マニアな日々
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BL★年下攻(孝哉&葉瑠編)①

「もう終りにしよう」

浦辺葉瑠(うらべ はる)はバスルームから出ると着てきたスーツに腕を通しながら口を開いた。

「どうして?」

上半身をベッドから起こした状態で煙草を吸いながら同僚の小林透(こばやし とおる)は不思議そうな顔をした。

「どうして?ってお前さ俺が知らないと思ってる」

「…あぁ結婚の事か」

透は煙草を消して裸のままベッドから出て葉瑠の腰に手をあててきた。

「結婚はするけど仕方なかったんだよ、お前だって分かるだろ」

後ろから抱き締める形になり透は葉瑠の着込んだスーツのボタンを外し始めた。

「…止めろ」

「葉瑠だけだよ本当の俺を分かってくれるのは…」

外されたスーツから手を入れられ先程までいじられて敏感になっている乳首に触れてきた。

「…っ」

更に透は葉瑠の弱いところを執拗に愛撫をはじめた。
「…っあ」

ベルトに手をかけられて正気にもどり透の手を振りほどいた。

「…いい加減にしろよ!」
「葉瑠こそどうしたんだよ?そんな事言うなんて俺達うまくいってただろう?」
手を伸ばしてきたのを振り払い葉瑠は言葉を続けた。
「結婚しても関係を続けようとするお前が信じられない」

葉瑠は乱れた衣服を整えて鞄を持った。

「じゃあ」

透が止めるのも聞かずそのまま部屋から出ていった。
長いホテルの廊下を歩きエレベーターに乗るとやっと気持ちが落ち着いたのが分かった。

透との関係は2年近く続いた、元々葉瑠はゲイで透はノンケだったが職場の同僚で飲みによく行くようになりゲイであることを知っても透の態度は変わらなかった。ある日仕事の失敗でヤケ酒を付き合い酔った弾みでセックスをしてしまい関係が始まった。

「長く続いたよな…」

誰もいないエレベーターの中で葉瑠は独り言を言っていた。

ホテルを出ると小雨が降っていたが葉瑠はそのまま歩き始めた。

いつからか透が変わってしまった。1年くらい前から仕事に欲を持ち始め、葉瑠との事も都合よく扱った。昇進に興味のない葉瑠は透の言うとおりに働き、セックスの相手をしていた。

全ては透のためだけに。

透とのセックスはけして気持ちの良いものではなかった。今まで経験してきた男達も一度も挿入で達した事はなかった。ただ愛撫は好きだったし挿入の時の痛みを耐えればいいだけだ。
透の事を好きだったから痛みにも毎回耐えた。

だけど透からしてみたら葉瑠は都合のいい相手でしかなかった。

気が付いたのは半年前、職場で透の婚約の話を聞いたのだ。

相手は部長の娘でもう式場も決めてあるとの事だった。葉瑠は最初は信じなかったがある日仕事の帰りに透と彼女がホテルに入るのを見てしまった。

葉瑠は透からの言葉を待ったが結婚の話は一切話さなかった。だから葉瑠は別れを決めた。

「………結構きついな」

歩きながら地下鉄に入ろうとすると

「葉瑠、葉瑠じゃない」

いきなり女性の声で名前を呼ばれて振り返るとそこには知ってる顔がいた。

「真奈美……」

堤真奈美(つつみ まなみ)葉瑠の高校の同級生だった。

「葉瑠久しぶりね」

折角なので近くの居酒屋に二人で入った。

「真奈美は変わらないな」
「何言ってんのよ葉瑠だって相変わらず綺麗よ」

さらっと言ってしまうのが真奈美のいいところだ。

「真奈美いつイタリアから帰ってきたんだ?」

「昨日よ」

真奈美は高校を卒業するとデザイナーの夢のためイタリアへと留学した。メールのやりとりをしていたが就職をしてからそれっきりになってしまった。

「じゃあ今は実家に?」

「……いいえ、近くのホテルにいるわ」

「?」

真奈美の実家は都心にあるので仕事をするにも不自由しないのに何故ホテルにいるのだろう。

「……葉瑠…わたし……」
「真奈美?」

「………子供がいるの」

「えっ?子供って真奈美の?」

「そう」

「お前結婚してたのか?何だよ~教えてくれよ」

だからホテルにいる事に納得した、たしかに旦那と一緒だと実家には居づらいだろう。

「…違うの…」

「?」

「結婚はしないで一人で育ててるの…」

真奈美は今まで見たことのない顔で話を始めた。

「7年前にイタリアで出会った有名な日本人デザイナーのアシスタントに入って彼と直ぐ恋に落ちたの…」

「俺でも知ってるヤツ?」
真奈美は震えながら小さな声で名前を言った。
その名前は有名なデザイナーでファッションに鈍い葉瑠でも知ってる名前だった。

「彼は結婚をしていたけど私達は愛し合っていた……あの日までは…」

「あの日?」

真奈美は一枚の写真を見せてきた。

「かわいいでしょ?孝哉っていうの6才になるわ」

写真には小さな男の子が写っている。

「お腹の中に赤ちゃんが出来た事を彼に話したら彼が豹変したの」

「何度も殴られて、殴られて子供をおろせって言われて……私は何とか彼から逃げられたけど彼は権力を利用して私をデザインの世界から追放したの」

「………」

「でも私は構わなかった、この子がいれば生きていられた……デザインの勉強は続けながら色んな仕事をして6年がたって、やっと日本でデザインの依頼がきたから日本に帰ってこれた」
「……大変だったんだな」
「まぁね、でも今は結構幸せよ」

真奈美は店員に追加のビールをたのんだ。

「あとは親に子供を認めてもらう事だけね」

「親は知らないのか?」

「子供が出来た時に知らせたわ、でも結婚は出来ないと言ったら勘当されたのよ」

「どうして?」

「頭の固い人達だから未婚の母は許せないんじゃないかな」

「私はいいんだけど子供がね………」

真奈美は写真を見ながら悲しそうな顔をした。

確かに認知をされてない子供だから将来辛い思いをするだろう。

「……なぁ真奈美」

「ん?」

「俺が父親になろうか?」
「はい?」

「「…………」」

「…だから俺が父親になろうか?」

「はぁ?何の冗談よ」

真奈美はケラケラ笑いながらおつまみの焼き鳥を食べ始めた。

「第一葉瑠はゲイじゃない」

高校の時に勘のいい真奈美には葉瑠がゲイであることはバレていてそれからも態度は変わらず良い友人として付き合ってきた。

「だから条件付きの結婚だよ」

「条件付き?」

「そう、もし真奈美に好きな人が出来たら別れるし子供が俺の事を好きにならなかったら結婚はしないし…とりあえず考えてくれないか?」

「………葉瑠付き合ってる人はいないの?」

「さっき別れた」

「さっき!?」

葉瑠が事情を話すと自分より怒ってくれた。

「何て最低な男なの!葉瑠アンタ良く平気でいられるわね!」

「いや…もう終わった事だし……」

「分かった葉瑠、結婚しましょう!」

「はい?」

「その男を懲らしめてやりなさいよ」

真奈美はそれから一人で色々決めて結婚をすることになった。

つぎの休みの時初めて真奈美の子供に出会った。

「孝哉(たかや)よ」

「………」

真奈美の横に座り少し大人びた顔付きで葉瑠の事を見ていた。

「はじめまして」

「孝哉、この人は葉瑠さんといって孝哉のお父さんになる人よ」

「お父さん?」

「そう」

「孝哉くん宜しく」

葉瑠が手をさし伸ばすと孝哉の小さな手が握り返してきてくれた。

「宜しくお願いします」



それが孝哉との出会い。

その後結婚はスムーズに進み互いの両親は喜び葉瑠も孝哉を自分の子供のように愛情をかけた。
透は結婚の報告を知るとビックリした顔をしたがそれ以上何も言ってこなかった。でもある日透には葉瑠と婚約者以外に付き合っていた女性がいたらしく婚約者にバレて結婚は破談透は地方へ転勤になってしまった。

それを聞いてもショックでもなく反対にスッキリした自分がいた。あの時孝哉に握りかえされた手の感触は今でも忘れられない、自分は一人ではない真奈美や孝哉がいてくれる、それだけで生きて行けると思った。

「葉瑠ちゃん」

その日孝哉は浦辺孝哉になった。






――――――――10年後

「葉瑠ちゃん、葉瑠ちゃん起きて!」

体を揺すられながら葉瑠は寝返りをうった。

「うぅ…」

「葉瑠ちゃん今日会議だって言ってただろ」

会議の事を言われて葉瑠は飛び起きた。

「そうだ会議だ!」

「葉瑠ちゃん時間は大丈夫だからご飯食べていってね」

葉瑠が眼鏡をかけると目の前に毎日見ても落ち着かない綺麗な顔がいた。

「おはよう孝哉」

「おはよう葉瑠ちゃん、ほら早くパジャマ脱いで」

孝哉はベッドのシーツを剥がすと洗面所に行ってしまった。

葉瑠はパジャマを脱いでスーツに着替えながらさっきまで見ていた夢をおもいだした。

「懐かしかったな…孝哉もまだ6才で可愛かった」

「あれから10年か……」

真奈美と結婚して10年葉瑠は棚の上に置いてある真奈美の写真をみた。

「真奈美が死んで3年か……」

真奈美は交通事故で亡くなったのが3年前でそれから孝哉と二人っきりで今のマンションに暮らしている。
色々あったが二人ともウマくいっている。

「さて、では行ってきます」

葉瑠は写真の中の真奈美に言って部屋を出ていった。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★つづく

BL★美容部員(鳳&薫編)END

鳳に引っ張られながらマンションに入って玄関に入ると又深いキスを繰り返した
「…っふ…」

そのまま鳳の手が薫のシャツの中に入っていった。

「…っ鳳…さんっ待って」
「嫌だ、待たない」

薫が少し抵抗すると鳳の腕が追い掛けてくる。

「ん…っあ」                  軽いキスを何回かされた。
「……っん」

薫は足の力がなくなりその場に座ってしまった。

逃れようと横に避けたが足に力が入らず倒れてしまったら鳳が被さってきた。

「……っ」

「嫌だ、は許さない」

「──────そんなこと言ってない」

目が合う。

鳳が少し笑った。

「お前は、本当に俺を夢中にさせるな…」

何を言うんだと言おうとした時顔が近付く。

薫はそっと目を閉じた。
                        「あ…あぁ…」                 薫の一番深い所に入って暫く鳳は動かないでいてくれた。                      「つらい?」                  「……っ大丈夫ですよ」             薫に確認した鳳は少しずつ動きはじめた。                 「あ…あぁ」                              支配される快感───────。


「……っ薫」


お互いの吐息がぶつかる。


薫は気を失いそうになる。

「あぁっ」                               頭上の男を見つめた。

涙がでた────。

気が付いた鳳が涙を舌で舐めとった。

堪らず背中の手に力が入った。


「鳳さ…ん」

「薫…薫…」

名前を呼ばれるたびに胸が高鳴る。

「好…き…」

呼吸が飲み込まれるような口づけをされる。

「…っ…ん」


全てが愛しく、この人の全てが欲しいと思った。


全てを捨ててもいいと思うほどこの人に恋をしていた。



『…神様……』


『どうか……もう少しだけ……』


『このままでいさせてください――――。』




                                    薫は鳳の広い背中を抱き締めた。
カーテンから光が見えた────。

薫はゆっくりと瞳を開けた
「………………」

横を見ると鳳が寝ていた、全てが夢ではない事を知らせる。

薫は鳳を起こさないようにベッドから降りると体の節々が痛んだ。

「っ……」

静かに廊下に行くと昨日の状態の二人の服が落ちていた、薫はシワシワになった服に袖を通した。

『もう会わない』

抱かれる前に決めていた事だ、『沢 夏江』彼女を裏切ってしまった────。
『でも後悔はしてない』

玄関の鍵を開けた。

「何処に行くつもりなんだ?」

「!?」

後ろを見るとバスローブをはおった鳳が立っていた。

「………鳳さん」


「………」

薫が答えないでいると腕を掴まれたリビングに連れていかれた。

「鳳さん!」

「ちょっと待ってろ」

薫をソファーの上に座らせて奥に行って戻ってきた。
薫の隣に座った。

「薫、言いたい事を全部言ってごらん」

鳳が薫の手を握ってきた。
「抱かれたこと後悔してるのか?」

「違います!後悔はしていません」

薫は否定した。

「…………」

薫は覚悟をきめて話をはじめた。

「あなたと夏江さんが結婚するとテレビで言ってたから……」

「だからそれは…」

「テレビを鵜呑みにしてはいけないと分かってはいました…でも…………」

「………」

「薫…」

「だから離れていたんです、でも離れれば離れるほど貴方が忘れられなかった……」

鳳が手に力を入れてきた。
「………貴方の手は夏江さん以外の女性も求めてます、でも独り占めしたい、独占欲が出てきて…諦めるために貴方に抱かれたんです……」

薫を見て鳳は口を開いた。
「夏江さんとは俺が新人の時からお世話なってて付き合いがながいんだ」   
「いつか年をとっても二人とも結婚してなかったら一緒になってもいいかもしれないなとは話したことがある」

「でも…薫、お前に出会った」

「一目惚れだった…──」
「えっ?」

瞳が合う。

「薫、これを見て」

鳳が薫の前に包みを出した
開けてみて、と言われて開けてみる。

「……これ」

中にはブレスレットが入っていた。

「夏江さんに相談して買ったんだ、指輪だと仕事中には出来ないからブレスレットにした」

ブレスレットをとり薫の手首につけた。

「薫、愛してるよ」

鳳が告白してきた。

全てのピースがあった。

「薫は?」

鳳が確認する。

「俺も………」

「ん?」

「俺も鳳さんを愛してます」

鳳が薫を抱き締める。

「ずっと一緒にいよう。二人の時の俺の手は薫だけのものだから……」

薫も背中に手をそえた。

「じゃぁ……」                 「ん…?」                   背中の手を更に強めた。             「じゃあ強く抱き締めてください」

深く、強く抱き締められた。
                                                あれから暫くたって鳳から薫は夏江に紹介された。
彼女からは『ワガママな男だけどヨロシクね』と言われた。

鳳の希望で彼のマンションに引っ越してきた。鳳曰く会えないのが不安らしい(笑)
鳳は明日からフランスに暫くいく。

「やっぱり俺の右腕にはならないのか?」

毎日のように言われている

「はい、まだやりません俺には今の会社で出来るところまでやって鳳さんに負けないくらいになったら考えます!」

新たな目標ができた。


鳳は諦めの溜め息を吐くと薫をソファーに押し倒した。

「ちょっと鳳さん!まだ片付けが残ってます」

薫が抵抗すると、

「俺から逃げるなんて100年早い」

などと言ってキスをする。
「まったく仕方ないですね、じゃあ後で手伝ってくださいよ」

「薫と一緒ならいいよ」             鳳の顔が近付いてきた。             「ん……」                               薫はそっと鳳をだきしめて目を閉じた。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★END

ここまで読んでくださいましてありがとうございました。この作品は前回の双子よりもずっと前に作っていた作品を少し書き直して載せました。双子より読みやすいかな……と思います。しかし更新が遅くて本当にごめんなさいm(__)m
まだまだのんびり更新しますので飽きずに見てやってください。次回の予定はマニアックな高校生×義父です。苦手な方ごめんなさいm(__)mでは失礼します。

BL★美容部員(鳳&薫編)②

「本当にゴメン!」

「気にしないでください。俺が自分から言ったんですから…」

あれから鳳が目が覚めたのが一時間してからだった。薫はショーは見れなかったが目の前で鳳の技術が見れたので満足していた。

「本当に悪かった何が食べたい?何でも奢るぞ」

確かにお腹が空いてきたので何か食べたいがこのへんは普段こない場所なので分からないと鳳に言うと鳳は少し悩んだ後こう言った。
「このへんでは珍しく和食がうまい店があるからそこに行こう」

「はい」

それから和食を食べて飲み足りないと言う鳳に連れられて近くのバーでお酒を飲んだ。

「鳳さんは家どこなんですか?」

「六本木、薫は?」

「中野です、やっぱ良いところに住んでますね」

「別に何処行くにも便利だからその場所にしたんだ」
「その場所に住める事が凄いんですよ」

「じゃぁ一緒に住むか?」
「また変な事言って!」

「俺はいつも本気だよ」

「鳳さん…」

「今日一緒にやってみて良く分かった俺には薫が必要なんだ」

テーブルの上の薫の手を鳳は力強く握り締めた。                          
朝薫が目覚めると部屋が違う事に気が付いた。

「あれ?」

昨日は確か鳳と飲んでいて色々話をして……途中から『記憶がない!?』

薫が起きようとすると腰に何かがあって動けなかった見てみると薫の腰に腕が巻き付いていた。

「う…で…?」

後ろを見ると鳳が深い眠りに入っていて薫の腰を抱き枕のように抱き締めていた薫はそっと腕を離しベッドからおりた。衣類は昨日のままなのでナニかあったわけじゃないと安心した。

鳳を見ると疲れているみたいで熟睡していた。

「まだ起こさない方がいいな…」

昨日の話で薫と鳳は休みなので寝坊ができる。薫はシャワーを借りるため部屋を出ていった。



シャワーを浴びてキッチンに入った。

「泊めてもらったお礼に何が作るか」

冷蔵庫を見ると海外で家を空ける事が多いせいか冷蔵庫には余計な物は入っていなかった。

「さて何を作るかな」

まあ何か適当に作れば食べるだろうと考えて薫は冷蔵庫に入っている品をだした。



料理ができてコーヒーメーカーをセットして薫は鳳が寝てる寝室に足を向けた。
「まだ寝てる」

コーヒーが出来るまでは寝かせておこうと、そっとドアを閉めた。部屋にコーヒーの香りがしていた。

「ん……」

鳳は眠たい目を開けて手で薫の姿を探した。

「…薫?」

昨日確かに一緒に帰ってきたがそこにはいなかった。鳳がベッドから降りるとリビングのほうから音が聞こえてきた。

鳳が部屋を出るとキッチンで薫がなにかやっていた。
「あっ!おはようございます今起こしに行こうと思ったんですよ」

「おはよう…」

鳳はリビングのソファーに座ると薫がコーヒーを持ってきた。

「昨日はすみません何か迷惑かけてしまったみたいですね」

「別に」

帰ると言う薫を無理矢理部屋に連れてきたのは鳳だ。
「何か作ってるのか?」

コーヒー以外にも香ばしい匂いがした。

「すみません勝手に使ってしまい、簡単な朝食ですけど食べますか?」

「食う…」

のそりと鳳はテーブルの方に行った。

「…………」

黙って席につく鳳を不思議に思った薫は聞いてみた。
「……嫌いなものありましたか?」

「……イヤ全部好物だ」

白いごはんにだし巻き卵、シャケ、大根の味噌汁がテーブルに並んでいた。

「薫料理うまいんだな」

鳳は味噌汁を飲みながら言った。

「独り暮らしが長いですからね」

食事を食べ終えた後又コーヒーを飲んで薫は鳳に帰る事を伝えた。

「送っていく」

鳳が立ち上がろうとした時
「大丈夫ですよ、駅も近いですし」

「薫」

鳳がよびとめる

「はい?」

薫が振り向くと鳳が覆い被さってきて薫に軽いキスをした。

「………」

唇が離れて鳳と目があう。
「又連絡する」

鳳が言い終えると同時に薫は鳳の家をでていた。                                      あのキスから暫くたった────。

最後に鳳からメールがあったのが一週間前、今頃仕事でロスにいるだろう。

「主任~~~!」

仕事先で後輩の根本が薫を呼んだ。

「根本、声が大きい!」

「すみません~でもこれ読みましたか?」

根本は一冊の雑誌を持っていた

「俺は週刊誌読まないから見てないよ」

「鳳さんがのってるんですよ~~~~!」

「えっ!?」

根本から見せてもらった週刊誌には『カリスマメイクアップアーティストと女優沢夏江ロスでの一夜』と書かれていた。日付も鳳がロスに行ってる日付で合っていた。写真ではホテルに入っていく鳳と沢夏江が腕をくんで写っていた。

「…………………」

「やっぱりイケメンは違いますね~~でも鳳さんより沢夏江の方が年上ですよ美人は得だな~」

薫には根本の声が聞こえなくなっていた。薫は急いで携帯を確認したが鳳からは連絡はなかった。

『当たり前か…』

薫は携帯をしまい、週刊誌を読んでいた根本に声をかけた。

「ほら売り場にいくよ」

「あっ待って下さい~」

薫は何も考えないようにした。家に帰っても鳳の事を考えてしまい何も手をつけられなかった。

『鳳さんは知ってるのかな?』

週刊誌に名前や写真が載るときは本人か事務所に前もって連絡が行くようになっている。

『いくら海外にいても事務所が連絡してるよな……』
それでも薫に連絡がないのはやはり鳳にとって薫はたいしたことない相手なんだろう。

「……」

そう思ったら胸が痛んだ。
この業界は多い世界で薫は今まで何人もの男性を声をかけられてきた、全てを丁寧に断り、今まで何にも感情を乱されたことなどなかった。

鳳以外では─────。

薫は全てを忘れようと携帯から鳳のアドレスを消去した。

『前に戻っただけだよ』

鳳と出会う前の自分に戻っただけだ………

「っ………」

薫の瞳から涙が溢れていた。

「ふっ……っ」

胸が痛い……───。

薫の心に一つの感情が目覚めた。

            俺は鳳さんが好きなんだ─────────。
                        それが分かったら楽になった。でも全てはもう遅かった……。

『もう会えないな…』

薫は鳳を諦める事に決めた
                        外は雨が降り始めていた。あれから一週間がたった。偶然テレビで鳳が帰国するのを見た、記者が取り囲んでいて無言で空港を後にしていた。
ワイドショーでは否定をしない鳳に二人は結婚が近いなど、ロスで宝石飾で買い物をしているのを目撃したなどと言っていた。

薫の携帯には着信拒否にした鳳の番号が毎日表示されていた。

仕事が終わり出入口を出ると薫は驚いた。

「………鳳さん!?」

車を横付けして鳳が傘もささずに立っていた。

薫が無視をして通りすぎようとした時薫の手首を鳳は掴んで車の中に薫を押し込んだ。

「鳳さん!」

車はロックされて発進してしまった。

車が走ってる途中薫が行き先を聞いても鳳は何も答えなかった。
景色を見ると見たことある建物があった。

「……鳳さんのマンション…」

車が地下の駐車場に入って停まった。

エンジンを切った後鳳は口をひらいた。

「何で電話にでないんだ?」

「………」

「週刊誌の事なら」

「もうやめて下さい」

「?」
            「結婚するんでしょ?だからもう関係ないです」

「って、おい結婚ってなんだよ!?」

「もう俺に構わないで下さい!」

ドアが開くのを確認した薫は外に出た。「薫!!」

鳳も外に出た

外に出るとまだ雨が降っていた。

「薫」

腕を掴まれた。

「………ほっといてください」

「薫こっちを見ろ」

見れなかった今にも涙がでそうで、自分は弱くない人間だったのにいつのまにこんなに弱くなってしまったんだろう……

「薫は俺からの言葉よりテレビや雑誌の言葉を鵜呑みにするのか?」

鳳が話を続ける。

「あの人は俺が修業時代からお世話になってる人で今でもメイクの担当をしてるんだよ」

「………」

「薫……」

頭のなかで誰かが警告する
鳳が掴んでいた手を薫の指に絡ませた。

雨でお互い濡れていた。

「薫どうすれば信じてくれる?」

又頭で警告された。

『イッテハイケナイ』

『コノママイナクナクナレバイインダ』

『カノジョガカワイソウダ』

鳳が絡ませた薫の指にキスをした。

「薫…愛してる」

薫の中で何かが弾けた。

「………て…下さ…い」

薫が何かを言った。

「えっ?」

鳳が聞き返す。

「…強く…」

「強く…抱き締めて…下さい」

言い終わると同時に薫は鳳に強く抱き締められていた
そして深く、優しいキスをしてきた。

薫はそっと鳳の背中に手を伸ばした。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★つづく。