ドーラガンサクはトリケラレンジャー・プテラレンジャーと戦っていた。
外見は変わっておらず、能力はお約束のコピー。
トリケラレンジャーをコピーし、同じ容姿をする者と対決している。
以前は外見こそ変えれど、戦術はドーラガンサクだった。
しかし、今度は動きや攻撃方法まで真似している。完璧なまでのコピーといえる。
横目で見るドーラモンスター程の強化は一見ない。しかし、中身まで真似してるという点で厄介だ。
「メイ、援護してくれ!」
トリケラレンジャーからの要請。それに応えられない。
どちらが本物か、見分けがつかないのである。
「俺だ、俺が本物だ!」
「違う、俺だ!」
プテラアローの矢が狙うは、やはりトリケラレンジャー。
本物か、偽物か、ハッキリ決めれず放てずにいる。
「どっちが本物なの……?」
槍を回す癖まで一緒だ。どうすれば、判別できるだろうか。
「…………もしかしたら……」
プテラレンジャーは、矢を強く弾き始める。
本物がわかったのか、とプテラアローを射る。
しかし、すぐに次の矢を準備している。
最初に放たれた矢は、ちょうど真ん中にくるようにされていた。
右側にいたトリケラレンジャーがトリケランスで叩き落とす。
「どうしたんだメイ!そんなあさっての方向にやっても意味ねーぞッ!」
「!?。偽物はお前ね!」
プテラアローを再び射る。それはトリケラレンジャーの頭部へ突きささる。
火花が散り、トリケランスを落とす。すると、白く眼だけの怪人・ドーラガンサクに姿が変わったのである。
その隙に本物のトリケラレンジャーがドーラガンサクを突き払い、プテラレンジャーと合流した。
「流石だぜメイ!俺が本物だってわかってくれてたんだな」
「ええ。本物のダンなら、不意に飛んできた矢を弾くなんて出来ないもの」
「え………」
偽物をあぶり出すため、敢えてどちらにも対応できる位置と要領で矢を射たのである。
ダンを理解しているからならではだが、当の本人としては複雑な気持ちだ。
ドーラガンサクは、頭に刺さっている矢を抜き、新たに姿を変えんと瞼をクワッと開かせる。
「…………グオォッ!!」
どうしたことか、ドーラガンサクは苦しみだした。
躰からは稲妻状の光が溢れている。
それはドーラミラージュとドーラナイトも同様であった。
「これはいったい……」
ジュウレンジャーが集まり、その様子を見守る。
しばらくすると、ロードゼッドが現れ、ゼッドスタッフを掲げた。
「所詮は足止めよ」
3体の怪人は爆発し、後に残った紫色のオーラ…………怨念の力がゼッドスタッフに吸いとられる。
「流石、亡霊に敗けるほどではないな」
素直な賞賛というわけではないのは明らかだ。
「…………ん?」





″ゴゴゴゴ…………″






地震だ。ただの、ではない。
元凶はロードゼッドなのは、ジュウレンジャーからは察しがついていた。
「何が起きるんだ?」
「…………復活だよ。本当の我、のな」



















学校での戦闘は決着が近かった。
戦闘員は全滅し、怪人との戦いへと移っていた。
持ち前のスペックを活かし、サーガレンジャーは怪人と戦う。
ワイバーンはトランプ公爵とも互角に渡り合う。
(どう戦えばいいか、頭の中に浮かんでくる…………)
戦闘経験がないのに頭が、躰が反応する。
「フゥ…………フゥ…………″ロイヤルストレートフラッシュ″!!」
ポーカーにおける最高の組み合わせが由来の必殺技だ。
スペードの10・J・Q・K・Aの絵柄のオーラが、ワイバーンに向かって現れる。
トランプ手裏剣を構えている辺り、そのオーラを通過させる事で発動する最大強化版なのだろう。
負けじと、ワイバーンもベルトに刺さっているサーガキーをクルッと2回転させる。
すると、リンドブルムが緑色の光を纏う。
「″ハウリングスラッシュ″!」
まず1つ、リンドブルムを投げる。同時にトランプ公爵も投げ、両者の必殺技は激突した。
爆発が起きるも、お互いにダメージはない。互角のために相殺されてしまったのだ。
「くぅぅ…………もう一度でおじゃ…………」
トランプ手裏剣を用意するが、爆炎を裂いて、円盤が肉体を斬ってしまう。
もう片方の″ハウリングスラッシュ″があったため、合間なく投げられたのだ。
「お、おじゃぁぁぁぁァッッッ!」
爆散するトランプ公爵。戻ってきたリンドブルムを掴みとり、ワイバーンは隣で戦うホルスの様子を見守る。











かつて林田教諭を殺害したチェーンソー僧侶。
ユニコーンとホルスはタッグを組み、対峙していた。
高速振動するチェーンソーにも打ち負けない、ユニコーンのイノセントホーン。
槍にあたるが、自分が観ている特撮番組の影響か、剣のように扱っている。
「即・斬・殺!」
僧侶らしからぬ、物騒な台詞だ。
ユニコーンが距離をとると、その間でホルスが援護に入る。
ラーチェリーから射られる炎の矢が、チェーンソー僧侶へと向かう。
「うおっ!」
命中する。最も幼いながら、適合レベルが最高値であるまどかの才ならではだ。
弓矢はいざしらず、体力も平均より下回る少女が、人類を守る程の力を有している。
恐怖がないわけではない。しかし、ユニコーンに転身している真司が一緒ならば、怖くても戦える。
「まどかちゃん!」
「うん!!」
同時にサーガキーを1回転させる。ユニコーンはギュッと右の拳を握り、白銀の光が包む。
″ブライトインパクト″を発動し、チェーンソー僧侶の持つチェーンソーの刃へと当てる。
砕け散ったその隙間を、魔力で強化された矢・″サンライトハート″が射抜く。
チェーンソー僧侶は燃えあがり、炎に包まれて爆散した。
その他怪人も、マカラとアヌビスが始末した。
ガネーシャが瀕死の万華鏡伯爵を踏みつけながら、満足そうにする。
「思った以上に力を使えてるわね」
サーガキーを1回転させると、踏みつけてる右足が灰色の光を纏う。
「これで″穴″は埋めれるかしら」
グッと脚に力を入れ、魔力の込められた脚で万華鏡伯爵を踏みつける。
「があぁぁぁッッ!」















体育館を出て、再び校庭で戦うクジャクレンジャー。
ハニワンパンマンを倒せば、石にされたみんなは元に戻るはずだ。
孔雀連弩で狙撃しているが、一向に当たらない。1矢はダイバスターの2倍以上に相当する威力だが…………。
「ハハハッ!発射口さえわかれば、避けるのは容易い」
クジャクレンジャーは照準を定め、気力を注ぐ。
装填されたビットが虹色に輝き、発射口へ収束する。
「″破邪六連閃″!!」
″破邪六連閃″とは、クジャクビットを媒介に気力を最大限収束させ、矢を6連射する必殺技である。
速力を落とさずに1発ごとの威力が必殺級のため、対する相手からは脅威の技である。
敢えて連射せず、狙撃するクジャクレンジャー。孔雀の羽をイメージさせる矢が迸るような勢いで、ハニワンパンに迫る。
「ヌオォッ!」
避ける。そのまま、″ハニワンパンチ″を浴びせようと、接近してくる。
その間も″破邪六連閃″を2発避け、遂には眼前まで迫った。
「″ハニワ″…………」
「この距離なら避けれないわね!!」
わざとすべりパンチをかわし、受け身をとる。仰向けにすると、発射口はハニワンパンマンの胸部に密着していた。
「零距離!?」
「はああああぁぁぁァッッッ!!」
紫色の光がハニワンパンマンを貫いた。
砕け散り、土くれになってしまう。
「勝った…………」








″ブウウゥゥゥン…………″