″ドオオォォンッ!!″




『!!!?』


突然、爆発音がする。同時にマイナスエネルギーセンサーに反応があり、場所を特定させる。
近くの病院だ。避難所も兼ねてるため、多くの人がいる。


「みんな、行くぞォォッ!!」


亮が言うと、一斉に出動するダイレンジャー。
病院に着くと、逃げ惑う人々で溢れていた。また、骸に変わり果てた人も少なくはない。



「…………こんな…………」


拳を握り締める大五。許せない。傷ついてる人を狙うとは、タチが悪い。


「誰だ、こんな…………」


「俺だ」


『!?』


歩いてくるのは、黒い色をしたウルトラマン。猫背で、まるでトカゲかと思うようだ。


「ウルトラマン!?」


「いや、ウルトラマンには共通する光の気がない。姿を変えてるだけだ」


コウはいち速く気づいた。
あの黒いウルトラマンは、本物ではないと。
そもそも、仮にウルトラマンだろうと、あの禍々しさは明らかに悪だ。



「ふん。なるほど、エネルギーを感知できる奴がいるのか」


黒いウルトラマンは姿を戻す。金色の鬼かと思う風貌の、ババルウ星人が正体であった。


「宇宙人か!」


「俺は偉大なるジャッカル大魔王様に仕えるババルウ星人。ダイレンジャーとやら、その力を見極めに来た」


ババルウ星人の脇には配下であるマグマ星人・リフレクト星人がいる。
今度は怪獣ではない。同じ状態ならば、勝機はある。


「みんな、転身だぁぁッ!!」  



『気力転身!!!!!!!!!!』




転身するダイレンジャー。3方に分かれ、宇宙人と戦う…………。


















少し離れた場所で、ミライとランは爆発を見た。恐らく、ダイレンジャー達は向かっただろう。


「行こう、ラン!」


「ああ…………ん?」


ランは前から歩いてくる女2人を見た。
袴姿とホステス、そう見える。手には銀色の球体を持ち、朱いオーラが漂っている。


「あの女…………」


「ウルトラマンメビウス、ウルトラマンゼロ…………」


女性の口が開く。しかし、その声色は明らかに人間のものではない、響くようなドス声。


「まさか…………ヤプール?」


ミライには聞き覚えがあった。かつて自分を苦しめた、悪の権化だ。
朱いオーラが女性2人を包むと、怪人に変わった。
ツボ押し女学生とパンプス姑娘は、既にヤプールに乗り移られている。
もう、自我が戻ることはない。


「この者達は我が支配した。さあ、戦おうじゃないか…………ウルトラマンよッ!!」



2人は銀色の球体・巨大化爆弾を落とし、爆発を起こす。
その際に生じたエネルギーを吸収し、巨大化したのであった。



「く…………メビィウゥゥゥスッ!!」


「デュワッ!!」


メビウスとゼロに変身し、2人はそれぞれを相手にする。
まず、メビウスはツボ押し女学生と戦う。肉弾戦を挑もうと身構えるメビウスに対し、指圧拳の構えをとるっている。


″シャァッ!″



メビウスが拳を振るう。
ツボ押し女学生はそれを避けると、素早くメビウスの肩と左胸を指で突く。
しかし、ダメージは全くといっていい程、受けてはいない。


「なんだ?」


メビウスはサッと、メビュームブレードを出す。
それで斬りかかろうとするが、腕が上がらない。


「どういう事なんだ!?」


「ククク…………。ウルトラマンの体の構造と人間は非常に似ている。どうすれば弱るかも、共通しているということだ」


肩の付け根は、ちょうど力を伝える場所。上手く力が引き出せないようだ。


「くらえッ!」


掌を伸ばし、両手を引く、


「指圧拳・″指圧百烈突き!!″」


どこかで聞いたような名前の技だ。メビウスの肉体の弱い部分を突いていく。


「ハイハイハイハイハイッ!!」


″ジュ、ジュアッ!″


本来であればこのような威力はないが、ヤプールが乗り移り、肉体への負担を無視した力を引き出しているのである。