映像で見る限り、デーヴァの容姿はダイレンジャーに近い。
黒いダイレンスーツに、肩には牛の角のようなものが生えている。
中国神話にある牛魔王・蚩尤に似ている。もしや、伝説の黄帝(黄龍)と蚩尤の戦いはこれが元となっているのかもしれない。
「デーヴァはその代の大連者を殺し、ゴーマ14世を深傷を負わせた。そこで、私自らが討伐に向かったのだ」
ダオス王は黄金の剣を出す。これでデーヴァを討ったということなのだろうか。
「これは黄河沙(コーガーシャ)。君の白虎真剣の元になった剣だ」
「え…………」
「白虎真剣は黄河沙を元に、私が魂の一部を込めた剣…………私の本来の性格なんだよ」
え、という風に意外な反応をする。こんな性格で国を治めたなんて…………。
デーヴァとの戦いは
「デーヴァは″この世界″では完全に殺すことが出来た…………」
デーヴァの脅威はない、ということだろう。しかし、それより気になるのはダオス王の発言の数々。
「あの…………さっきから言ってる本来の歴史だとか、この世界って…………」
「それは順を負って話すよ」
ダオス王は再び映像を変える。
デーヴァが討たれた後、皇位を継承したゴーマ15世はその混乱したのを狙い、反乱を開始した。
後は、コウがリンから聞いた通りの歴史の通りなのだろう。
現在に至るまでの歴史、既に映像は大神龍が降臨したところまで来ている。
「大神龍は、自然現象と同じさ。宇宙のバランスをとろうとする調停者という存在だ。意思というものはない」
映像で思い知らされる大神龍の破壊活動。
これが自然現象だから仕方ないと、理不尽なのは仕方ないというのか。
ギリッと拳を握るコウ。ダオス王はそれを確認すると、眼を瞑る。
「何とかしたいと、思ったのかい?」
大神龍は地震や台風と同じだというのに、それでも制したいというのか。
「君も、かつてのダイと同じか」
「違う!僕は、人を守りたいだけだ!!」
「″ダオス再臨計画″も、世界を良くしたいと思うところから始まった…………私の罪も、善意からだった…………」
すべては不幸な結果なだけであった、と言わんばかり。
「でも、みんな明日があったんだ!。それを、災いの元になるかもしれないとかわけのわかんない理由で…………」
理不尽な死。突如として命を奪われる。
人の明日を、未来を簡単に、一度にたくさん奪われる。そんなことを、黙って見ている事なんて出来ない。
「これを見て、そう言えるのかい?」
映像が変わる。しかし、今までとは打って変わり現代に近い。
人々は洋服を着ている。建物は鉄製・コンクリート製がほとんどだ。
けれども、現代より科学が進んでいるように思える。
人々は携帯電話を利用しているが、形状はカプセルのような物から電子画面が現れている。
「ここは君達の時代の更に50年後だ」
「50年後?じゃあ、未来…………」
未来の世界と言われると何となくわかる気がする。
だが、未来が決まっているかのような気がして、釈然とはしない。
「正確には未来だった…………というべきかな」
ダオス王の言葉の後、ビルが突如崩れ落ちた。
よく見ると、何度か見たことがあるような怪人が街で暴れている。
「…………紐男爵……?」
太い紐が絡まったような怪人。姿は完全に紐男爵にそっくりではある。
しかし、体色は青と白の斑模様で、左腕の触手の口も3つあるため、少し違う。
″人間ども!地球はゴーマが支配する!!″
″待ってたぜ…………ゴーマ!″
「!?。亮兄…………」
新紐男爵を待ち構えていたのは、亮達にそっくりな青年達。
青年達は転身し、ダイレンジャーになっていく。
「未来のダイレンジャー…………じゃあ、あれは…………亮兄ちゃん達の孫………………」
「その通り。君達の代で戦いは終わらず、50年後に戦いが再開したんだ…………。いや、本当はこれが現代なんだ」
「え…………」
「君達の代、つまり今が過去にあたるんだ」
どういうことだ?ダオス王が何を言っているか、よくわからない。
恐らく、さっきダオス王が言及していた″本来の歴史″等も関係しているのだろう。
「映像にある歴史も、一つの結末だ。お互いが争いながら、永遠に生きていく。そう、最初の歴史も…………」
映像が切り替えられるが、大した変化がない。未来のダイレンジャーと新紐男爵の戦いの続きに思える。
「…………ん?」
新紐男爵の脇に誰かいる。巨大化していないからわかりづらいが、人みたいだ、。
シャダム達に似た黒い服。どうやら、この時代のゴーマ幹部らしい。
顔はどこかで見たような、面影がある。男の周りに白い龍の幻影が現れ、やがて融合していく。
すると、龍連者に酷似した白いダイレンジャーが現れた。
「あれは…………」
「彼は吼(コウ)といって、ゴーマ17世にあたる存在だ」
「!!?」
どこかで見た事があるのは当然だ。自分なのだ。あのダイレンジャーは、未来の自分………………。
「そんな…………」
「正確には君と阿古丸が一つだった、最初の歴史だ」
「最初…………あっ!?」
映像内で、大連王が新紐男爵に倒されてしまう。追い討ちとして、白いダイレンジャーは紅い玉を使って大連王を攻撃している。
「そんな…………ダイレンジャーが負けた…………」
ダイレンジャーの敗北。ゴーマの世の到来。自分は支配者として君臨している。
「嘘だ…………僕がこんな…………」
自分がこんな事をするとは思っていなかったのだが…………。
「あの戦いでダイレンジャーは知の孫を残して死んだ。絶望的な状態を打開すべく、知の孫は天時星奥義・″時転羅門″を使って時間を逆行させたんだ」
天時星奥義・″時転羅門″とは、年月を経る時間逆行を行う禁忌の奥義である。
未来に希望が見えない知の孫は、過去に希望を求めたのである。
時間は遡り、50年前…………即ち亮達の世代へと戻った。
「″時転羅門″が禁忌とされる故は、ただ時間を戻すだけではなく、″時間が戻る″という因果の改変を行うことで歴史を変えてしまう力があるからだ」
ダオス王の説明を聞き、コウはゲームや漫画によくある″タイムパラドックス″を思い出した。
過去を改変すれば、結果として現在と未来が変わる。何より、自分自身さえ消し去る事ができるのだ。
「効果はすぐに発動した。本来一つの存在であった君達は双子として分かたれ、それぞれが気力と妖力を受け継いだ存在となったのだ」
2回目の歴史では、自分がキバレンジャーになっている様子はない。
アヤもいて、どうやら普通の小学生として暮らしているようだ。
一方、阿古丸はゴーマの幹部としてダイレンジャーに戦いを挑んでいる。
その片側には少女がいる。
「ん?雛ちゃんではない…………?」
かんざし女雛ではない。ショートカットの可愛い少女だ。
ガラのような黒い革服に身を包んでいる。それに、似ている。ある少女に。
「由貴ちゃん…………?」
やはり別世界における由貴のようだ。
「彼女は歴史通り紐男爵にさらわれた。ニードロブードロは施行され、他の子どもは生け贄になったが、参加した阿古丸の目に留まり、洗脳して妃にしたんだ」
ニードロブードロが成功…………なるほど、時間軸としてはゴーマの優勢に傾いているというわけだろう。
由貴は妖力を与えられ、龍連者を攻撃している。
「この歴史は、数ヶ月後にゴーマが勝利した」
ゴーマに支配された地球。正夫は姉のかおりと共にコットポトロに殺され、町子や健一は強制労働をさせられている。
自分はといえば、幼くして反乱軍に加わり、レジスタンス活動をしていた。
「僕も戦うのか…………」
結局、戦いからは逃げられない………………。
ゴーマの侵略がある限り、避けられないのだ。
また、映像が変わる。今度は知が″時転羅門″を発動したようだ。
今度は、再び古代へと遡っている。
「私は時間には干渉されない存在だ。しかし、ゴーマの支配は私の望むところではなかった。ゆえに…………」
「俺様が生まれたんだよ」
白虎真剣が喋る。映像には、若き日の虞翻の前にダオス王が現れ、魂の一部を宿した黄河沙の欠片を渡す。
これを元に、虞翻は白虎真剣を打ったのだ。
映像が現代になり、この歴史のコウは自分がそうであったように
「じゃあ、僕はキバレンジャーになったのはここから?」
「そうだ。吼は神に最も近い白龍であり、分かれた時に力も別離したのだ」
白虎と黒蛇の王。龍の鰓が、虎と蛇の牙に変わったということだろう。
黒いダイレンスーツに、肩には牛の角のようなものが生えている。
中国神話にある牛魔王・蚩尤に似ている。もしや、伝説の黄帝(黄龍)と蚩尤の戦いはこれが元となっているのかもしれない。
「デーヴァはその代の大連者を殺し、ゴーマ14世を深傷を負わせた。そこで、私自らが討伐に向かったのだ」
ダオス王は黄金の剣を出す。これでデーヴァを討ったということなのだろうか。
「これは黄河沙(コーガーシャ)。君の白虎真剣の元になった剣だ」
「え…………」
「白虎真剣は黄河沙を元に、私が魂の一部を込めた剣…………私の本来の性格なんだよ」
え、という風に意外な反応をする。こんな性格で国を治めたなんて…………。
デーヴァとの戦いは
「デーヴァは″この世界″では完全に殺すことが出来た…………」
デーヴァの脅威はない、ということだろう。しかし、それより気になるのはダオス王の発言の数々。
「あの…………さっきから言ってる本来の歴史だとか、この世界って…………」
「それは順を負って話すよ」
ダオス王は再び映像を変える。
デーヴァが討たれた後、皇位を継承したゴーマ15世はその混乱したのを狙い、反乱を開始した。
後は、コウがリンから聞いた通りの歴史の通りなのだろう。
現在に至るまでの歴史、既に映像は大神龍が降臨したところまで来ている。
「大神龍は、自然現象と同じさ。宇宙のバランスをとろうとする調停者という存在だ。意思というものはない」
映像で思い知らされる大神龍の破壊活動。
これが自然現象だから仕方ないと、理不尽なのは仕方ないというのか。
ギリッと拳を握るコウ。ダオス王はそれを確認すると、眼を瞑る。
「何とかしたいと、思ったのかい?」
大神龍は地震や台風と同じだというのに、それでも制したいというのか。
「君も、かつてのダイと同じか」
「違う!僕は、人を守りたいだけだ!!」
「″ダオス再臨計画″も、世界を良くしたいと思うところから始まった…………私の罪も、善意からだった…………」
すべては不幸な結果なだけであった、と言わんばかり。
「でも、みんな明日があったんだ!。それを、災いの元になるかもしれないとかわけのわかんない理由で…………」
理不尽な死。突如として命を奪われる。
人の明日を、未来を簡単に、一度にたくさん奪われる。そんなことを、黙って見ている事なんて出来ない。
「これを見て、そう言えるのかい?」
映像が変わる。しかし、今までとは打って変わり現代に近い。
人々は洋服を着ている。建物は鉄製・コンクリート製がほとんどだ。
けれども、現代より科学が進んでいるように思える。
人々は携帯電話を利用しているが、形状はカプセルのような物から電子画面が現れている。
「ここは君達の時代の更に50年後だ」
「50年後?じゃあ、未来…………」
未来の世界と言われると何となくわかる気がする。
だが、未来が決まっているかのような気がして、釈然とはしない。
「正確には未来だった…………というべきかな」
ダオス王の言葉の後、ビルが突如崩れ落ちた。
よく見ると、何度か見たことがあるような怪人が街で暴れている。
「…………紐男爵……?」
太い紐が絡まったような怪人。姿は完全に紐男爵にそっくりではある。
しかし、体色は青と白の斑模様で、左腕の触手の口も3つあるため、少し違う。
″人間ども!地球はゴーマが支配する!!″
″待ってたぜ…………ゴーマ!″
「!?。亮兄…………」
新紐男爵を待ち構えていたのは、亮達にそっくりな青年達。
青年達は転身し、ダイレンジャーになっていく。
「未来のダイレンジャー…………じゃあ、あれは…………亮兄ちゃん達の孫………………」
「その通り。君達の代で戦いは終わらず、50年後に戦いが再開したんだ…………。いや、本当はこれが現代なんだ」
「え…………」
「君達の代、つまり今が過去にあたるんだ」
どういうことだ?ダオス王が何を言っているか、よくわからない。
恐らく、さっきダオス王が言及していた″本来の歴史″等も関係しているのだろう。
「映像にある歴史も、一つの結末だ。お互いが争いながら、永遠に生きていく。そう、最初の歴史も…………」
映像が切り替えられるが、大した変化がない。未来のダイレンジャーと新紐男爵の戦いの続きに思える。
「…………ん?」
新紐男爵の脇に誰かいる。巨大化していないからわかりづらいが、人みたいだ、。
シャダム達に似た黒い服。どうやら、この時代のゴーマ幹部らしい。
顔はどこかで見たような、面影がある。男の周りに白い龍の幻影が現れ、やがて融合していく。
すると、龍連者に酷似した白いダイレンジャーが現れた。
「あれは…………」
「彼は吼(コウ)といって、ゴーマ17世にあたる存在だ」
「!!?」
どこかで見た事があるのは当然だ。自分なのだ。あのダイレンジャーは、未来の自分………………。
「そんな…………」
「正確には君と阿古丸が一つだった、最初の歴史だ」
「最初…………あっ!?」
映像内で、大連王が新紐男爵に倒されてしまう。追い討ちとして、白いダイレンジャーは紅い玉を使って大連王を攻撃している。
「そんな…………ダイレンジャーが負けた…………」
ダイレンジャーの敗北。ゴーマの世の到来。自分は支配者として君臨している。
「嘘だ…………僕がこんな…………」
自分がこんな事をするとは思っていなかったのだが…………。
「あの戦いでダイレンジャーは知の孫を残して死んだ。絶望的な状態を打開すべく、知の孫は天時星奥義・″時転羅門″を使って時間を逆行させたんだ」
天時星奥義・″時転羅門″とは、年月を経る時間逆行を行う禁忌の奥義である。
未来に希望が見えない知の孫は、過去に希望を求めたのである。
時間は遡り、50年前…………即ち亮達の世代へと戻った。
「″時転羅門″が禁忌とされる故は、ただ時間を戻すだけではなく、″時間が戻る″という因果の改変を行うことで歴史を変えてしまう力があるからだ」
ダオス王の説明を聞き、コウはゲームや漫画によくある″タイムパラドックス″を思い出した。
過去を改変すれば、結果として現在と未来が変わる。何より、自分自身さえ消し去る事ができるのだ。
「効果はすぐに発動した。本来一つの存在であった君達は双子として分かたれ、それぞれが気力と妖力を受け継いだ存在となったのだ」
2回目の歴史では、自分がキバレンジャーになっている様子はない。
アヤもいて、どうやら普通の小学生として暮らしているようだ。
一方、阿古丸はゴーマの幹部としてダイレンジャーに戦いを挑んでいる。
その片側には少女がいる。
「ん?雛ちゃんではない…………?」
かんざし女雛ではない。ショートカットの可愛い少女だ。
ガラのような黒い革服に身を包んでいる。それに、似ている。ある少女に。
「由貴ちゃん…………?」
やはり別世界における由貴のようだ。
「彼女は歴史通り紐男爵にさらわれた。ニードロブードロは施行され、他の子どもは生け贄になったが、参加した阿古丸の目に留まり、洗脳して妃にしたんだ」
ニードロブードロが成功…………なるほど、時間軸としてはゴーマの優勢に傾いているというわけだろう。
由貴は妖力を与えられ、龍連者を攻撃している。
「この歴史は、数ヶ月後にゴーマが勝利した」
ゴーマに支配された地球。正夫は姉のかおりと共にコットポトロに殺され、町子や健一は強制労働をさせられている。
自分はといえば、幼くして反乱軍に加わり、レジスタンス活動をしていた。
「僕も戦うのか…………」
結局、戦いからは逃げられない………………。
ゴーマの侵略がある限り、避けられないのだ。
また、映像が変わる。今度は知が″時転羅門″を発動したようだ。
今度は、再び古代へと遡っている。
「私は時間には干渉されない存在だ。しかし、ゴーマの支配は私の望むところではなかった。ゆえに…………」
「俺様が生まれたんだよ」
白虎真剣が喋る。映像には、若き日の虞翻の前にダオス王が現れ、魂の一部を宿した黄河沙の欠片を渡す。
これを元に、虞翻は白虎真剣を打ったのだ。
映像が現代になり、この歴史のコウは自分がそうであったように
「じゃあ、僕はキバレンジャーになったのはここから?」
「そうだ。吼は神に最も近い白龍であり、分かれた時に力も別離したのだ」
白虎と黒蛇の王。龍の鰓が、虎と蛇の牙に変わったということだろう。