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言葉が変われば考え方が変わる
考え方が変われば心が変わる
心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば性格が変わる
性格が変われば出会いが変わる
出会いが変われば人生が変わる
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。
それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、
北高の伝統行事だった。
甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。
三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。
学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、
親友たちと歩きながらも、貴子だけは、
小さな賭けに胸を焦がしていた。
本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
内容(「MARC」データベースより)
高校最後のイベントに賭けた一つの願い。
あの一夜の出来事は、紛れもない「奇跡」だった、とあたしは思う。
ノスタルジーの魔術師が贈る、永遠普遍の青春小説。
『小説新潮』隔月連載を単行本化。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
恩田陸
1964(昭和39)年、宮城県生れ。早稲田大学卒。
’92(平成4)年、日本ファンタジーノベル大賞の
最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。
2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞を、
’06年『ユージニア』で日本推理作家協会賞をそれぞれ受賞した。
ホラー、SF、ミステリーなど、
さまざまなタイプの小説で才能を発揮している
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
ココロに響いた部分は以下の通りです
途中で一人だけやめてしまうなんて、
考えるだけでゾッとするではないか。
・人間、自分にないものに惹かれあうのは永遠の摂理で、
学年が上がる進むごとに親しさは増して、
明日の自由歩行は二人で歩くことにしているのだ。
・当たり前のようにやっていたことが、
ある日を境に当たり前でなくなる。
こんなふうにして、二度としない行為や、
二度と足を踏み入れない場所が、
いつのまにか自分の後ろに積み重なっていくのだ。
・地図には空白も終わりもあるけれど、
現実の世界はどれも隙間なく繋がっている。
・夜間歩行の時だったな。みんなで夜歩く。
ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろうねって
・たとえ一度の傷はささいなものであっても、
無数の小さな傷が増えてくるとそれは不快な疼きになる。
・日常生活は、意外に細々としたスケジュールに区切られていて、
雑念が入らないようになっている。
チャイムが鳴り、移動する。バスに乗り、降りる。歯を磨く。
食事をする。どれも慣れてしまえば、
深く考えることなく反射的にできる。
・あたしの記憶はあたしだけのもの。
それでいいんだ。
・死とは異質なものなのだ。
・秋の海の波は荒く、
黒い岩のかたまりやテトラポッドに打ち寄せる潮騒は不機嫌である。
・普段は全校生徒とひとくくりにされているものが、
実は匿名性の高い不確かな存在であることを思い知らされたのだ。
・学者のアイデアがひらめくのは、
散歩中のことが多いんだって。
・足の裏の抗議に耳を傾けてはいけない。
この程度の抗議に耳を貸していたら、
この先歩けないと知っているからだ。
・降るような星、というよりも、こちらが空に落ちていって、
星の中に溺れていまいそうな眺めだった。
空で溺れている三人が、
身体についた星を手で振り払っているところを想像した。
・目的地が目に見えると、
これまでの疲れが一気に消し飛んだ。
・どこかで僕も、このイベントに参加したがってた、
本当は羨ましがってたって分かったよ。
海辺を歩いている時とか、みんなとても楽しそうだった。
一体感?
全員出何か同じことするイベントなんて、
向こうじゃほとんどないし。
・『しまった、タイミング外した』だよ。
・雑音だって、おまえを作ってるんだよ。
雑音はうるさいけど、
やっぱ聞いておかなきゃなんない時だってあるんだよ。
おまえにはノイズにしか聞こえないだろうけど、
このノイズが聞こえるのって、今だけだから、
あとからテープを巻き戻して聞こうと思った時にはもう聞こえない。
・どうしろとは言わないけど、
もっとぐちゃぐちゃしてほしいんだよな
・世の中、本当にタイミングなんだよな。
順番といってもいいけど。
・最初に友人の彼女にはとして紹介されていたし、
単なる立会人で相談役として長いことやってきたんだから、
今更役割を変えられない。俺はそれまでの役をこなし続けて、
彼女の気持ちに気付かないふりをした
・悩みは人それぞれで、それぞれに別の困難さがある
・いいなあ、布団と枕。
足伸ばして横になれるだけで幸せ
・甘いものを食べる幸せは、こんなところでも同じだ。
いや、もっと幸せかも。しかも、
夜更けに歩きながら甘いものを食べるなんて、
罪悪感があって後ろめたいだけに、
余計わくわくさせられる。
・大人になるというのは不条理なら物である。
・当日までは、
歩きとおせるだろうかという不安にうじうじしてるんだけど、
始まってみればあっというまで、
心に残るのは記憶の上澄みだけ。
終わってしまってからようやく、
さまざまな場面の断片が少しずつ記憶の定位置に収まっていき、
歩行祭全体の印象が定まるのはずっと先のことなのだ。
・父親に対する軽蔑は、
父親の気持ちが分かるからだし、
自分の中にそっくりな部分があるせいだと自覚しているからなのだ。
・臭くて、惨めで、恥ずかしくてみっともなきもの。
あいつにはそういうものが必要だと思うんだよね
・戦う愛みたいなのが必要だと思うんだよ。
ぶつかってく愛、みたいなの。
あいつ、割と無償の愛を当然と思ってる節があるからさ。
・他人や女性に対して、
力関係や上下関係で態度を決めるところがあるような気がする。
・他人に対する優しさが、
大人の優しさなんだよねえ。
引き算の優しさ、というか
・大体、俺らみたいなガキの優しさって、
プラスの優しさじゃん。何かしてあげるとか、
文字通り何かあげるとかさ。
でも、君らの場合は、何もしないでくれる優しさなんだよな。
それって大人だと思うんだ
・大人の社会というのは不思議だ。
誰しも口を開けば立派でまともな言葉が飛び出す。
一見いかにも厳しいルールがありそうに見えるのに、
裏ではそうとう杜撰でだらしないということは、
毎日、新聞やニュースを見ればすぐに分かる。
・融は当たり前のことを当たり前にできる人間が好きだったし、
自分もそうなりたいと思っていたからだ。
・甲田親子はカッコよかったのだ。
・二つの家庭にあまり差がないことが融を苦しめていた。
・顔って、全部出るじゃない。
性格とか、育った環境とか。
・甲田さんが不思議な顔をしているのは、
きっと、寛大なせいだと思うんだ。
・みんな、ギラギラしてるからね。
僕たちは、内心びくびくしながらもギラギラしてる。
これから世界のものを手に入れなきゃいけない一方で、
自分の中持っているものを取られたくない。
だから、怯えつつも獰猛になってる。
・好きという感情には、答えがない。
何が解決策なのか、誰も教えてくれないし、
自分でもなかなか見つけられない。
・なぜ振り返った時には一瞬なのだろう。
あの歳月が、本当に同じ一分一秒毎に、
全て連続していたなんて、
どうして信じられるのだろうか、と。
・やはり、物事にはいつか終わりが来る。
・順番を待っているうちに貴子は
むらむらと妙な闘志が湧いてきて、
がしがしと乱暴に歯を磨いた。
・僅かな仮眠で体力が戻るはずもなく、
仮眠は疲労を麻痺させて、
まだ大丈夫だと思い込ませるためだけだったに過ぎない。
・ふと、頬に暖かいものを感じた。
オレンジ色の光が目に射しこんでくる。
日の出だ。
・太陽は偉大だ。
たった一つで世界をこんなにも明るくする。
・いったいどこまでが恋に恋して、
どこから先が恋人に恋していると決められるのだろう。
違いは何なのだろう。
・パーフェクトな人たちにはパーフェクトなりの
悩みがあるものなんだなぁと考えていた。
・歩きやすい道と、
歩いて心地よい道は必ずしも一致しない。
・今は今なんだと。
今を未来のためだけに使うべきじゃないと。
・これからどれだけ「一生に一度」を繰り返していくのだろう。
いったいとれだけ、二度と会うことのない人に会うのだろう。
なんだかそら恐ろしい感じがした。
・なんで、モノが異常になると熱が出るんだろうな―。
融はそんなことをぼんやり考えた。
機械だって、調子悪くなると熱くなるもんな。
何か不具合があると、
そこで、正常なものと異常なものが戦うんだろうな。
戦ってると、熱がでるんだ。
・何かに気をつけ取られると、
人間、痛みを忘れてしまうものらしい。
・言葉を交わし、互いに存在を認めてしまった今から、
二人の新しい関係を待ち受ける時間。
もはや逃げられない。一生、断ち切ることのできない、
こらからの関係こそが、ほんとうの世界なのだ。
・分からないね、人のことなんて。
これまで、ろくに喋ったことなくて、
きっとこういう奴だろうって想像ばっかりしてたから、
現実に話してみたら、拍子抜けしちゃった。
あまりにも普通で。
・何かの終わりは、いつだって何かの始まりなのだ。
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