手元に戻ったオーラチェンジャーと″天宝来来の玉″。
反撃の狼煙はあがる。
今、ここで。
「みんな、転身だァァッ!」
『おうッ!!!!!!!!!!』
由貴達だけではない。
サーガキッズも再び戦おうと立ち上がる。
終止符を打つための戦いをするために。
「気力転身……オーラッ」
「魔力転身……サーガッ」
『チェンジャァァァァァッッッ!!!!!!!!!!!!』
眩い光。
辺り一面を包むほどに輝く。
遠くから見れば、地上にある星かと思う程であろう。
デーヴァに押されていたかんざし女雛も、ニヤリと口元がなってしまう。
「教えてやろうデーヴァ。ここがお前の旅の果てぞ」
「?」
デーヴァの前には、12人の小さき戦士。
幾つもの世界で戦ってきた″ガキ″である。
「…………ん?ククク……」
圧巻な光景を前に、デーヴァは笑う。
「何かと思えば、雑魚が並んでいるだけではないか」
コウが転身したのは、スーパーリュウレンジャーである。
齊天大聖ならいざしらず、通常形態に毛が生えた程度の存在など恐れるに足らない。
他のダイレンジャーキッズも能力は知り尽くしてるし、サーガレンジャーは既に見切っている。
「そんなんで、私が斃れるかッ!」
「斃れてもらうッ!。みんなぁぁァッ、行くぞぉォッ!!」
ダイレンジャーキッズとサーガレンジャーによる総攻撃が開始する。
ここで、永い永い戦いを終結させるため。
それはデーヴァも同じ。
時間を停止させ、向かってくるレンジャーズを止める。
「あたしには効かないよッ!」
朱雀釵を手に、キリンレンジャーのみは動いている。
同じ時間操作の技は、相殺できるのである。
「知っているぞ」
朱雀釵に気力を込め、″光紡剣″を発動する。
ビームサーベルと化した釵を振る。
しかし、それをデーヴァは羅刹で受け止める。
″光紡剣″の光が収束しているため、熱量も膨大だ。
相手の武器を切断できるものだが、一向に切れる様子はない。
「今までの歴史よりは強いが……」
「″時間流し″」
あらゆる時間操作を無効にし、通常に戻す″時間流し″。
拘束が解け、一斉にキッズ達は向かってくる。
「チッ……」
舌打ちと同時にキリンレンジャーを弾き飛ばし、妖力波を放つ。
それをアヌビスがアスファルトを盛り上げ、壁として防いだ。
その破片を潜り抜け、炎と光の矢がデーヴァへと向かう。
「ムッ!」
羅刹で弾く。
間髪なく、ガネーシャの弾丸が飛び交う。
「グッ!」
デーヴァから火花が散る。
シールドを前面にしながら突進し、それを羅刹で受けられる。
「やっとお前に攻撃が通ったわね」
「調子に乗って貰っては……」
「そら、油断する」
そう言われると、デーヴァは背後から痛みを感じた。
腰周りを挟み込む、マカラのカプリコーン。
「零距離なら、アンタもただじゃ済まないわね」
3回キーを回し、カプリコーンに魔力が急速に回っていく。
「″ディープクレイドル″」
カプリコーンから、魔力が放出される。
″ディープクレイドル″は″ディープダウン″に比べ射程が短く、近距離でしか効果が無い分威力が高い。
それを受け、流石のデーヴァもガクッと崩れる。
「グッ…………おのれぇぇッ!」
全身から炎を出し、ガネーシャとマカラをはね除ける。
「遊びはもうせん……………」
「その前に止める」
水飛沫を上げながら、その噴射を利用して突進していくホウオウレンジャー。
「″蛇″……いや、今は″龍″というわけか娘ッ!」
炎を羅刹へと移し、聖火のように燃える刀身が水を纏う刃と衝突する。
ホウオウレンジャーの脳裏には、デーヴァを必滅するべきという考えがあった。
復活時や今になって思ったわけではない。
遺伝子…………いや、因果を辿りに辿った魂に刻まれた思いがそうさせているのだ。
「″お前″はここで必ず斬るッ!」
「同感じゃ由貴」
かんざし女雛が現れ、簪を組み立てる。
円状に並び、簪に宿った妖力が収束していく。
「華の舞・″向日葵″」
円の中心から妖力波が放たれ、デーヴァへと命中する。
羅刹を握る力が弱まった。
それを逃さず、青龍月刀をデーヴァへと当てる。
「鳴水星・″水上龍波紋″ッ!」
鳴水星・″水上龍波紋″とは、水を刀身に圧縮して高水圧を生み、それを斬撃として放つホウオウレンジャーの気力技である。
レンジャースーツに酷似したデーヴァのボディから、火花があがる。
それをチャンスと見たかんざし女雛は全妖力を集中させる。
「由貴、今すぐ放れろッ!」
諭され、ホウオウレンジャーは再び水の噴射で後退する。
その後デーヴァの周りからは樹木のような巨大な簪が現れる。
それも1本ではない。千に及び、まるで簪の並木通りであった。
デーヴァにはこれが″千本桜″に見えるが、このような規模では見たことがない。
「極の舞…………″千本桜華道″」
″千本桜華道(せんぼんざくらはなみち)″。
桜の花びらは幻覚。
それはわかっていた。
しかし、そうとは思えない程に、実物と見紛う美しさ。
そこでデーヴァは真に視た。花びらに隠れ、次々と枝分かれしていく簪。
樹から枝へ、枝から小枝へ。
その数は、千や万では到底数え切れない。
そう思った瞬間、全身から火花が飛び散った。
「ぐ…………ぶ…………」
そうか。″千本桜″の最大強化型というわけだ。
億にもなるだろう簪が完全包囲しての飽和攻撃。
この技の有効範囲においては、絶対回避不能と云えるだろう。
いや、待て。
こんな技は、今までの歴史には存在しなかった。
幾度繰り返し、因果の形はある程度決まっているはず。
「なぜだ。貴様らッ!」
疑念と憤怒が混ざり、デーヴァも慢心を捨てる。
重力による圧を引き起こし、辺り一面が高重力空間となる。
瓦礫も押し潰され、メキメキとアスファルトが軋んでいく。
「私は神だッ!。あらゆる時間、あらゆる世界を知っている。だが、なぜお前達はこうも変わるッ!?」
何度も戦い、重ねてきた歴史の中でも異端という異端。
その証拠に、高重力を突破してテンマレンジャーが向かってくる。
自らに″重力逆転破″をかけ、圧を相殺している。
こんな器用な真似を、健一ならばしてこなかった。
「うらぁッ!」
天狼トンファーを投げつける。
雷をトンファーに纏わせているため、プラズマサーベルと化している。
それを弾く。その脇から、2つの輪が飛んでくる。
ワイバーンのリンドブルムである。
更に、弾かれた天狼トンファーを気力で引き寄せ、デーヴァを四方から挟みにかかる。
「こんなものがァッ!」
突風を引き起こし、更に幻影による撹乱をする。
天狼トンファーとリンドブルムはそれらを空かし、持ち主へと戻る。
だが、間髪いれずにユニコーンがイノセントホーンを前に突進していく。
デーヴァは光弾を撃っていく。
しかし、クジャクレンジャーやガネーシャが援護射撃をして相殺していく。
ユニコーンは3回キーを回し、イノセントホーンをデーヴァへと突き立てた。