″パンッパンッ″



手を合わせ、願い事をする。
何を願った?、など野暮な事は聞かない。それぞれの夢は、違っているのだから。


「さぁって、色々食べようぜ!」


健一は思わぬお年玉に、大はしゃぎしている。
優美もリンゴ飴を早速買おうと、動き出した。


「みんな、結構食べたいんだな…………」


そうだ。今日は正月、それも元旦だ。羽目をはずしていいだろう。
天気も良いし、空には皹もある。


「………………ん?」


皹?なぜ、空に皹がある?。


「コウ君、あれ…………」


由貴も異変に気づいた。
空の皹は、どんどん広がっていく。


「空が割れていく…………?」


怪奇現象。ゴーマの気を感じない。
あれはゴーマの仕業ではないのは確かだ。


「ぼい、ばんだまりゃあ…………(おい、なんだありゃあ)」


焼きとうもろこしを加えた健一も気づく。
キッズ以外にも、空を見上げる人間が増え始めた。


「………………来る…………」











″バキィィッ!! ″






遂に空が欠けた。紅い空間が見える。
その中には、光る目があった。


「何…………あれ?」


「怪獣…………」


コウは本能的に察知した。
振り向くと、キッズ達全員が真剣な顔をしている。
急いで境内を出ると、キバーボーと大輪車で現場へと急行した。



















空が割れたのを確認したランは飛び出した。
間違いない。あれは″異次元人″の作り出した空間で、中にいるのは自分達が良く知る怪獣達。


「ゼロ!」


「…………メビウス…………」



ミライと遭遇したラン。どうやら、同じ理由で駆けつけたのだろう。


「あれはヤプールの作り出した異次元空間…………」



異次元人ヤプール。かつてウルトラマンエースが戦った、一族永遠の敵。


「だろうな。多分、チビ達やダイレンジャーも動いてる」


ミライとランはある可能性を見いだしていた。
異次元空間に、ダイレンジャーの気力。それがあれば、或いは………………と。
その可能性は期待というよりは希望だった。
信じて戦うに足り得る希望…………。














″ズシィィンッ!″




遂に怪獣達が大地に脚をつける。
緑色の巨体を持つ蛾超獣ドラゴリー、肉食で狂暴な火山怪鳥バードン、クラゲのような円盤生物シルバーブルーメ。
ゴーマ怪人とは違う、巨体はあからさまな恐怖を人々に与える。
街は正月なために人で溢れている。大きな被害を出す前に、決着をつけなければ…………。



「みんな、転身だァァッ!」


コウ達はオーラチェンジャーを出し、突き刺す。


『気力転身!!!!!!』


正月早々の転身。″天宝来来の玉″を手に、キッズ達は武器を掲げる。


『気伝招来!!!!!!』


ウォンタイガーをはじめ、気伝獣が現れる。また、騒ぎに気づいたのであろう龍連者達も気伝獣に乗って現れる。



「亮兄ちゃん!」


「怪獣の数が多すぎる!合体しないで、各個に応戦するしかねえ!!」


キッズ達も気伝獣に乗り込む。龍連者とキバレンジャーは、内部に入ると武人変化を行った。


「さあ、行くか!」


「待ってぇぇぇェッ!!」


「?」


地響きがする。その音源の正体は、ズシンズシンと走ってくる怪獣…………いや、恐竜だ。
頭にウサギの耳を付けている恐竜、どう考えても存在してはいけない組み合わせだ。


「何だありゃあ…………」


「阿古丸様の命で、あなた達を助けにきた恐竜コンパニオンよ」


「コンパニオンって…………」


恐竜がバニーガールの格好しただけにしか見えない。
一応、阿古丸の配下だから味方なのだろうが…………。


「さあ、行くわよ!」


恐竜コンパニオンは、襟巻き怪獣ジラースへと向かっていく。
同時に、気伝獣も怪獣との戦いをはじめるのであった。
まず、龍星王はムルチとドラゴリーを相手に戦う。挟み撃ちされながらも、飛龍棍で応戦する。
それを狙い、飛来するバードン。気づいた星鳳凰と王朱雀が止めに入る。
″大旋風″でバードンに当てると、くるくると目が回る。そこへ、王朱雀の翼から放たれる″大光線″を照射する。