「貰ったァッ!」
シャダムは妖力を練り、隙が生じた嘉挧を狙う。
しかし、嘉挧は剣を向けた。
「妖力の塔よ」
ちょうどザイドスと亮達が、まさしく攻防をしている後ろの塔から、妖力が飛んでいく。
嘉挧は注がれた妖力を剣先に集中させる。
「ムンッ! 」
剣型の妖力波が放たれ、シャダムをかすめる。
しかし、かすっただけなのに、シャダムはよろけてしまった。
嘉挧も剣を両方落として蹴り飛ばす。
両手を広げ、天を仰ぐ。
「気力の塔よ、妖力の塔よ、私に力を与えよ」
先程と同じように気力と妖力が塔から放出される。
しかし、途中で交じりあい、螺旋軌道をして嘉挧へと注がれていく。
「気力・妖力、大合体ッ!」
陰陽交ざるオーラが迸り
スパークが弾ける。
ダイレンジャーを一撃の下に粉砕した圧倒的な力。
神に等しき力、人が持つには過ぎる力。
気に呼応し、地鳴りさえ起きている。
「覚悟だシャダム」
気力と妖力が混在した光球が嘉挧の掌に生まれる。
「気力・妖力合体、″爆裂玉砕掌″。…………ムウゥッ!」
″気力ボンバー″にも酷似している光球。
しかし、見た目は以上に大きい。ならば威力も…………。
「カアァッ!」
シャダムは妖力波を放つ。
けれども、簡単に打ち消されてしまい、減衰さえさせずに直撃を受けてしまう。
「ぬぅお…………」
声をあげた時には躰が吹き飛んでいた。
ダイレンジャーを破った時は周囲を巻き込んだのを、一点に集約させたのだ。
いわば、天変地異をその身に受けたようなもの。
崖に激突し、転がり落ちていくシャダム。
痛いという感覚などではない。躰中を引き裂かれそうになっている。
「ザイドス……まだ、あの塔を…………」
そう吐いたシャダムの台詞を、嘉挧が逃すはずはない。
子竜らが守ってるとはいえ、相手はザイドス。
ガラも会場にはいない。恐らく向かったのだろう。
時間はない。
ならば、惜しむわけにはいかない。
「気力の塔よ、妖力の塔よッ!」
再び塔から、力を採り込もうとする嘉挧。
スピードこそ勝負である。
再び嘉挧は掌に巨大な球を造り出したのであった。
『″気力ボンバー″!!!!!』
生身の状態ながら、コウが増幅させて放つ″気力ボンバー″。
しかし、デーヴァには簡単に弾かれてしまう。
気力を集中し、ドーナツ型の輪を精製し、デーヴァを拘束する。
「こんなもので足止めできるとでも?」
光と共に衝撃波が発生する。輪は砕け、キッズ達にも衝撃波は及んだ。
『うわぁぁぁぁァッ!!』
既にボロボロになったキッズ達。
転身できないという状況では、流石に戦えない。
「どうやら今度こそ、私が支配するべき世界のようだな」
「お前を絶対に好き勝手させるもんかよ」
コウは立ち上がる。
「そうか。お前は過去に″あった″世界を視たのか」
人工的にダオス王を生み出そうとし、誕生したのがデーヴァだ。
神を再現しようとしただけはあり、幾度となく繰り返した歴史を認識しているようだ。
「何も変わらんよ。運命の子よ。自らが敷いた″輪廻の理″、よもや自分で覆そうとでも思うたか」
「僕が…………輪廻の理?」
「そうか。なるほど、記憶は直接持ってるわけではないか。ダオス王、妙な真似をする」
羅刹を出し、気力と妖力を注いでいく。
どちらにせよ、コウさえいなければ″片割れ″以外は脅威に値しない。
この好機を逃すわけにはいかない。
「運命の子よ。ここですべてを断つ」
紅いオーラ。
これはまるで、嘉挧が使っていた気力と妖力の練り合わせと一緒ではないのか。
マズい。あれと同様なら、防ぐ手段はない。
他のキッズ達も、コウを助けなければと思いつつ、その行為が無駄であることも察している。
「しかし、なぜお前達はいつも、無駄とわかって戦うのか」
「?」
「いくらやっても変わらない。いくら繰り返そうと諦めない。その愚かな頭蓋、理解できぬな」
ここまで十数万年繰り返した。
ここに至るまで、奴らは変わらなかった。
人間もまた、世界もまた、歴史を繰り返すのみで、何も変化は無かった。
それを百度、千度味わったはず。
知らなくとも、覚えていなくとも、同じく諦めずに立ち向かってくる。
特にこの運命の子と呼ぶ、コウ。
すべての世界で、自分に挑んできた。
届かないはずの刃が、常に自分を貫く。
しかし、今は刃さえ持っていない。
「輪廻の理は私が新たな理に変える。塵芥と成り果てろ。″天地乖鸞(てんちかいらん″)」
″千本桜″
桜の花びらが舞う。
ピタリとデーヴァは手を止め、コウから離れた。
季節はずれの花弁をコウを過ぎた瞬間、ピリッと頬をかすめたのを感じる。
「今のは?」
「″千本桜″。桜の舞の極意じゃ」
聞きなれた幼い声ながら、太く反響するようだ。
その者は降り立つ。
紅白の、まるで雛人形のような出で立ち。
腕と脚を包む紅い手袋と足袋、簡素ながらきらびやかな羽衣、そして長い黒髪をまとめた丸みに巨大な簪。
「雛ちゃん!?。その姿は?」
思わぬ助っ人の登場に、驚く面々。
いや、驚いたのは雛が来たからというわけではない。
白粉が塗られたかのような純白の肌に、常に閉じた両眼。そして、ゴーマ特有の一つ眼が額にあったのだ。
それが意味するもの、それは…………。
「妾は阿古丸様と地獄に参った。そこで閻魔大王に潜在能力を引き出してもろうての。怪人として完成したのじゃよ」
シャダムは妖力を練り、隙が生じた嘉挧を狙う。
しかし、嘉挧は剣を向けた。
「妖力の塔よ」
ちょうどザイドスと亮達が、まさしく攻防をしている後ろの塔から、妖力が飛んでいく。
嘉挧は注がれた妖力を剣先に集中させる。
「ムンッ! 」
剣型の妖力波が放たれ、シャダムをかすめる。
しかし、かすっただけなのに、シャダムはよろけてしまった。
嘉挧も剣を両方落として蹴り飛ばす。
両手を広げ、天を仰ぐ。
「気力の塔よ、妖力の塔よ、私に力を与えよ」
先程と同じように気力と妖力が塔から放出される。
しかし、途中で交じりあい、螺旋軌道をして嘉挧へと注がれていく。
「気力・妖力、大合体ッ!」
陰陽交ざるオーラが迸り
スパークが弾ける。
ダイレンジャーを一撃の下に粉砕した圧倒的な力。
神に等しき力、人が持つには過ぎる力。
気に呼応し、地鳴りさえ起きている。
「覚悟だシャダム」
気力と妖力が混在した光球が嘉挧の掌に生まれる。
「気力・妖力合体、″爆裂玉砕掌″。…………ムウゥッ!」
″気力ボンバー″にも酷似している光球。
しかし、見た目は以上に大きい。ならば威力も…………。
「カアァッ!」
シャダムは妖力波を放つ。
けれども、簡単に打ち消されてしまい、減衰さえさせずに直撃を受けてしまう。
「ぬぅお…………」
声をあげた時には躰が吹き飛んでいた。
ダイレンジャーを破った時は周囲を巻き込んだのを、一点に集約させたのだ。
いわば、天変地異をその身に受けたようなもの。
崖に激突し、転がり落ちていくシャダム。
痛いという感覚などではない。躰中を引き裂かれそうになっている。
「ザイドス……まだ、あの塔を…………」
そう吐いたシャダムの台詞を、嘉挧が逃すはずはない。
子竜らが守ってるとはいえ、相手はザイドス。
ガラも会場にはいない。恐らく向かったのだろう。
時間はない。
ならば、惜しむわけにはいかない。
「気力の塔よ、妖力の塔よッ!」
再び塔から、力を採り込もうとする嘉挧。
スピードこそ勝負である。
再び嘉挧は掌に巨大な球を造り出したのであった。
『″気力ボンバー″!!!!!』
生身の状態ながら、コウが増幅させて放つ″気力ボンバー″。
しかし、デーヴァには簡単に弾かれてしまう。
気力を集中し、ドーナツ型の輪を精製し、デーヴァを拘束する。
「こんなもので足止めできるとでも?」
光と共に衝撃波が発生する。輪は砕け、キッズ達にも衝撃波は及んだ。
『うわぁぁぁぁァッ!!』
既にボロボロになったキッズ達。
転身できないという状況では、流石に戦えない。
「どうやら今度こそ、私が支配するべき世界のようだな」
「お前を絶対に好き勝手させるもんかよ」
コウは立ち上がる。
「そうか。お前は過去に″あった″世界を視たのか」
人工的にダオス王を生み出そうとし、誕生したのがデーヴァだ。
神を再現しようとしただけはあり、幾度となく繰り返した歴史を認識しているようだ。
「何も変わらんよ。運命の子よ。自らが敷いた″輪廻の理″、よもや自分で覆そうとでも思うたか」
「僕が…………輪廻の理?」
「そうか。なるほど、記憶は直接持ってるわけではないか。ダオス王、妙な真似をする」
羅刹を出し、気力と妖力を注いでいく。
どちらにせよ、コウさえいなければ″片割れ″以外は脅威に値しない。
この好機を逃すわけにはいかない。
「運命の子よ。ここですべてを断つ」
紅いオーラ。
これはまるで、嘉挧が使っていた気力と妖力の練り合わせと一緒ではないのか。
マズい。あれと同様なら、防ぐ手段はない。
他のキッズ達も、コウを助けなければと思いつつ、その行為が無駄であることも察している。
「しかし、なぜお前達はいつも、無駄とわかって戦うのか」
「?」
「いくらやっても変わらない。いくら繰り返そうと諦めない。その愚かな頭蓋、理解できぬな」
ここまで十数万年繰り返した。
ここに至るまで、奴らは変わらなかった。
人間もまた、世界もまた、歴史を繰り返すのみで、何も変化は無かった。
それを百度、千度味わったはず。
知らなくとも、覚えていなくとも、同じく諦めずに立ち向かってくる。
特にこの運命の子と呼ぶ、コウ。
すべての世界で、自分に挑んできた。
届かないはずの刃が、常に自分を貫く。
しかし、今は刃さえ持っていない。
「輪廻の理は私が新たな理に変える。塵芥と成り果てろ。″天地乖鸞(てんちかいらん″)」
″千本桜″
桜の花びらが舞う。
ピタリとデーヴァは手を止め、コウから離れた。
季節はずれの花弁をコウを過ぎた瞬間、ピリッと頬をかすめたのを感じる。
「今のは?」
「″千本桜″。桜の舞の極意じゃ」
聞きなれた幼い声ながら、太く反響するようだ。
その者は降り立つ。
紅白の、まるで雛人形のような出で立ち。
腕と脚を包む紅い手袋と足袋、簡素ながらきらびやかな羽衣、そして長い黒髪をまとめた丸みに巨大な簪。
「雛ちゃん!?。その姿は?」
思わぬ助っ人の登場に、驚く面々。
いや、驚いたのは雛が来たからというわけではない。
白粉が塗られたかのような純白の肌に、常に閉じた両眼。そして、ゴーマ特有の一つ眼が額にあったのだ。
それが意味するもの、それは…………。
「妾は阿古丸様と地獄に参った。そこで閻魔大王に潜在能力を引き出してもろうての。怪人として完成したのじゃよ」