この歴史では、自分が加わったことでダイレンジャーが優勢にたっている。
しかし、ダイレンジャーキッズとなる町子達は普通に生活している。
「どうして?。これが僕らの世界ではないの?」
ダイレンジャーが勝てば、時間を戻す必要がない。
それなのに、自分達の世界に繋がらない。
「大神龍の話を覚えてるかい?。同じように、因果のバランスを保とうとする調停者がいたのだよ」
「因果の調停者!?」
気力による時間逆行に対して、生まれてしまったのだろうか。
「それも、厄介な事にその調停者は意思を持ってしまった。自由に時間を調節する事が出来たのだ」
時間が巻き戻される。今度はデーヴァの戦いまで戻り、滅す事なく封印に留まってしまった。
「この歴史では、デーヴァが強く、封印するしか無かった」
デーヴァは現代に甦り、ダイレンジャーとゴーマ両方を上回る力で破壊活動をしていた。
由貴が映る。どうやら、自分とは違う小学校に通ってるらしい。
夏休みのようで、ひまわりの観察のために登校しているのは由貴のクラスのみだ。
その場には雛がいる。どうやら、人間の子どもとして学校に通っているらしい。
そこにデーヴァが現れ、子ども達を虐殺し始めた。
「!!?」
時期的には亮は陣と戦い、他のダイレンジャーは壺道人に捕らわれている。
この歴史のコウはというと、デーヴァが造り出した怪人と戦っていた。
存命していたのか、
「阿古丸の指令でデーヴァ討伐に向かった三人官女はイヤリング官女を残し殺され、子ども達も由貴とかんざし女雛以外は殺されてしまった」
その後、由貴は精神崩壊寸前であった。トラウマとして光景が甦り、仇を討とうと自ら地獄の力を得ようとした。
「そうか!早口旅ガラスの…………」
地獄に通じる穴に入り、地獄へと降り立った由貴。
そこでは、赤茶色の大蛇が待っていた。
「すべての気伝獣の始祖である白蛇王。しかし、デーヴァを封印している間に地獄の霊力に侵され、″八俣大蛇″となってしまった…………」
この世界で、由貴は八俣大蛇に憑依されるものの、コウによって浄化され、水色のダイレンスーツを纏ったミズチレンジャーへとなった。
「この後も繰り返した。何度も何度も」
「でも、どうして調停者は時間を繰り返すの?」
「言ったろう。意思があると。自分がこの世界に君臨する機会を狙っているのだ」
なるほど、ようやくわかった。今が過去になるということ、時間が何度も繰り返され、その結果が今であること。
「ダオス王、調停者の誰なの?」
意思があるという。ならば、誰かゴーマの関係者が調停者であるはず。
正体がわかれば、倒してしまえば時間は戻らない。
「残念ながら、それは教えられない」
「え!?」
「調停者は死に瀕すると、その力を発動する。それに、普段は自覚をしていないために、ただ殺しても時間は自動的に巻き戻されてしまう」
ならばどうすればいいのだろうか?
「私という存在が調停者を消せば、時間軸がバランスを崩して消滅しかねない。唯一のチャンスは、調停者の意思が目覚めた時に、今を生きる者が討つことだ」
「それを逃したら…………」
「恐らく、再び歴史が繰り返される。望む結末が訪れるまでも、何度でもね」
何度でも。悲しい、空しい、戦いの連鎖。
「君達の戦いは無駄に終わってきた。これからも、そうかもしれない」
どの戦いでも、どんな世界でも、守ろうとしたものがあった。
それらがすべて無駄だというのか。自分達の戦いも、繰り返される歴史の一部でしかないのだろうか。
ダオス王はその歴史を何万年、下手すれば何億年も見てきた。
彼を見ればわかる。永い時間の中で、精神が摩耗している。
何かを諦め、絶望し、それでも希望を捨てきれないという矛盾を孕んだ眼だ。
「君がこのまま消えようと、また時間が元に戻されて生き返る。ならば、暫しの間だけでも楽になってみてはどうかな?」
「僕は………………」
初代ゴーマから聞かされた真実。ゴーマが造られた命であること、歴史が繰り返されていること。
「なるほど、貴方が調停者か」
「違う。余はその因果の改変を利用し、甦ったにすぎぬ」
初代ゴーマは天に向かい、双極を掲げる。
「余は調停者を葬り、代わって世界を治める。逆らう者は殺し、従う者には従隷を…………力によって支配されるあるべき世界よ!!」
これは反乱するわけだ。だが、これもダイ族と力による亀裂を知ったためであろう。
初代ゴーマは双極を降ろし、阿古丸を見る。
「その紛い達を片づけ、真のゴーマを再興させるのだ!」
かんざし女雛とティアラ令嬢は己の出自において、思い知らされた仮影の存在であるという真実。
自分が人間にすら劣る、命ですらないと、ショックが大きい。
「その紛い物の娘も余が斬り伏せてやろう…………」
かんざし女雛に向けられた刃、失意の中で避けようとする気すら起きない。
阿古丸は鞘に収まったままの倶利伽羅を構え、雛の前に立つ。
「…………何のつもりだ?」
「雛や令嬢は…………いや、ゴーマの民は命なき仮影の存在ではない…………」
「何?」
「憎しみと悲しみが縛る一族だが、そんな中でも………………愛があった」
何も無かったわけではない。阿古丸は気づくことが出来た。
そう、いつも自分を支えてくれたのは雛だった。自分の幼さ故に当たったこともあった。
そのお転婆に振り回されたりもした。
しかし、それが自分という存在を証明する思い出なのだ。
「命とは…………生まれようと、造られようと、そこにあるモノは命………………私の過去が、雛の命を証明する!!」
過去。過ぎ去り、取り戻せない時間。
代わりに、消すことの出来ない確かな事実でもある。
「………………お前は私に近いと思っていたが…………」
一度死した阿古丸が、地獄にいた期間は1ヶ月程だったが、その間に見てきた。
阿古丸の中にあった憎悪と力への渇望、それは幼き日の自分に通じていたというのに。
所詮はダイとの混血。ただのお坊ちゃんだということだ。
「ならば、阿古丸………………お前も処断するまでよ」
初代ゴーマは阿古丸を見限り、ダイレンジャーや雛と共に討とうとする。
「させるかよ!」
龍連者と天馬連者が背後から襲いかかる。
即座に反応し、スターソードを弾き飛ばしてしまう。
「貴様らも、ゴーマに情がわいたか」
「ゴーマとか関係ねえな。子どもを助けるのはダイレンジャーの仕事だからよ!」
天馬連者は脚に気力を溜め、飛び上がる。
「天重星・″天馬空中回し蹴り″!!」
渾身の一撃。しかし、左腕だけで防がれてしまう。
「天火星秘技・″流星閃光″!!」
その隙を狙った連続攻撃。
″流星閃光″は発動すれば、神速の連続打撃が繰り出される。
この至近距離と天馬連者が作った僅かな隙、逃しはしない。
「ハイィィィッ!!」
「ムンッ!!!」
初代ゴーマの眼が光り、鈍色の波動が拡がる。
「ううッ!」
「ぐわぁァッ!」
天馬連者と龍連者がまとめて吹き飛ばされてしまう。
「幾ら神速の技といえど、発動前に抑えればどうということはない」
しかし、ダイレンジャーキッズとなる町子達は普通に生活している。
「どうして?。これが僕らの世界ではないの?」
ダイレンジャーが勝てば、時間を戻す必要がない。
それなのに、自分達の世界に繋がらない。
「大神龍の話を覚えてるかい?。同じように、因果のバランスを保とうとする調停者がいたのだよ」
「因果の調停者!?」
気力による時間逆行に対して、生まれてしまったのだろうか。
「それも、厄介な事にその調停者は意思を持ってしまった。自由に時間を調節する事が出来たのだ」
時間が巻き戻される。今度はデーヴァの戦いまで戻り、滅す事なく封印に留まってしまった。
「この歴史では、デーヴァが強く、封印するしか無かった」
デーヴァは現代に甦り、ダイレンジャーとゴーマ両方を上回る力で破壊活動をしていた。
由貴が映る。どうやら、自分とは違う小学校に通ってるらしい。
夏休みのようで、ひまわりの観察のために登校しているのは由貴のクラスのみだ。
その場には雛がいる。どうやら、人間の子どもとして学校に通っているらしい。
そこにデーヴァが現れ、子ども達を虐殺し始めた。
「!!?」
時期的には亮は陣と戦い、他のダイレンジャーは壺道人に捕らわれている。
この歴史のコウはというと、デーヴァが造り出した怪人と戦っていた。
存命していたのか、
「阿古丸の指令でデーヴァ討伐に向かった三人官女はイヤリング官女を残し殺され、子ども達も由貴とかんざし女雛以外は殺されてしまった」
その後、由貴は精神崩壊寸前であった。トラウマとして光景が甦り、仇を討とうと自ら地獄の力を得ようとした。
「そうか!早口旅ガラスの…………」
地獄に通じる穴に入り、地獄へと降り立った由貴。
そこでは、赤茶色の大蛇が待っていた。
「すべての気伝獣の始祖である白蛇王。しかし、デーヴァを封印している間に地獄の霊力に侵され、″八俣大蛇″となってしまった…………」
この世界で、由貴は八俣大蛇に憑依されるものの、コウによって浄化され、水色のダイレンスーツを纏ったミズチレンジャーへとなった。
「この後も繰り返した。何度も何度も」
「でも、どうして調停者は時間を繰り返すの?」
「言ったろう。意思があると。自分がこの世界に君臨する機会を狙っているのだ」
なるほど、ようやくわかった。今が過去になるということ、時間が何度も繰り返され、その結果が今であること。
「ダオス王、調停者の誰なの?」
意思があるという。ならば、誰かゴーマの関係者が調停者であるはず。
正体がわかれば、倒してしまえば時間は戻らない。
「残念ながら、それは教えられない」
「え!?」
「調停者は死に瀕すると、その力を発動する。それに、普段は自覚をしていないために、ただ殺しても時間は自動的に巻き戻されてしまう」
ならばどうすればいいのだろうか?
「私という存在が調停者を消せば、時間軸がバランスを崩して消滅しかねない。唯一のチャンスは、調停者の意思が目覚めた時に、今を生きる者が討つことだ」
「それを逃したら…………」
「恐らく、再び歴史が繰り返される。望む結末が訪れるまでも、何度でもね」
何度でも。悲しい、空しい、戦いの連鎖。
「君達の戦いは無駄に終わってきた。これからも、そうかもしれない」
どの戦いでも、どんな世界でも、守ろうとしたものがあった。
それらがすべて無駄だというのか。自分達の戦いも、繰り返される歴史の一部でしかないのだろうか。
ダオス王はその歴史を何万年、下手すれば何億年も見てきた。
彼を見ればわかる。永い時間の中で、精神が摩耗している。
何かを諦め、絶望し、それでも希望を捨てきれないという矛盾を孕んだ眼だ。
「君がこのまま消えようと、また時間が元に戻されて生き返る。ならば、暫しの間だけでも楽になってみてはどうかな?」
「僕は………………」
初代ゴーマから聞かされた真実。ゴーマが造られた命であること、歴史が繰り返されていること。
「なるほど、貴方が調停者か」
「違う。余はその因果の改変を利用し、甦ったにすぎぬ」
初代ゴーマは天に向かい、双極を掲げる。
「余は調停者を葬り、代わって世界を治める。逆らう者は殺し、従う者には従隷を…………力によって支配されるあるべき世界よ!!」
これは反乱するわけだ。だが、これもダイ族と力による亀裂を知ったためであろう。
初代ゴーマは双極を降ろし、阿古丸を見る。
「その紛い達を片づけ、真のゴーマを再興させるのだ!」
かんざし女雛とティアラ令嬢は己の出自において、思い知らされた仮影の存在であるという真実。
自分が人間にすら劣る、命ですらないと、ショックが大きい。
「その紛い物の娘も余が斬り伏せてやろう…………」
かんざし女雛に向けられた刃、失意の中で避けようとする気すら起きない。
阿古丸は鞘に収まったままの倶利伽羅を構え、雛の前に立つ。
「…………何のつもりだ?」
「雛や令嬢は…………いや、ゴーマの民は命なき仮影の存在ではない…………」
「何?」
「憎しみと悲しみが縛る一族だが、そんな中でも………………愛があった」
何も無かったわけではない。阿古丸は気づくことが出来た。
そう、いつも自分を支えてくれたのは雛だった。自分の幼さ故に当たったこともあった。
そのお転婆に振り回されたりもした。
しかし、それが自分という存在を証明する思い出なのだ。
「命とは…………生まれようと、造られようと、そこにあるモノは命………………私の過去が、雛の命を証明する!!」
過去。過ぎ去り、取り戻せない時間。
代わりに、消すことの出来ない確かな事実でもある。
「………………お前は私に近いと思っていたが…………」
一度死した阿古丸が、地獄にいた期間は1ヶ月程だったが、その間に見てきた。
阿古丸の中にあった憎悪と力への渇望、それは幼き日の自分に通じていたというのに。
所詮はダイとの混血。ただのお坊ちゃんだということだ。
「ならば、阿古丸………………お前も処断するまでよ」
初代ゴーマは阿古丸を見限り、ダイレンジャーや雛と共に討とうとする。
「させるかよ!」
龍連者と天馬連者が背後から襲いかかる。
即座に反応し、スターソードを弾き飛ばしてしまう。
「貴様らも、ゴーマに情がわいたか」
「ゴーマとか関係ねえな。子どもを助けるのはダイレンジャーの仕事だからよ!」
天馬連者は脚に気力を溜め、飛び上がる。
「天重星・″天馬空中回し蹴り″!!」
渾身の一撃。しかし、左腕だけで防がれてしまう。
「天火星秘技・″流星閃光″!!」
その隙を狙った連続攻撃。
″流星閃光″は発動すれば、神速の連続打撃が繰り出される。
この至近距離と天馬連者が作った僅かな隙、逃しはしない。
「ハイィィィッ!!」
「ムンッ!!!」
初代ゴーマの眼が光り、鈍色の波動が拡がる。
「ううッ!」
「ぐわぁァッ!」
天馬連者と龍連者がまとめて吹き飛ばされてしまう。
「幾ら神速の技といえど、発動前に抑えればどうということはない」