『小さな星の話をしよう』



はじめに言うなれば、仮面ライダー史上最も美しい仮面ライダーと言えますね。
ギリシャ文字を基にし、敵が人類の進化型であるオルフェノク。それに対抗しうるのは、ファイズ・カイザ・デルタのライダーズギアのみ。
旧世代と新人類が戦いあうというのは、前述した「人類はアギトを受け入れられるか」ということに対する、″一つ″の答えであると言えます。



「夢がない男」・乾  巧は戦いを受け入れます。あらゆる事に無関心を装いながらも、実は繊細な心を守るためだったことが伺えます。


「俺には夢がない。でも、夢を守ることはできる!」


彼が真理や啓太郎と過ごし、木場や草加と争いながらも、戦ってきて、その果てに夢を見つけます。


「世界中の洗濯が真っ白になるように、世界中の人が、幸せになりますように」



これは死にゆく彼が見つけた夢なんですが、何より生きたかったからかもしれません。
戦いという罪を背負った彼が人として生きたいという夢、誰かの幸せを願えるようになったのは、巧の生を肯定するものだったんじゃないかと思います。





『夢ってのは呪いと同じなんだ』


巧と対となる、オルフェノク側主人公が木場  勇治です。
彼は理想的な現実があり、夢もあった。そうだからこそ、不安定なメンタルだったのですね。
気高い人間とオルフェノクの共存という理想とは裏腹に、腹がたったらブッ殺すという危険性を孕んでいました。
迷った末に、彼は人類を恨みながらも、棄てきれない、人間らしい心情のまま散っていきます。

『約束して…………俺に出来なかったこと…………君が…………』




草加の伝説的キャラ、一般人に最も近い三原、社長やラッキークローバーなど、濃いキャラがドラマを盛り上げます。
ちなみに一番好きなのはデルタです。あのプロトタイプみたいなのが痺れます。


劇場版であるパラダイスロストは間違いなく、平成仮面ライダーで最高ですね