これ木曜日のマーケットバンク黒岩氏のレポート

2007/03/15 「最後の脱出ポイント、軸は下向き」
 本日の日経平均は183.50円高の16860.39円で取引を終了した。昨日の米国株式相場が急
反発したことや円高一服などを好感。幅広い銘柄に買いが入った。世界同時株安の連鎖が
途切れたとの見方が優勢となり、多くの銘柄はリバウンドを試す展開となった。業種別東
証株価指数では銀行業、空運業など4業種を除き、すべて上昇。特に鉄鋼、保険業などの
上昇率が大きかった。
 本日の東京株式相場は一転してリバウンド相場となった。昨日の米国株式相場が急速に
切り返したことで、過度な下落リスクが後退。円相場の下落も追い風となり、輸出関連株
を中心に買いが優勢となった。銀行株の一角が軟調に推移したものの、総じてリバウンド
を試す動き。昨日急落した銘柄を中心に、押し目買いの動きが広がった。
 しかし、後場に入ってからは上値の重さが明確となった。徐々に売り圧力が強まり、今
晩の米国株式相場を警戒する声も聞こえた。円相場も一本調子の下落にはなっておらず、
依然として円高リスクはくすぶる状況。積極的に上値を買い進む材料に乏しく、あくまで
も「短期的なリバウンド」というイメージは拭えない。ローソク足でも上ひげが出現して
おり、上方の大きな窓埋めを拒否する動き。「軸」が下向きに傾いていることを感じさせ
る内容であり、予断を許さない状況となっている。
 本日の上昇は「窓・壁・軸理論」で考えれば、16500円から16600円付近に位置している
壁が強い支持帯となり、上方の窓(17000円付近)に向けて株価が動いた結果であるとい
える。しかし、上値の重さが明確となっている以上、「軸」が下向きである公算は大きい
。もし、「軸」が水平であるならば、上方の窓をスムーズに埋める可能性が高いからだ。
下方の壁を着実に崩すための値動きでもあり、いずれは下方ブレイクすると思われる。「
最後の戻り売りポイント」ともいえる場所でもあり、賢明な投資家はポジションを整理す
るべきであろう。
 崖っぷちに止まった「転落列車」は、奇跡的に最後の脱出ポイントを与えてくれた。完
全に静止しているというわけではないが、出入り口は開放された状態となっている。「今
だ!逃げろ!」という掛け声によって、次から次へと人が飛び降りている。ただ、この人
々の動きが列車バランスに微妙な影響を与えており、次の瞬間に墜落する危険性をはらん
でいる。一部の客は「冷静に、冷静に」と慎重な行動を促しているが、このような生死を
賭けた状況では、人は自分勝手に行動するというもの。その結果、列車は徐々に傾きかけ
ている。「DEAD OR ALIVE」――明日にもその運命が決定する。




次に同じくマーケットバンクの岡山取締役のレポート

15日の株式市場は日経平均株価が183円高の1万6860円で終了。TOPIXは19.24
ポイント高の1694.18ポイントで取引を終えた。日経平均株価は米国株式市場の反発と円安を
受けて寄り付きから買い先行でスタートし、その後も上値を切り上げ一時260円高の1万6942
円まで上昇する場面があった。中国を始めとしたアジア各国の株式市場が全面高となり、
外為市場でドル・円レートが1ドル=117円半ばまで円安が進んだ事で市場全体に買い安心感
が広がったようである。
 しかし、円安が一服すると、米国市場など先行き不安は残っており、戻り売り
圧力も強く一本調子で上値を追いかけるような事もなかった。米国のサブプライム(信用力の
低い個人向け)住宅ローンの問題がなくなった訳でもなく、また昨日のように日経平均株価
が1日で500円以上も下落するような事にでもなったら大変だと考えている弱気の投資家もかな
りいるようだ。
 さらに不安材料として寄り付き前の外国証券の売買注文の売り越しが続いてい
る事だ。1月・2月に売り仕掛けで注目されたクレディスイスは14日と昨日も日経225先物・
TOPIX先物を大量に売り越している事も投資家心理を弱気にさせている。
 今後の日本株式市場は米国の動きに左右する事は間違いないだろう。米国で今
晩米3月NY連銀製造業景気指数、米3月フィラデルフィア連銀指数、米2月卸売物価の発
表がある。
16日(金)は米2月鉱工業生産、米2月設備稼働率、米3月ミシガン大学消費者信頼
感指数と米2月消費者物価指数と重要な経済指標の発表が目白押しだ。これらの内容次第で
景気減速懸念が強まるかどうかで米国市場は大きく左右するだろう。また、16日(金)
に先物・オプション取引のクワトロ・ウォッチング(日本で言うSQ)を控えており、先物主導
の展開となりそうだ。
 米国株式市場でダウ平均は1万2000ドルの大台を割れ込み、その後急速に株価が
戻っている。出来高も20億株と大商いとなった。今晩、ドルが売られる事が無く、債券が
売られるとダウ平均株価は大幅に上昇する可能性が高い。逆にドルが売られ、債券が買われる様
な展開となった場合は2番底を打ったと言えず再度下降トレンドとなる。現在の米国市場は米
国のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの問題による景気減速懸念に怯えて
いる。その懸念が薄れる経済指標が続けば債券から株式市場に資金が流れる事になり、米国株
式市場の上昇が続くだろう。今晩の米国株式市場が大幅に上昇すれば、明日の日経平均株
価は1万7000円台を回復するだろう。
 東証1部の企業で2008年3月期の決算予想から日経平均のPERを計算すると17
倍台に低下しており、割高感は無い。期末の配当取りを狙った買いも入るだろう。米国株式
市場は重要な転換点を迎えており、その方向性が世界の株式市場を左右するだけに投資家の目
が米国に向っている。この状況で「買うか・売るか」の判断が普段以上にリスクがある反面
、面白い。ここは買いで取り組んで良いだろう。

株式会社マーケットバンク
代表取締役 岡山憲史



同じ会社内でも意見が真っ二つ!!!