ学生内に薬物汚染が広まっていただけと結論づけることも不可能では無かった。しかし、大学トップ陣(特に元検事である沢田副学長)は見事なまでに揉み消そうとした。これは日大の悪しき隠蔽体質の一環であろう。無論、その無謀な試みは失敗して責任問題に発展。学長及び副学長は免職は間違いない。

復活の道をひた走っていた不死鳥にとって十分に致命傷となりうる事件といえる。

 

今回、廃部となった原因は学内の生徒による行為以上に大学運営に問題があったとしか言いようがない。フェニックスの選手、特に自宅や下宿先からの通いの選手には寮内の出来事なだけに、可哀想でなおかつ乱暴なまとめ方だが、「膿を出すためには仕方ない」という言葉で片付けるしかない。実際問題、様々な問題を引き起こしてしまった膿であったことには違いなかったからだ。

 

 

また、可哀想なのが、アメフトが上手く、日大の入学を決めているまたは受験しようとしている高校3年生であろう。何を目指せばいいのだろうか?目指す先が消えてしまった人はどうなるか分からない。同様な境遇となって極端な判断を下してしまった人も居る。どうか彼らには良いカレッジフットボールキャリアを歩んで欲しい。

 

しかしながら、まだ廃部と正式決定した訳ではない。また、廃部したとしても愛好会・同好会から復活することは可能ではあるし、セミプロのXリーグは大学生でもその大学にアメフト部が無ければXリーグのチームに加入する事が出来る。アメフトのキャリアが完全に閉ざされた訳ではないことは強調しておきたい。

 

例えどんな末路になろうが生徒の事は第一に考えてほしい。